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ギルド依頼 1
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夏も涼しいまま終わって秋になって、過ごしやすい涼しい日が続いてた。元々季節の概念が薄い世界だけど、ここまで気候の変動が無いのも珍しい。
この日は休日で、私はタウリからポーションの小瓶を受け取る為、ムーリフにある自分の家までやって来てた。
「お嬢、変わりありませんかな?」
自分の家のテーブルに座り、タウリとお茶飲みながら近状報告。
毎週受け取りに来てるから、たまにこうしてお喋りしてる。
「んー? 特に無い……あっ!」
向かい合わせで私はカップを手に最近のこと思い浮かべてた。
「むっ! 何かありましたかな!?」
急に大声を上げた私にタウリが素早く反応してる。
いや……、タウリに言うことじゃないんだけど、最近アルファルドがすごく積極的で。
誰もいないトコとかで二人きりになったりすると、近づいてきて抱き寄せてキ、キスしてくるんだ……
その場面を思い浮かべてかぁーと顔が赤くなる。咄嗟に顔を両手で隠した。
「どうしましたかな! お嬢っ?!」
「な、なんでもないって! 大丈夫だからっ」
タウリがしつこく追及してくるから、思わず言い返す。
ハァ……、ダメってわかってるのに、アルファルドに迫られると嫌だって言えない。
大好きな人に迫られてイヤな人間なんていないよね。もう友達でなんていられないのに、その度に喜んで受け入れてる自分にも嫌になる。
「何かあったらちゃんと報告するんですぞ」
「ん? んー……はぁ……」
「なぜそこでため息ですかな……」
覆った指の隙間からタウリの厳つい顔を覗いた。
私をじとーっと不審そうに見てて、何故か罪悪感が湧いてくる。
「俺のことはいいんだよ。とりあえず元気でやってるし。そっちはどうなんだ?」
顔から手を外してテーブルに置かれたお茶をズズッと啜った。
「こちらも変わりはないですぞ。そういえば、最近ギルドには顔出ししておらんのですか?」
「あ、あー……、そうだな。別件が忙しくて、全然行ってないや」
ポーション事業も一段落して、オクタンと遊びに行ったりアルファルドと出掛たり、休日も忙しく過ごしてたから冒険者活動は全然してなかったよ。
「タラゼドがシリウスに急ぎの依頼があるようで……会ったら直ぐにでもギルドへ来るよう伝えてくれと頼まれましてな」
マグカップ片手に酒でも飲んでるように見えるタウリが、一番聞きたくない要件を言ってくる。
「うげ~、それって絶対帝国からの依頼だぞ! この前火炎龍退治したのに、また面倒事押し付けるつもりか?!」
「わしも詳しく聞いておらんので、内容はわかりませんな。じゃが、噂は聞いておりますぞ」
「噂?」
トンッとテーブルにマグカップ置いたタウリが、真面目な顔して口を開いた。
「なんでも、皇宮内の魔法使いが襲われる事件が起きていると」
「魔法使い……またか……」
私は前の忌まわしい事件を思い出して眉を顰めた。あれも結局原因はわからなかった。
なぜモンスターが魔法使いを攫っていたのか。事件は解決したけど、ラムのことを思い出すのがツラくて。
結局その後はギルドに丸投げしたし。
「だけど皇宮内は多重魔法結界が張られてて、帝国一安全な場所のはずだろ?」
「それがわからんので、シリウスに依頼を要請するのではないですかな? わしも詳しくは知らんのですぞ」
うーん、と腕を組んで考える。
私が行ってどうにかなるのかな?
