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エルナト先生との旅路 7
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馬車で再び迎賓館へと戻り、早速国王陛下に報告へと向かった。
「いや、実に見事だ。一度見ただけであの古代文字を解読するとは!准子爵よ、貴殿に依頼して正解だったぞ!」
謁見の場を開いてもらい、今まであったことをエルナト先生が国王陛下へと告げた。
初めに来たときみたいな感じじゃなくて、今度は貴賓室のような豪勢な部屋へと通された。
国王陛下が座るソファーに向かい、エルナト先生が対面で腰掛けて私はその後ろに立って控えてる。
先生には予め私が解読した事にせず、エルナト先生が解いたということにしてもらった。
じゃないと本当に面倒で、私はお手伝いしたくらいな感じに留めてもらったから。
「そうか…まさかあの遺跡がダンジョンだったとは驚きだ」
「…はい。隠し扉の中はまだ調べておりません。もし探査チームを送るなら、騎士や魔法使いの方も何名かお連れした方が宜しいかと」
「…うむ、そうだな。未知のダンジョンは危険を伴うからな」
「えぇ、仰る通りです。遺跡ダンジョンは歴史的価値も高いですが、その分様々な罠や呪いなどの危険性も孕んでおります。くれぐれも油断為さらぬようお気を付け下さい」
エルナト先生が国王陛下に助言を促す。
確かにあの遺跡の中は警戒したほうがいい。嫌な気配が漂ってたから、かなりの厳戒態勢で行っても大袈裟じゃないと思うよ。
後ろで立って聞いてたら、ちょうど国王陛下と視線が合った。
「お主…何といったか…」
「アトリクスと申します」
いきなり話しを振られてビックリ。急に背筋が伸びるよね。
「アトリクスよ、お主の活躍も中々のものだったと聞いておるぞ。古代文字の半数の解読と、謎解きをしたと聞いておる」
「身に余るお言葉…恐れ多く存じます」
左胸に手を当て腰を下げる。
いやー、私のことは無視して話しを進めてほしいな。全部エルナト先生の手柄にしてくれって言ったのに、先生ってそれだと納得してくれないんだもん。
私はそんなのいちいち気にしないのにさ。
「准子爵には前々から声をかけていたが断られてなぁ。お主さえ良ければ、我が王国の考古学者として迎えるぞ。これほどの知識有る者なら身分は問わん。第一級特使として称号も与え、爵位も付けるぞ」
ヒィ~!いらないよー!!
どうしてたかだかアカデミアの学生にそんな凄い高待遇を与えようとするの!?
断りづらいからやめてほしい。みんながみんな地位や名声が欲しい訳じゃないんだからね!!
「…国王陛下のご提案、大変有り難く思います」
「そうか!では…」
「ただ、私はまだ学生で魔法アカデミアに在学中の身…平民の身でアカデミアに入学することも相当の苦労と労力を要しました。できるならば卒業を迎えるまで、返答を保留させて頂けると幸いです」
よしっ、やっぱり平民最高!!
何だかんだで全てこれで解決しちゃうよね!
貴族の子息とかだと断わるのが難しくなるし、一国の王様が頼んでここまで言ってるのに嫌ですって言えないからさ。
そのまま頭を下げてやんわりと答えを先延ばしにする。
「国王陛下。彼の優秀さは帝国でも有名で、様々な著名人から声を掛けられております。その中にはアカデミアの学長や皇太子殿下もいるほどです」
「むぅ…そうか。ではアトリクスよ、お主の心が決まるまで返答は待つぞ。色良い返事を期待しておる」
「ご配慮ありがとうございます。ご期待に添えられる様、精進して参ります」
エルナト先生に話しといて良かった。学長とか皇太子殿下に言われた事を馬車の中で話しててどうしたもんかって言ってたんだけど。
まさか国王陛下にまで声かけられるとは思わなくて…。本当にまいったよ。
悪いけど卒業後はバックレるからどの話も蹴る予定だよ。
アトリクスって言う人物自体この世から居なくなるから、悩む必要もない。
国王陛下との謁見も終わり、これにて私の役目も終わってしまった。
20日どころか2日で終わっちゃったけど、せっかく他国に来たんだし色々見て周りたいからな。
エルナト先生が滞在してる部屋にお邪魔して、観光をしたいと告げると快く返事をしてくれた。
貴賓室として用意された部屋はすごくピカピカしてて、専属のメイドもついてて、私達が座ってるテーブルの前にお茶やお菓子を準備してくれてる。
「何処か見たい場所でもお有りですか?」
「んー、俺アウリガル王国は初めてきたので、何が有名とか全くわかりません。先生はご実家の近くですから、色々ご存知なのでは?」
「そうですね。帝都よりアウリガルの方が近隣でしたから、良く王国を訪れておりました。私で良ければ案内致しますよ」
「え!本当ですか!?ではよろしくお願いします!出来れば市場方面に行きたいです!」
「…あなたは相変わらずですね」
「ハハッ、俺ってその辺はぶれませんから」
他国の市場を調査するってなかなか出来ないからね!
