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番外編
新学園生活 7
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「…俺も、一緒に行くッ」
黙って話を聞いてたアルファルドが、さらに私の腰を引いて抱き寄せた。
「あ、アルファルド?一緒にって……」
「…お前と、離れたくないっ。…また俺を、置いていくつもりかっ?」
「ちょ、やっ、そういうわけじゃ……」
言葉も言い終わらないまま、アルファルドは抱き寄せた腕に力を込めてる。
「…最近のお前は不在が多すぎる! 俺のことなんかどうでもいいのかっ?!」
怒って言ってるはずなのに、言われてることは明らかに「仕事と私、どっちが大事なの!?」的なニュアンス。
「――ッ!」
感情的になって顔を上げたアルファルドは、綺麗なオッドアイをうるうるさせて切実に訴えてきてる。
「そんな訳ないだろ? お前より大事なものなんて俺にはない」
膝の上に乗ったままサラりとしたすべすべの頬に両手を添えて、アルファルドを至近距離で見下ろした。
「…本当か?」
「当たり前だろ!? 不安にさせてごめんな……。俺が悪かった」
「…アトリクス……」
私の言葉に落ち着きを取り戻したのか、アルファルドの不安そうにしてた顔に笑顔が戻って、私に向かって嬉しそうに口角上げて笑いかけてくれる。
「~~っ!!」
かッ、かわゆいぃぃっっ~~!!
なに?! なんなのっ!? もうッアルファルドってば、あざとすぎだよッ!!
素でやってるんだろうけど、めちゃくちゃキュンとしちゃった!
見てるだけで鼻血出そうなくらい、ものスゴいイケメンなのに、たまにこうやって拗ねてみせるのがたまんなく心を擽られちゃうよぉッ!!
アルファルドの笑顔にやられた私は、真っ赤な顔しながらぷるぷる震えてる。
「「「キャ~~!!」」」
けど、周りから悲鳴に似た黄色い声が響いて、その声でハッと我に返った。
あっぶな……
ヤバい……、ここが講堂だってこと忘れて、この場でアルファルド押し倒すとこだった……
取り繕うように咳払いして、気を取り直して話を続ける。
「うん。まぁ……お前の気持ちは良くわかった。風属性のリリーもいるし、今度はアルファルドも一緒に行こうぜっ」
「…本当か?」
「あぁ。多少スピードは落ちるけど、一日もあれば着くだろう」
ニコッと笑った私に、アルファルドが背中に手を回してぎゅっと抱きついてきた。
「…絶対だぞッ」
っ!そんなに一緒に行きたかったんだ……
確かにここ最近、出掛けるって言うと「…また行くのか」って、いつも悲しそうな顔して見送ってくれてたからなぁ。
でもアルファルド連れて行くわけに行かなかったから、断腸の思いで屋敷から出てってた。
やばいな……、アルファルドが可愛すぎるッ! こういうトコ見ると、ゲームのアルファルド思い出すよ。
ガリガリで、寂しがり屋で、傷つきやすくて、誰かに愛して欲しくて堪らなかったアルファルド。
私の胸元にピタッと抱きついて、幸せそうな顔してるアルファルド見てるとすごく愛しい気持ちが溢れてくる。
「貴方がたが羨ましいわ。わたくしもこれだけ想われてみたいですわ……」
私達のやり取りを黙って見てたリリーが、しみじみ呟いてる。
アルファルドに抱きしめられたまま、顔だけリリーの方を向いた。
「あ、悪ぃな。……てことで、三人で行く予定だから」
「えぇ、わかりましたわ。しかし、どうやって三人で移動しますの?」
「ん? うーん……、とりあえずアルファルドを背中に乗せて、リリーは俺が抱えて移動するのが一番妥当かなぁ?」
「――それは、かなり無理があるのではなくて……」
リリーはかなり不安そうに……、いや胡散臭そうに私を見てる。
アルファルドはまだべったりくっついてて、いつの間にか登校してきたオクタンとアンカも興味深そうにこっちを見てた。
「大丈夫大丈夫。実証済みだから安心しろ。なんとかなるって」
「……えぇ。お手柔らかに頼みますわ」
まだリリーの表情は晴れないけど、一応了解は得たからね。
「ハハッ、俺を信じろって!」