皇宮なら魔法結界もだけど、モンスターに反応する魔法探査に優れた魔法騎士もいるだろうし、それこそソードマスタークラスの騎士だっているはずなのに。
「とにかく、今日にでもギルドに行って下され」
「んー……、気が進まないな……」
「それがSS級冒険者の言う台詞ですかなっ!」
「ハァ……」
どれだけランク上がろうと、面倒なものはやっぱり面倒なんだよ。
夏も涼しいまま終わって秋になって、過ごしやすい涼しい日が続いてた。元々季節の概念が薄い世界だけど、ここまで気候の変動が無いのも珍しい。
この日は休日で、私はタウリからポーションの小瓶を受け取る為、ムーリフにある自分の家までやって来てた。
「お嬢、変わりありませんかな?」
自分の家のテーブルに座り、タウリとお茶飲みながら近状報告。
毎週受け取りに来てるから、たまにこうしてお喋りしてる。
「んー? 特に無い……あっ!」
向かい合わせで私はカップを手に最近のこと思い浮かべてた。
「むっ! 何かありましたかな!?」
急に大声を上げた私にタウリが素早く反応してる。
いや……、タウリに言うことじゃないんだけど、最近アルファルドがすごく積極的で。
誰もいないトコとかで二人きりになったりすると、近づいてきて抱き寄せてキ、キスしてくるんだ……
その場面を思い浮かべてかぁーと顔が赤くなる。咄嗟に顔を両手で隠した。
「どうしましたかな! お嬢っ?!」
「な、なんでもないって! 大丈夫だからっ」
タウリがしつこく追及してくるから、思わず言い返す。
ハァ……、ダメってわかってるのに、アルファルドに迫られると嫌だって言えない。
大好きな人に迫られてイヤな人間なんていないよね。もう友達でなんていられないのに、その度に喜んで受け入れてる自分にも嫌になる。
「何かあったらちゃんと報告するんですぞ」
「ん? んー……はぁ……」
「なぜそこでため息ですかな……」
覆った指の隙間からタウリの厳つい顔を覗いた。
私をじとーっと不審そうに見てて、何故か罪悪感が湧いてくる。
「俺のことはいいんだよ。とりあえず元気でやってるし。そっちはどうなんだ?」
顔から手を外してテーブルに置かれたお茶をズズッと啜った。
「こちらも変わりはないですぞ。そういえば、最近ギルドには顔出ししておらんのですか?」
「あ、あー……、そうだな。別件が忙しくて、全然行ってないや」
ポーション事業も一段落して、オクタンと遊びに行ったりアルファルドと出掛たり、休日も忙しく過ごしてたから冒険者活動は全然してなかったよ。
「タラゼドがシリウスに急ぎの依頼があるようで……会ったら直ぐにでもギルドへ来るよう伝えてくれと頼まれましてな」
マグカップ片手に酒でも飲んでるように見えるタウリが、一番聞きたくない要件を言ってくる。
「うげ~、それって絶対帝国からの依頼だぞ! この前火炎龍退治したのに、また面倒事押し付けるつもりか?!」
「わしも詳しく聞いておらんので、内容はわかりませんな。じゃが、噂は聞いておりますぞ」
「噂?」
トンッとテーブルにマグカップ置いたタウリが、真面目な顔して口を開いた。
「なんでも、皇宮内の魔法使いが襲われる事件が起きていると」
「魔法使い……またか……」
私は前の忌まわしい事件を思い出して眉を顰めた。あれも結局原因はわからなかった。
なぜモンスターが魔法使いを攫っていたのか。事件は解決したけど、ラムのことを思い出すのがツラくて。
結局その後はギルドに丸投げしたし。
「だけど皇宮内は多重魔法結界が張られてて、帝国一安全な場所のはずだろ?」
「それがわからんので、シリウスに依頼を要請するのではないですかな? わしも詳しくは知らんのですぞ」
うーん、と腕を組んで考える。
私が行ってどうにかなるのかな?
皇宮なら魔法結界もだけど、モンスターに反応する魔法探査に優れた魔法騎士もいるだろうし、それこそソードマスタークラスの騎士だっているはずなのに。
「とにかく、今日にでもギルドに行って下され」
「んー……、気が進まないな……」
「それがSS級冒険者の言う台詞ですかなっ!」
「ハァ……」
どれだけランク上がろうと、面倒なものはやっぱり面倒なんだよ。
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