うわあ~めちゃくちゃ楽しみ!
出されたお茶とお菓子をパクパク食べながら、観光への意欲を漲らせた。
次の日。
今日は市場調査という事で、またフード被ってエルナト先生と二人で都市部まで来てる。
意外と闘技場が多くて、沢山の冒険者や騎士や戦士が街を歩いてるのが目に入る。
あとアウリガルは鉱山を沢山抱えてる国で、宝石類が有名らしい。だから街中には原石を並べて売ってる店が沢山ある。
「へぇー、凄い数の宝石商ですね。帝都の貴族街でも、ここまではありませんからね」
「えぇ、そうですね。帝都の宝石商もほぼ半数はこのアウリガル王国から原石を輸入しております。火山層が多かったせいか様々な種類の原石が出土するようですね」
宝石か…開発品とは違うけど、私に魔法付与が出来るならここで宝石買い付けて、魔法効果のあるアクセサリーとしてアルファ商会で売っても相当儲かるよね。
宝石に秘める魔力の比率を低くして、身を護る程度の効果を発揮するくらいの物で売り出せば……。
「また商会の事を考えていらっしゃいますか?」
入った店で原石見ながら真剣に考えてたら、後ろから先生に声をかけられた。
「やっ、ハハッ…先生はお見通しですね。純度の高い原石で一儲け出来るかなって」
「…それは成功すると思いますが、危険も伴う事を念頭に置いて下さいね」
「もちろんです。ハイリスクハイリターンですから」
「?何のお話でしょう?」
「いえ、商売人の用語です」
原石見ながら話してたら、パッと目にとまる物を見つけた。そこには色んな種類の原石が置いてあった。
この原石…すごく綺麗。
手に取ったのは漆黒に輝く黒耀石。
うわ…この色、アルファルドの髪色に似てる。
しかもこれ、かなり純度の高い原石。
「手に取って見て見ますか?」
話しかけてきたのはお店の女の店員さん。
「あ…はい。いいですか?」
「えぇ、どうぞ」
普通の路面店なのに、かなり質の良い原石を売ってる。光に透かしても傷もついてないし原石だけど綺麗に磨かれてる。
「良かったら加工することもできますよ?大切な方にプレゼントとして差し上げるのは如何でしょう?喜ばれますよ」
にっこりと笑って提案される。
すごく欲しい…今まで宝石見てても欲しいなんて思ったこともないのに。
「これ下さい。あ、こっちは男性に贈りたいのでカフスボタンにしてもらえますか?」
「カフスボタンですね。畏まりました!お時間に3日ほどいただきますが宜しいですか?」
「はい。大丈夫です。よろしくお願いします。で、これとこれも…この2つは髪飾りと指輪にして下さい」
デザインとか形を決めて、何だかんだいっぱい買っちゃった。可愛いデザインばっかりですごく迷ったよ。でも普段使いにするにはちょうど良かった。
「畏まりました。ありがとうございます!」
うわ~い!嬉しい!
宝石なんて買った事もないけど、何か気に入ったのを手に入れるのって満足感ある!
