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番外編
ミラとポラリス
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「あれ? アルファルドは?」
いつも馬車で一緒に登校してるんだけど、この日は用があって別々に登校した。
講堂に入って来ていつもの席に向かってたのに、当のアルファルドがいなかった。
オクタンはまだいなかったけど、近くの席にアンカが座ってたから質問してみた。
「お、おはようございます、アトリクス君。えっ……と、ドラコニス大公様は、その……」
アンカはすごく言いづらそうな感じで、しどろもどろになってる。
「ん? どーした?」
周りをキョロキョロ見渡して立ち上がって、私に耳打ちしてきた。
「それが……、実は珍しくヴィルギニス侯爵令嬢が話し掛けてきてたんです。大公様は迷惑そうにしてて……、そのまま講堂を出て行かれてしまいました」
「っ! ヴィルギニスっ?!」
その家名を聞いて私の全身に鳥肌が立った。
ヴィルギニスって、ポラリスのことじゃん!
どういうこと……?
なんで今さらアルファルドを呼び出す用事があるのっ?!
「ひぇッ!」
ブワっと全身に殺気を纏わせた私に、アンカが腰抜かして机に寄りかかってた。
講堂にいた生徒も、入ってきた生徒もびっくりして一番上の席にいた私達を見てる。
「……どこへ行った?」
「え……」
「二人は、どこへ行ったッ」
「ッ! あ、あ……て、庭園の…方かと……」
廊下から行くのも面倒だから、アルファルドがいつも眺めてた窓をバンっと開けて、そこから飛び出した。
「あ、アトリクス君っ!?」
アンカはびっくりしてたけど、腰が抜けたのかまだ机に寄りかかった。
地面に降りて庭園の方の気配を探った。
そしたらアルファルドが読書してた場所ら辺で、二つの気配を感じる。
いたっ! ここだ!!
足に身体強化かけて風魔法も使って、一気にその場から跳躍した。
風を切るように、そこまで数秒で移動した。
少しでもアルファルドとポラリスを二人きりにしたくなかったから……
周りの景色が瞬く間に変わっていって、前方に向かい合ってる二人を見つけた。
「お願いいたします。どうか、レグルス様とっ…」
アルファルドは腕組んだままポラリスを睨んでて、ポラリスは何かを頼もうとして、アルファルドに近づいて腕を掴もうとしてる。
「…近づくなっ!」
「あっ……!」
アルファルドが体を引いたせいか、ポラリスが掴みそこねてそのまま地面に座り込んでた。
その二人の間を割るように、私は地面に着地した。
「…っ! アトリクスっ!?」
「シリウス、名誉教授っ……」
私を挟んで、二人が顔を上げて驚きの声を上げてる。
「おい、お前ッ……、世の常識ってもんを知らないのか……? 若い男女がこんな場所で、二人きりで逢引する意味をわかっているのかッ?!」
アルファルドの前に立って、殺気を体中にまとわせながらポラリスを睨んで威圧してる。
「ひッ! あ、……ぁ……」
ポラリスは立ったまま冷や汗流して、私の殺気に当てられたのか、体も小刻みに震えてる。
「こいつは俺の夫で、俺だけのモノだっ! 人の断りもなく、お前が勝手について行って良い相手じゃないッ! 身の程を弁えろッ!!」
「――っ!」
ポラリスは恐怖で力が抜けたのか、震えたまま地面に座り込んでた。
「…アトリクス」
嫉妬全開の私の背後から、アルファルドが両手を伸ばして抱きしめてくれる。
「…大した用事じゃない。お前が心配するようなこともない」
ぎゅっと腕を回して抱きしめてくれるけど、私の怒りはまだ収まらない。
よりによって、ポラリスと二人きりになるなんて許せないっ!!
「そういう問題じゃない。お前も簡単に二人きりになるなッ! 自分だって、俺に同じことされたら嫌だろッ?!」
私は後ろから抱きしめられたまま、振り返りもせずにアルファルドにも怒りをぶつける。
「…っ! ……そう……だな」
少しの間があって、アルファルドも思うところがあるのか、その意見に理解を示した。
「…すまない、アトリクス。この女が講堂で、レグルスのことについてうるさく騒いでいたんだ。煩わしいから無視して移動したが、来るなと言ったのにあの女が勝手についてきただけだ」
「皇太子の? なんで……」
「…あぁ。俺とあいつの仲をどうにか修復出来ないのかと、馬鹿げたことばかり言っていた」
「……はあっ?!」
修復するも何も……、元々の元凶は向こうの方だしっ! それをなんでポラリスが仲を取り持つような真似してるわけっ!?
