360 / 392
番外編
新学園生活 1
しおりを挟む
'
「よっ、オクタン! 久々だなっ!」
「えっ!? あ、んと、んと……う、うん……」
休み時間に立ち上がって、少し離れた席にいたオクタンのとこまで歩いて話しかけた。
けどオクタンは、なんだか戸惑ってる感じる?
「どーした? オクタン」
「えと、んと……あ、アート、君……?」
「そうだけど??」
「んと、でも、シリウス……名誉教授……って、呼んだ方が……」
オクタンは机に座って、もじもじし始めてる。隣に座ってるアンカも何だか緊張気味で、真っ赤になって震えてた。
「ん? ……あぁっ、今までみたいにアートでいいって! 俺が女になったからって、俺とお前の友情は変わらないぞ? オクタンはいつまでも俺の友達だっ!」
椅子に座ってたオクタンのふわふわの髪を、いつも通り手を伸ばしてワシャワシャって撫でた。
う~ん、ふわふわで気持ちいい~。久々の感覚。
「わっ! あっ! んと、んと!」
「ハハッ、またお前に会えて、すっげぇ嬉しいっ!」
私にとってアカデミアでの唯一の友達だからさ。
オクタンは真っ赤になって、面白いくらいめちゃくちゃ動揺している。
「…アトリクスっ、…やめろッ!」
にこにこしながらオクタン撫でてたのに、背後から現れたアルファルドに身体ごと引き寄せられた。しかもものすごく不機嫌そうに……
「わっ、アルファルド!?」
そのまま強引に顎を上げられて、屈みながら間近に迫る美貌に睨まれた。アルファルドってすごく綺麗な顔してるから、やっぱり怒ってると迫力あるなぁ。
「っ、なんだよ……、再会を喜んでただけだろ…」
「いいか、お前はもう男じゃないんだっ。…行動を慎めッ」
「でもっ、オクタンは友達で…!」
「…俺にも、同じことを言ってただろう……」
「っ!」
それ言われちゃうと、何も反論できないんだよね……
本当はアカデミアに通うこともアルファルドは反対してた。でも、私がどうしてもアルファルドと一緒に通いたいってお願いして、ようやく折れてくれたんだ。
「わかったよ……、でも、話すくらいはいいだろ?」
「……」
「ねぇ、お願い……アルファルド」
アルファルドは私が特定の誰かと仲良いのが嫌なんだよね。嫉妬してくれてるのは嬉しいけど、誰とも話せないなんて嫌だよ。
うるうるした目で見上げてたら、アルファルドがうっ……て怯んでて、もう一押しとばかりにアルファルドの頬に両手を添えた。
「私にはアルファルドしか目に入らないから、心配しなくても大丈夫! 私の身も心も……、ぜ~んぶアルファルドのだからっ」
そのまま、すぐ近くのアルファルドの頬にちゅって軽くキスした。
休み時間の講堂内が、途端にザワッと騒がしくなった。
遠くからキャーキャー言ってる声も聞こえてたけど、気にしないでアルファルドに向かってニコッと笑った。
「っ……、話す、だけだぞ……」
「ありがとうアルファルドっ! 大好きっ!」
ぎゅうってアルファルドの腰に抱きついた。
「ふふ……相変わらずね、アトリクス。女になった方が、魔性度が上がったわね」
「おっ、リリー! 久しぶりだなっ!」
「えぇ、お久しぶりね。シリウス名誉教授様」
席から立ち上がってにっこり微笑みながら、アルファルドに抱きついてる私の方へと向かってきた。
「おい、他人行儀はやめてくれよっ。俺は今までと変わらないぞ?」
「あら……? それはさすがに、難しいんじゃなくって?」
「いや、変わるわけないだろ? 俺が女になったってこと以外は、ここでは関係ないからな」
私がアルファルドに抱きつきながら言った言葉に、リリーが不思議そうに反応してくれてる。
「どういう事かしら?」
「アカデミアでは身分や地位は関係ないんだ……だから俺も、これまでとなんら変わりはない。俺がこれ以上誰かと親しくすることも……、他の奴と話すこともしないってことだ」
それまで騒がしかった周りのざわめきが、一気にシーンとなった。
「ふふふっ……。あなたって、本当に相変わらずねっ!」
「ハハッ、……まぁなっ! 俺って融通が利かないから、自分の意志を簡単に変えることはしないんだ……」
にっこり笑いながら対面で話してるリリーを利用して、周りに向かって牽制してる。
周りが物珍しく私を見てるのはわかってたし、なんとなくみんなソワソワしてて、私と話す機会を伺ってる感じがしてたからね。
お互い笑い合ってるけど……話してる言葉の意味は、周りに対して馴れ馴れしくして来るなって言ってる。
「よっ、オクタン! 久々だなっ!」
「えっ!? あ、んと、んと……う、うん……」
休み時間に立ち上がって、少し離れた席にいたオクタンのとこまで歩いて話しかけた。
けどオクタンは、なんだか戸惑ってる感じる?