リリーがこの後コバット王国へ向かう道中で、絶叫しながら私に当たり散らすのは言うまでもなかった。
「…俺も、一緒に行くッ」
黙って話を聞いてたアルファルドが、さらに私の腰を引いて抱き寄せた。
「あ、アルファルド?一緒にって……」
「…お前と、離れたくないっ。…また俺を、置いていくつもりかっ?」
「ちょ、やっ、そういうわけじゃ……」
言葉も言い終わらないまま、アルファルドは抱き寄せた腕に力を込めてる。
「…最近のお前は不在が多すぎる! 俺のことなんかどうでもいいのかっ?!」
怒って言ってるはずなのに、言われてることは明らかに「仕事と私、どっちが大事なの!?」的なニュアンス。
「――ッ!」
感情的になって顔を上げたアルファルドは、綺麗なオッドアイをうるうるさせて切実に訴えてきてる。
「そんな訳ないだろ? お前より大事なものなんて俺にはない」
膝の上に乗ったままサラりとしたすべすべの頬に両手を添えて、アルファルドを至近距離で見下ろした。
「…本当か?」
「当たり前だろ!? 不安にさせてごめんな……。俺が悪かった」
「…アトリクス……」
私の言葉に落ち着きを取り戻したのか、アルファルドの不安そうにしてた顔に笑顔が戻って、私に向かって嬉しそうに口角上げて笑いかけてくれる。
「~~っ!!」
かッ、かわゆいぃぃっっ~~!!
なに?! なんなのっ!? もうッアルファルドってば、あざとすぎだよッ!!
素でやってるんだろうけど、めちゃくちゃキュンとしちゃった!
見てるだけで鼻血出そうなくらい、ものスゴいイケメンなのに、たまにこうやって拗ねてみせるのがたまんなく心を擽られちゃうよぉッ!!
アルファルドの笑顔にやられた私は、真っ赤な顔しながらぷるぷる震えてる。
「「「キャ~~!!」」」
けど、周りから悲鳴に似た黄色い声が響いて、その声でハッと我に返った。
あっぶな……
ヤバい……、ここが講堂だってこと忘れて、この場でアルファルド押し倒すとこだった……
取り繕うように咳払いして、気を取り直して話を続ける。
「うん。まぁ……お前の気持ちは良くわかった。風属性のリリーもいるし、今度はアルファルドも一緒に行こうぜっ」
「…本当か?」
「あぁ。多少スピードは落ちるけど、一日もあれば着くだろう」
ニコッと笑った私に、アルファルドが背中に手を回してぎゅっと抱きついてきた。
「…絶対だぞッ」
っ!そんなに一緒に行きたかったんだ……
確かにここ最近、出掛けるって言うと「…また行くのか」って、いつも悲しそうな顔して見送ってくれてたからなぁ。
でもアルファルド連れて行くわけに行かなかったから、断腸の思いで屋敷から出てってた。
やばいな……、アルファルドが可愛すぎるッ! こういうトコ見ると、ゲームのアルファルド思い出すよ。
ガリガリで、寂しがり屋で、傷つきやすくて、誰かに愛して欲しくて堪らなかったアルファルド。
私の胸元にピタッと抱きついて、幸せそうな顔してるアルファルド見てるとすごく愛しい気持ちが溢れてくる。
「貴方がたが羨ましいわ。わたくしもこれだけ想われてみたいですわ……」
私達のやり取りを黙って見てたリリーが、しみじみ呟いてる。
アルファルドに抱きしめられたまま、顔だけリリーの方を向いた。
「あ、悪ぃな。……てことで、三人で行く予定だから」
「えぇ、わかりましたわ。しかし、どうやって三人で移動しますの?」
「ん? うーん……、とりあえずアルファルドを背中に乗せて、リリーは俺が抱えて移動するのが一番妥当かなぁ?」
「――それは、かなり無理があるのではなくて……」
リリーはかなり不安そうに……、いや胡散臭そうに私を見てる。
アルファルドはまだべったりくっついてて、いつの間にか登校してきたオクタンとアンカも興味深そうにこっちを見てた。
「大丈夫大丈夫。実証済みだから安心しろ。なんとかなるって」
「……えぇ。お手柔らかに頼みますわ」
まだリリーの表情は晴れないけど、一応了解は得たからね。
「ハハッ、俺を信じろって!」
リリーがこの後コバット王国へ向かう道中で、絶叫しながら私に当たり散らすのは言うまでもなかった。
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