もう私はアルファルドに抱きしめられてるってより、アルファルドに後ろから羽交い締めにされてるみたいな感じで……
まるで殴りかかりそうなのを止められてる気分。
そのくらい殺気をドス黒い濃いものに変えて、ポラリスをさらに威圧してく。
「あ……、あの、私は……ただ……」
ポラリスは地面にへたり込んだまま震えてて、泣きそうな青褪めた表情で私を見上げてた。
「おい、ポラリス……こいつを真っ先に突き放し、どん底へ追いやったのは他でもない皇室の方なんだよッ! それを今さら都合よく修復だとぉッ……! ふざけるのも大概にしろッッ!!」
もう私の怒りが頂点まで達してる。
まずポラリスとアルファルドが一緒にいて、会話したこと。私はこの二人が一緒にいるのが一番許せないっ!
さらに何も知らないポラリスが、アルファルド側にレグルス様との和解を求めたこと。
「で、です……が、レグルス様は……、ドラコニス公爵の……、過失だと……」
震えながらもポラリスは反論してきてる。私はそれだけで怒りのボルテージがマックスまで上がってるよ。
「はッ……! ハハッ…! お前は……、俺を怒らすのが、ホントに上手いな……」
笑ってるのに……全く表情の動いてない私に、ポラリスは恐怖を感じたのか、座り込んだまま顔を引き攣らせてる。
「――ヒッ!」
「…アトリクス、落ち着けっ!」
アルファルドの腕を振りほどいてポラリスに突進していきそうな私を、アルファルドが後ろから必死に抑えてる。
地面に座り込んで恐怖に震えながら、ポラリスは涙を流してる。
「やめるんだ、アトリクスッ!!」
そこに颯爽と現れたのは、ミティストの男主人公レグルス様だった。
「あれ? アルファルドは?」
いつも馬車で一緒に登校してるんだけど、この日は用があって別々に登校した。
講堂に入って来ていつもの席に向かってたのに、当のアルファルドがいなかった。
オクタンはまだいなかったけど、近くの席にアンカが座ってたから質問してみた。
「お、おはようございます、アトリクス君。えっ……と、ドラコニス大公様は、その……」
アンカはすごく言いづらそうな感じで、しどろもどろになってる。
「ん? どーした?」
周りをキョロキョロ見渡して立ち上がって、私に耳打ちしてきた。
「それが……、実は珍しくヴィルギニス侯爵令嬢が話し掛けてきてたんです。大公様は迷惑そうにしてて……、そのまま講堂を出て行かれてしまいました」
「っ! ヴィルギニスっ?!」
その家名を聞いて私の全身に鳥肌が立った。
ヴィルギニスって、ポラリスのことじゃん!
どういうこと……?
なんで今さらアルファルドを呼び出す用事があるのっ?!
「ひぇッ!」
ブワっと全身に殺気を纏わせた私に、アンカが腰抜かして机に寄りかかってた。
講堂にいた生徒も、入ってきた生徒もびっくりして一番上の席にいた私達を見てる。
「……どこへ行った?」
「え……」
「二人は、どこへ行ったッ」
「ッ! あ、あ……て、庭園の…方かと……」
廊下から行くのも面倒だから、アルファルドがいつも眺めてた窓をバンっと開けて、そこから飛び出した。
「あ、アトリクス君っ!?」
アンカはびっくりしてたけど、腰が抜けたのかまだ机に寄りかかった。
地面に降りて庭園の方の気配を探った。
そしたらアルファルドが読書してた場所ら辺で、二つの気配を感じる。
いたっ! ここだ!!