「どーした? オクタン」
「えと、んと……あ、アート、君……?」
「そうだけど??」
「んと、でも、シリウス……名誉教授……って、呼んだ方が……」
オクタンは机に座って、もじもじし始めてる。隣に座ってるアンカも何だか緊張気味で、真っ赤になって震えてた。
「ん? ……あぁっ、今までみたいにアートでいいって! 俺が女になったからって、俺とお前の友情は変わらないぞ? オクタンはいつまでも俺の友達だっ!」
椅子に座ってたオクタンのふわふわの髪を、いつも通り手を伸ばしてワシャワシャって撫でた。
う~ん、ふわふわで気持ちいい~。久々の感覚。
「わっ! あっ! んと、んと!」
「ハハッ、またお前に会えて、すっげぇ嬉しいっ!」
私にとってアカデミアでの唯一の友達だからさ。
オクタンは真っ赤になって、面白いくらいめちゃくちゃ動揺している。
「…アトリクスっ、…やめろッ!」
にこにこしながらオクタン撫でてたのに、背後から現れたアルファルドに身体ごと引き寄せられた。しかもものすごく不機嫌そうに……
「わっ、アルファルド!?」
そのまま強引に顎を上げられて、屈みながら間近に迫る美貌に睨まれた。アルファルドってすごく綺麗な顔してるから、やっぱり怒ってると迫力あるなぁ。
「っ、なんだよ……、再会を喜んでただけだろ…」
「いいか、お前はもう男じゃないんだっ。…行動を慎めッ」
「でもっ、オクタンは友達で…!」
「…俺にも、同じことを言ってただろう……」
「っ!」
それ言われちゃうと、何も反論できないんだよね……
本当はアカデミアに通うこともアルファルドは反対してた。でも、私がどうしてもアルファルドと一緒に通いたいってお願いして、ようやく折れてくれたんだ。
「わかったよ……、でも、話すくらいはいいだろ?」
「……」
「ねぇ、お願い……アルファルド」
アルファルドは私が特定の誰かと仲良いのが嫌なんだよね。嫉妬してくれてるのは嬉しいけど、誰とも話せないなんて嫌だよ。
うるうるした目で見上げてたら、アルファルドがうっ……て怯んでて、もう一押しとばかりにアルファルドの頬に両手を添えた。
「私にはアルファルドしか目に入らないから、心配しなくても大丈夫! 私の身も心も……、ぜ~んぶアルファルドのだからっ」
そのまま、すぐ近くのアルファルドの頬にちゅって軽くキスした。
休み時間の講堂内が、途端にザワッと騒がしくなった。
遠くからキャーキャー言ってる声も聞こえてたけど、気にしないでアルファルドに向かってニコッと笑った。
「っ……、話す、だけだぞ……」
「ありがとうアルファルドっ! 大好きっ!」
ぎゅうってアルファルドの腰に抱きついた。
「ふふ……相変わらずね、アトリクス。女になった方が、魔性度が上がったわね」
「おっ、リリー! 久しぶりだなっ!」
「えぇ、お久しぶりね。シリウス名誉教授様」
席から立ち上がってにっこり微笑みながら、アルファルドに抱きついてる私の方へと向かってきた。
「おい、他人行儀はやめてくれよっ。俺は今までと変わらないぞ?」
「あら……? それはさすがに、難しいんじゃなくって?」
「いや、変わるわけないだろ? 俺が女になったってこと以外は、ここでは関係ないからな」
私がアルファルドに抱きつきながら言った言葉に、リリーが不思議そうに反応してくれてる。
「どういう事かしら?」
「アカデミアでは身分や地位は関係ないんだ……だから俺も、これまでとなんら変わりはない。俺がこれ以上誰かと親しくすることも……、他の奴と話すこともしないってことだ」
それまで騒がしかった周りのざわめきが、一気にシーンとなった。
「ふふふっ……。あなたって、本当に相変わらずねっ!」
「ハハッ、……まぁなっ! 俺って融通が利かないから、自分の意志を簡単に変えることはしないんだ……」
にっこり笑いながら対面で話してるリリーを利用して、周りに向かって牽制してる。
周りが物珍しく私を見てるのはわかってたし、なんとなくみんなソワソワしてて、私と話す機会を伺ってる感じがしてたからね。
お互い笑い合ってるけど……話してる言葉の意味は、周りに対して馴れ馴れしくして来るなって言ってる。
2
お気に入りに追加
324
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
好きな人の好きな人
ぽぽ
恋愛
"私には10年以上思い続ける初恋相手がいる。"
初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。
恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。
そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
王太子殿下から婚約破棄されたのは冷たい私のせいですか?
ねーさん
恋愛
公爵令嬢であるアリシアは王太子殿下と婚約してから十年、王太子妃教育に勤しんで来た。
なのに王太子殿下は男爵令嬢とイチャイチャ…諫めるアリシアを悪者扱い。「アリシア様は殿下に冷たい」なんて男爵令嬢に言われ、結果、婚約は破棄。
王太子妃になるため自由な時間もなく頑張って来たのに、私は駒じゃありません!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる