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星たちの行方  14

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 その日は公爵邸に帰ってからゆっくりお風呂に浸かって、その後リタさんのご馳走を堪能しまくった。
 いつもは飲まないけど、気を利かせてくれたのかシャンパンやワインまで用意されてて、リタさんやベッテルさん、アルファルドと一緒に愚痴をこぼしながら料理を楽しんだ。

「へぇ~…、そりゃあ大変だったね、アート」

「本っ当ですよッ、リタさんっ!あんなオヤジ達がこぞって私の所有権を主張しまくってるから、もうマジで気持ち悪くってッ!!私はアルファルドじゃないと食指も性欲も動かないから、思わず殺意全開で皇宮で大暴れしちゃいましたっ」

 ペロッと舌を出して、抱え込んでた瓶からまたグラスにワインをなみなみ注いで、勢いよくぐいっと呷った。

「ふはぁ~!美味いっ!!リタさん、サイッコー!!」

 もうベロベロに酔って上機嫌でにこにこ笑ってた。

「…おい、アトリクスっ。…もうそれ以上は控えろっ」

 上座で私の様子を伺ってたアルファルドが強めの口調で諌めてきてる。

「やぁだっ!まだ飲むもんっ!せっかく自由になれたんだから、今を満喫しないとっ」

 カラカラと笑いながらまたグラスのワインに口をつけて、一気に飲み干した。

「はぁ~…、もう一本っ!!」

 昔からお酒大好きだったけど、成人するまでは控えてたし、色んな事があったからお酒飲んで酔ってる事なんてできなかった。
 色々と解放されちゃった私は、周りなんて気にしないでグビグビお酒を楽しむ事ができて、テンション上がりまくってる!

「ちょいと、大丈夫かいっ…アート」
「え、えぇ…。旦那様…そろそろお部屋に戻られてはいかがでしょう?」
「…あぁ」
 
 またグラスにワイン注いで飲みまくってる私を見て、周りの3人が心配そうに見て話してた。

「…アトリクス、ほら…寝るぞ」

 立ち上がったアルファルドが私の席まで移動して、ワイン抱えてる私から瓶を奪い取った。

「あっ!ちょっと、まだ飲むのっ!」
「…だだ捏ねるな。…行くぞ」
「んー…、じゃあ、アルファルドが運んで?」
「…はっ?」
「だーかーら、アルファルドが抱っこして…部屋まで運んでよぉ…」

 とろんと酔った瞳でアルファルドにお願いした。
 近くにいたアルファルドの首に腕を回して、誘うように見つめながら返事を待ってる。

「…っ」

 アルファルドが僅かに頬を染めて、はぁ…ってため息つきながら椅子に座ってた私を抱き上げた。

「…行くぞ」
「うんっ!アルファルド、だ~い好きっ」
「──。…はぁ…」

 心地良い浮遊感の後に抱えられたまま、にこにこしながらアルファルドにぎゅっと抱きついた。
 呆れた様子でまたため息ついてるけど、ピタッとくっついてるアルファルドの心臓が早く動いてて、それだけじゃないのがよくわかる。

「おやおや…、お熱いね~。ゆっくり休むんだよ」
「ほほほっ、お休みなさいませ…」
「はいっ、お休みなさいっ。ベッテルさん、リタさんっ!」
 
 アルファルドに抱えられながら二人に手を振ってダイニングルームを出た。

 部屋の外で控えてた使用人達も、出てきた私達を見て慌てて頭下げてる。

 私を抱えて歩いていくアルファルドの腕の中からその様子を見るけど、ホントに僅かに身体から殺気が漏れてる子が結構いる。

 これが刺客なのかアルファルド狙いなのか…。

「アルファルド…」
「…なんだ?」
 
 お姫様抱っこしてた状態で見つめてから、アルファルドの首をぐいっと引き寄せた。

「んっ」

 真意を探るように、手の塞がってるアルファルドにキスした。
 足を止めて近づいたアルファルドの唇を味わいながら、横目でちらっと確認してみると、やっぱり殺気が増えてる子が何人かいて、その中でも変わらない子達は刺客っぽいな。
 
 ふ~ん、なるほどね。うん、覚えた!

「はぁ…」
「…お前、相当酔ってるな…」
「あぁ、俺はずっと前からお前に酔ってる…」
「……」

 ペロッと舌でアルファルドの唇を舐めてから離して、至近距離で微笑みながらアルファルドを見つめてる。
 わざと周りに聞こえるくらいの声でアルファルドに誘いをかけた。

「ねぇ…もう我慢できないから早く部屋行こぉよ…。お酒じゃなくて、アルファルドを一晩中堪能したい…」
「っ、…アト…リクス…」

 間近で私を見てたアルファルドもさっと頬を赤く染めて、止めてた足をまた進めて足早に部屋まで歩いてた。



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