足に身体強化かけて風魔法も使って、一気にその場から跳躍した。
風を切るように、そこまで数秒で移動した。
少しでもアルファルドとポラリスを二人きりにしたくなかったから……
周りの景色が瞬く間に変わっていって、前方に向かい合ってる二人を見つけた。
「お願いいたします。どうか、レグルス様とっ…」
アルファルドは腕組んだままポラリスを睨んでて、ポラリスは何かを頼もうとして、アルファルドに近づいて腕を掴もうとしてる。
「…近づくなっ!」
「あっ……!」
アルファルドが体を引いたせいか、ポラリスが掴みそこねてそのまま地面に座り込んでた。
その二人の間を割るように、私は地面に着地した。
「…っ! アトリクスっ!?」
「シリウス、名誉教授っ……」
私を挟んで、二人が顔を上げて驚きの声を上げてる。
「おい、お前ッ……、世の常識ってもんを知らないのか……? 若い男女がこんな場所で、二人きりで逢引する意味をわかっているのかッ?!」
アルファルドの前に立って、殺気を体中にまとわせながらポラリスを睨んで威圧してる。
「ひッ! あ、……ぁ……」
ポラリスは立ったまま冷や汗流して、私の殺気に当てられたのか、体も小刻みに震えてる。
「こいつは俺の夫で、俺だけのモノだっ! 人の断りもなく、お前が勝手について行って良い相手じゃないッ! 身の程を弁えろッ!!」
「――っ!」
ポラリスは恐怖で力が抜けたのか、震えたまま地面に座り込んでた。
「…アトリクス」
嫉妬全開の私の背後から、アルファルドが両手を伸ばして抱きしめてくれる。
「…大した用事じゃない。お前が心配するようなこともない」
ぎゅっと腕を回して抱きしめてくれるけど、私の怒りはまだ収まらない。
よりによって、ポラリスと二人きりになるなんて許せないっ!!
「そういう問題じゃない。お前も簡単に二人きりになるなッ! 自分だって、俺に同じことされたら嫌だろッ?!」
私は後ろから抱きしめられたまま、振り返りもせずにアルファルドにも怒りをぶつける。
「…っ! ……そう……だな」
少しの間があって、アルファルドも思うところがあるのか、その意見に理解を示した。
「…すまない、アトリクス。この女が講堂で、レグルスのことについてうるさく騒いでいたんだ。煩わしいから無視して移動したが、来るなと言ったのにあの女が勝手についてきただけだ」
「皇太子の? なんで……」
「…あぁ。俺とあいつの仲をどうにか修復出来ないのかと、馬鹿げたことばかり言っていた」
「……はあっ?!」
修復するも何も……、元々の元凶は向こうの方だしっ! それをなんでポラリスが仲を取り持つような真似してるわけっ!?
もう私はアルファルドに抱きしめられてるってより、アルファルドに後ろから羽交い締めにされてるみたいな感じで……
まるで殴りかかりそうなのを止められてる気分。
そのくらい殺気をドス黒い濃いものに変えて、ポラリスをさらに威圧してく。
「あ……、あの、私は……ただ……」
ポラリスは地面にへたり込んだまま震えてて、泣きそうな青褪めた表情で私を見上げてた。
「おい、ポラリス……こいつを真っ先に突き放し、どん底へ追いやったのは他でもない皇室の方なんだよッ! それを今さら都合よく修復だとぉッ……! ふざけるのも大概にしろッッ!!」
もう私の怒りが頂点まで達してる。
まずポラリスとアルファルドが一緒にいて、会話したこと。私はこの二人が一緒にいるのが一番許せないっ!
さらに何も知らないポラリスが、アルファルド側にレグルス様との和解を求めたこと。
「で、です……が、レグルス様は……、ドラコニス公爵の……、過失だと……」
震えながらもポラリスは反論してきてる。私はそれだけで怒りのボルテージがマックスまで上がってるよ。
「はッ……! ハハッ…! お前は……、俺を怒らすのが、ホントに上手いな……」
笑ってるのに……全く表情の動いてない私に、ポラリスは恐怖を感じたのか、座り込んだまま顔を引き攣らせてる。
「――ヒッ!」
「…アトリクス、落ち着けっ!」
アルファルドの腕を振りほどいてポラリスに突進していきそうな私を、アルファルドが後ろから必死に抑えてる。
地面に座り込んで恐怖に震えながら、ポラリスは涙を流してる。
「やめるんだ、アトリクスッ!!」
そこに颯爽と現れたのは、ミティストの男主人公レグルス様だった。
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