いくら路面店でも安い買い物じゃないし、いい値段したけど出来るのが楽しみだな~。
「そちらは公爵に贈るものですか?」
「──っ!!」
後ろから声をかけられてビクッと体が跳ねる。
エルナト先生が後ろから見てて、何となく罪悪感を感じてしまう。
「い、いえ…そういう訳じゃ…」
「あなたはすぐ顔に出ますから、聞かなくてもわかります。特に隠す必要はないと思いますが?」
「隠してる訳じゃありません。色んな人のお土産で贈ろうと思ってますから」
隠してるならこんなに堂々と買わないよ。
こういう装飾品て普段着けないからな。
頼んだお店を後にすると、エルナト先生について市場調査へと再度足を進めた。
馬車で再び迎賓館へと戻り、早速国王陛下に報告へと向かった。
「いや、実に見事だ。一度見ただけであの古代文字を解読するとは!准子爵よ、貴殿に依頼して正解だったぞ!」
謁見の場を開いてもらい、今まであったことをエルナト先生が国王陛下へと告げた。
初めに来たときみたいな感じじゃなくて、今度は貴賓室のような豪勢な部屋へと通された。
国王陛下が座るソファーに向かい、エルナト先生が対面で腰掛けて私はその後ろに立って控えてる。
先生には予め私が解読した事にせず、エルナト先生が解いたということにしてもらった。
じゃないと本当に面倒で、私はお手伝いしたくらいな感じに留めてもらったから。
「そうか…まさかあの遺跡がダンジョンだったとは驚きだ」
「…はい。隠し扉の中はまだ調べておりません。もし探査チームを送るなら、騎士や魔法使いの方も何名かお連れした方が宜しいかと」
「…うむ、そうだな。未知のダンジョンは危険を伴うからな」
「えぇ、仰る通りです。遺跡ダンジョンは歴史的価値も高いですが、その分様々な罠や呪いなどの危険性も孕んでおります。くれぐれも油断為さらぬようお気を付け下さい」
エルナト先生が国王陛下に助言を促す。
確かにあの遺跡の中は警戒したほうがいい。嫌な気配が漂ってたから、かなりの厳戒態勢で行っても大袈裟じゃないと思うよ。
後ろで立って聞いてたら、ちょうど国王陛下と視線が合った。
「お主…何といったか…」
「アトリクスと申します」
いきなり話しを振られてビックリ。急に背筋が伸びるよね。
「アトリクスよ、お主の活躍も中々のものだったと聞いておるぞ。古代文字の半数の解読と、謎解きをしたと聞いておる」
「身に余るお言葉…恐れ多く存じます」
左胸に手を当て腰を下げる。
いやー、私のことは無視して話しを進めてほしいな。全部エルナト先生の手柄にしてくれって言ったのに、先生ってそれだと納得してくれないんだもん。
私はそんなのいちいち気にしないのにさ。
「准子爵には前々から声をかけていたが断られてなぁ。お主さえ良ければ、我が王国の考古学者として迎えるぞ。これほどの知識有る者なら身分は問わん。第一級特使として称号も与え、爵位も付けるぞ」
ヒィ~!いらないよー!!
どうしてたかだかアカデミアの学生にそんな凄い高待遇を与えようとするの!?
断りづらいからやめてほしい。みんながみんな地位や名声が欲しい訳じゃないんだからね!!
「…国王陛下のご提案、大変有り難く思います」
「そうか!では…」
「ただ、私はまだ学生で魔法アカデミアに在学中の身…平民の身でアカデミアに入学することも相当の苦労と労力を要しました。できるならば卒業を迎えるまで、返答を保留させて頂けると幸いです」
よしっ、やっぱり平民最高!!
何だかんだで全てこれで解決しちゃうよね!
貴族の子息とかだと断わるのが難しくなるし、一国の王様が頼んでここまで言ってるのに嫌ですって言えないからさ。
そのまま頭を下げてやんわりと答えを先延ばしにする。
「国王陛下。彼の優秀さは帝国でも有名で、様々な著名人から声を掛けられております。その中にはアカデミアの学長や皇太子殿下もいるほどです」
「むぅ…そうか。ではアトリクスよ、お主の心が決まるまで返答は待つぞ。色良い返事を期待しておる」
「ご配慮ありがとうございます。ご期待に添えられる様、精進して参ります」
エルナト先生に話しといて良かった。学長とか皇太子殿下に言われた事を馬車の中で話しててどうしたもんかって言ってたんだけど。
まさか国王陛下にまで声かけられるとは思わなくて…。本当にまいったよ。
悪いけど卒業後はバックレるからどの話も蹴る予定だよ。
アトリクスって言う人物自体この世から居なくなるから、悩む必要もない。
国王陛下との謁見も終わり、これにて私の役目も終わってしまった。
20日どころか2日で終わっちゃったけど、せっかく他国に来たんだし色々見て周りたいからな。
エルナト先生が滞在してる部屋にお邪魔して、観光をしたいと告げると快く返事をしてくれた。
貴賓室として用意された部屋はすごくピカピカしてて、専属のメイドもついてて、私達が座ってるテーブルの前にお茶やお菓子を準備してくれてる。
「何処か見たい場所でもお有りですか?」
「んー、俺アウリガル王国は初めてきたので、何が有名とか全くわかりません。先生はご実家の近くですから、色々ご存知なのでは?」
「そうですね。帝都よりアウリガルの方が近隣でしたから、良く王国を訪れておりました。私で良ければ案内致しますよ」
「え!本当ですか!?ではよろしくお願いします!出来れば市場方面に行きたいです!」
「…あなたは相変わらずですね」
「ハハッ、俺ってその辺はぶれませんから」
他国の市場を調査するってなかなか出来ないからね!
うわあ~めちゃくちゃ楽しみ!
出されたお茶とお菓子をパクパク食べながら、観光への意欲を漲らせた。
次の日。
今日は市場調査という事で、またフード被ってエルナト先生と二人で都市部まで来てる。
意外と闘技場が多くて、沢山の冒険者や騎士や戦士が街を歩いてるのが目に入る。
あとアウリガルは鉱山を沢山抱えてる国で、宝石類が有名らしい。だから街中には原石を並べて売ってる店が沢山ある。
「へぇー、凄い数の宝石商ですね。帝都の貴族街でも、ここまではありませんからね」
「えぇ、そうですね。帝都の宝石商もほぼ半数はこのアウリガル王国から原石を輸入しております。火山層が多かったせいか様々な種類の原石が出土するようですね」
宝石か…開発品とは違うけど、私に魔法付与が出来るならここで宝石買い付けて、魔法効果のあるアクセサリーとしてアルファ商会で売っても相当儲かるよね。
宝石に秘める魔力の比率を低くして、身を護る程度の効果を発揮するくらいの物で売り出せば……。
「また商会の事を考えていらっしゃいますか?」
入った店で原石見ながら真剣に考えてたら、後ろから先生に声をかけられた。
「やっ、ハハッ…先生はお見通しですね。純度の高い原石で一儲け出来るかなって」
「…それは成功すると思いますが、危険も伴う事を念頭に置いて下さいね」
「もちろんです。ハイリスクハイリターンですから」
「?何のお話でしょう?」
「いえ、商売人の用語です」
原石見ながら話してたら、パッと目にとまる物を見つけた。そこには色んな種類の原石が置いてあった。
この原石…すごく綺麗。
手に取ったのは漆黒に輝く黒耀石。
うわ…この色、アルファルドの髪色に似てる。
しかもこれ、かなり純度の高い原石。
「手に取って見て見ますか?」
話しかけてきたのはお店の女の店員さん。
「あ…はい。いいですか?」
「えぇ、どうぞ」
普通の路面店なのに、かなり質の良い原石を売ってる。光に透かしても傷もついてないし原石だけど綺麗に磨かれてる。
「良かったら加工することもできますよ?大切な方にプレゼントとして差し上げるのは如何でしょう?喜ばれますよ」
にっこりと笑って提案される。
すごく欲しい…今まで宝石見てても欲しいなんて思ったこともないのに。
「これ下さい。あ、こっちは男性に贈りたいのでカフスボタンにしてもらえますか?」
「カフスボタンですね。畏まりました!お時間に3日ほどいただきますが宜しいですか?」
「はい。大丈夫です。よろしくお願いします。で、これとこれも…この2つは髪飾りと指輪にして下さい」
デザインとか形を決めて、何だかんだいっぱい買っちゃった。可愛いデザインばっかりですごく迷ったよ。でも普段使いにするにはちょうど良かった。
「畏まりました。ありがとうございます!」
うわ~い!嬉しい!
宝石なんて買った事もないけど、何か気に入ったのを手に入れるのって満足感ある!
いくら路面店でも安い買い物じゃないし、いい値段したけど出来るのが楽しみだな~。
「そちらは公爵に贈るものですか?」
「──っ!!」
後ろから声をかけられてビクッと体が跳ねる。
エルナト先生が後ろから見てて、何となく罪悪感を感じてしまう。
「い、いえ…そういう訳じゃ…」
「あなたはすぐ顔に出ますから、聞かなくてもわかります。特に隠す必要はないと思いますが?」
「隠してる訳じゃありません。色んな人のお土産で贈ろうと思ってますから」
隠してるならこんなに堂々と買わないよ。
こういう装飾品て普段着けないからな。
頼んだお店を後にすると、エルナト先生について市場調査へと再度足を進めた。
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