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始動 5

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 またパチっと目が覚めた。

 私の手首はまだ拘束されてて、首輪も付けられてベッドで縺れながらアルファルドの腕に拘束されてる。

 アルファルドって…、闇属性なだけにやっぱり深い闇を抱えてるっていうか…、私は受け入れられるし嬉しいって思うからからいいけど…、蝶よ花よって育てられた普通のご令嬢には重すぎて耐えられないと思うよ?まだウブな17歳の女子にこれを受け止めろって言っても、なかなか難しいと思うんだけどなぁ…。

 手枷が邪魔して触りづらいけど、両腕を上げてアルファルドの頬に手を添えた。鎖がジャラジャラして冷たい。
 
 こんなにアルファルドの事大好きで、他の奴なんて目に入らないって何度も言ってるのに…アルファルドは不安なんだよね。
 私ですらこんな状態なのに、もしポラリスと一緒になってたらアルファルドは耐えられなかっただろうな。
 ポラリスは皆んなに優しくて沢山の人と関わってたし、アルファルドみたいな束縛タイプとは、とてもじゃないけど合わないから。
 
 アルファルドの頬に手を添えたまま、自分で想像した二人の姿にイラッとしてスベスベ肌を摘んだり撫で回したりしてた。
 
「………ん、…ミ…ラ…?」

 違和感に気付いたアルファルドが鬱陶しそうな表情で目を覚ました。
 ほっぺを握ってた私の手をアルファルドが握りしめて、頬から手を外しちゃった。

「おはよっ、アルファルド」

 ニコッと笑って目の前のアルファルドに笑顔で挨拶した。

「……何…、してる…」

「んー…?遊んでただけ」

「…痛い」

「ハハッ、知ってるっ」

 私の手を離して、ベッドの上で寝たままアルファルドに抱きしめられた。

「……すまない」
 
「え…?」

「…昨夜は…酷く…、してしまった…」

 反省してるのか後悔してるのか、アルファルドの声が震えてる。
 アルファルドも分かってるんだよね。自分のしたことが良くない事だって。でもきっととめられなかったんだろうな。

 抱きしめられたまま、少し考えてた。

「私も、アルファルドに触りたかったのに…」

「……悪かった」

「本当に反省してる?」

「…あぁ」

 抱きしめてた私の拘束を解いて、今度はアルファルドが私の頬を両手で包み込んでる。
 見惚れちゃいそうな美貌を悲壮に染めて、本当に悪いと思ってるのか、綺麗なオッドアイがうるうると輝いてる。

 ゔ…、こんな顔は、卑怯だよ…。
 こんなトコまで真似しないでほしいなぁ。許すしかないじゃん。
 
「私も勝手に行動して悪かったから、許してあげる」

 またニコッと微笑んで言ったら、反省の色を伺わせてたアルファルドの表情が明るくなった。

「とりあえず、コレ…外してくれる?」

「……わかった」

 腕に嵌められてた手枷を外してもらって、ようやく自由になれた。まだ首輪は嵌められてるけどこっちはまだいいや。

「反省してるんだよね?アルファルド…」

「?…、あぁ」

 ベッドで起き上がったアルファルドが鍵を近くテーブルに置いて返事してる。
 私も手をぷらぷらさせて、一晩中着けてた手枷を手に持った。

「じゃあ、両手を貸して?」

「…?…何故だ?」

「いいからッ」

 差し出してきたアルファルドの両手に、散々拘束されてた手枷を取り付けた。アルファルドの腕だと私と違って幅がギリギリ入るくらいだな…。

「…ミラっ?!…何をっ…」

「私だけ拘束されるなんて、割に合わないでしょ?だから、アルファルドにもたっっぷり味合わせてあげるよ…」

 起き上がってたアルファルドの胸を押して、またベッドに押し倒した。

「…なッ」

 仰向けに倒れて両手を拘束されてるアルファルドが信じられないような顔して私を見てる。寝転んでるアルファルドに跨ぐように上に乗って、拘束されてる光景を見下ろしてる。

「なかなかいいなぁ…。お前が拘束されてる姿って、すげぇそそられる…」

 ペロッと上唇を舌で舐めて、乗っかったアルファルドの逞しい身体を手で弄っていく。

「…ぅ…、く…」

 拘束されたアルファルドが眉根を顰めてピクッと反応するたびに、私も興奮してきちゃう。

「攻められるのもいいけど、こんなイケメンの自由奪って、攻め立てるのも最高に興奮するなっ!」
 
 アルファルドの闇に負けないくらい、私の愛情もかなり歪んでるからね。
 私が触るたびに手枷を揺らして息を乱してるのも、徐々に声に色味が乗って快楽に染まってる姿見るのも、めちゃくちゃいい!
 
「……ッ、ミ…ラ」
 
「ハハッ…、アルファルド。捕まったのは私じゃなくて、お前の方なのかもなっ。…私の愛は、お前のより何倍も重いよ?」

 すっかり元気を取り戻してるアルファルドに刺激を加えながら、逞しい身体に乗り上げてその艶やかな姿を満足そうに眺めてた。


 
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