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ドラコニス公爵家救済計画 18
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やった~!! これでようやくポーションを販売できる!!
本当に長かったー……
ふぅ~……って息を吐いて、天を仰いだ。
「…アトリクス?」
魔法誓約が完了して達成感に満ちてた私を、アルファルドが不思議そうに見てた。
「ハハッ、なんでもない。……ではケイドさん、まずは帝国中の支店に各店舗10本ずつポーションを置いてもらいます。先行は貴族側の店舗のみ……おそらくそれだけでは足りないと思いますが、様子見ということで魔法結界を張ったケースでの販売を行なってください」
「各店舗10本……帝国全土ですと、約10店舗で、100本のみの限定販売ということになりますね?」
「えぇ。ちなみにポーション一本50万G。契約書通りこちらの取り分は一本当たり30万G。ですので、この場で即金3000万Gのご用意をお願いいたします」
「…さ、3000万G……」
アルファルドが金額聞いて驚愕の声を上げてる。これだけで公爵家の借金がほぼ帳消しになるからね。
「畏まりました。只今ご用意いたしますので、暫くお待ちください」
ケイドは立ち上がると部屋から出て行った。
パタンと扉が閉まったのを確認して、アルファルドが隣で座ってた私に向き合った。
「…アトリクス。こんな大金……一体どうするつもりだ……」
「ん? そんなの決まってるだろ?」
隣で座ってたアルファルドは、いまだに信じられない様子。椅子から乗り出して私に問い詰めてる。
それと同時に、トントンと扉を叩く音が聞こえた。
「あ……お話し中大変申し訳ございません。アトリクス様……少しお聞きしたいことがございますので、宜しいでしょうか?」
話してる途中で、扉から顔を出したケイドに呼ばれた。
「あ……はい。行きます! アルファルド、ちょっと待っててくれ」
「………わかった」
不満そうなアルファルドにニコッと笑って席を立った。
扉の方まで行って、ケイドと一緒に廊下へ出た。
「……急にお呼びたてして申し訳ございません。ひとまずこちらへお入りください」
「えぇ、わかりました」
脇にある部屋へと通された。
ここは特別室とはまた別の部屋。中は棚とかはあるものの、物置みたいな造りになっている。
「アトリクス様……私の思い違いでなければ、貴方は……ミラお嬢様でお間違えないですか? 容姿もさることながら書面の筆跡もそっくりです。そして貴方の決断力と経営に関する知識は、まさにミラお嬢様そのものです」
真剣な眼差しでケイドに聞かれる。
ま、あそこまで言っちゃえばバレバレだよね。わざとそう仕向けたのもあるし。
「さぁ? 誰のことだか……俺にはさっぱりわかりませんね。それに俺はれっきとした男ですから」
「……そう……ですか……」
あからさまに落胆してる様子のケイド。
完全にバラすわけにもいかないんだよ。
ごめんね、ケイド。
「ただ言えるのは……貴方の大恩人がしたように、俺はアイツを……ドラコニス公爵を救ってやりたいってことだけです」
私の言葉にケイドは目を開いて凝視してる。
「――! なるほど……。わかりました。やはりそうなのですね」
「ハハッ、一体なんのことでしょう?」
「いえ、こちらの独り言です。そういうことでしたら、私どもも全面的に協力させていただきます」
「それは助かります。是非よろしくお願いします」
「はい。畏まりました!」
ニッコリ笑った私に、ケイドは深々お辞儀をしてる。
ありがとう、ケイド。
まだ全部話すことはできないから、今はこの程度で許してね。
またミラに戻ったら、その時はちゃんと話すから。
再び部屋に戻ってきた私とケイドは、またお互い向かい合わせの席に付いた。
「では、こちらが3000万Gです。どうぞ手に取ってお確かめください」
ケイドが大袋2つに入った現金をテーブルの上に並べてる。
隣で座ってたアルファルドは、ゴクリと唾を飲み込んでその大金をジッと見てた。
「いえ、確認は結構です。こちらも信頼していますから」
ニッコリ笑って袋を受け取った。持ってきたケースをテーブルの上に開けて、木箱の中身を確認してもらう。
布に包んで緩衝材変わりにして持ってきたから割れてはないと思う。
「上下50本ずつで、計100本……確かに受け取りました」
「俺の予想ですと、即日完売すると思います。追加をお望みの際は、帝都のドラコニス公爵邸へと足を運んでください。その際にも現金と引き換えでポーションをお渡しいたします」
「畏まりました」
「ただし、一日に引き換えられる数は各店舗10本のみです。それ以上はお受けできません」
「……理由をお聞かせ願えますか?」
「それは闇市への横流しを止める為です。ですので、ポーション購入される顧客には必ず理由を聞き、購入する際のリスクを説明してから販売してください。それも一人に付き一本限りです。魔法誓約書にも書きましたが、ここは徹底して守ってください!」
これを破ると購入者側に魔法誓約が発生して、罰が与えられちゃうからね。
だからこそ店側も、それについての説明もきっちりとしなきゃいけない。
キッとケイドを射竦めるように視線を飛ばした。
ケイドもビクッとしたあとに、真剣な顔で私に向き直った。
「了承いたしました。肝に銘じます」
また深々と頭を下げてるケイド。
アルファルドはいまだにテーブルに置いてある大金入った袋を呆然と見てた。
やった~!! これでようやくポーションを販売できる!!
本当に長かったー……
ふぅ~……って息を吐いて、天を仰いだ。
「…アトリクス?」
魔法誓約が完了して達成感に満ちてた私を、アルファルドが不思議そうに見てた。
「ハハッ、なんでもない。……ではケイドさん、まずは帝国中の支店に各店舗10本ずつポーションを置いてもらいます。先行は貴族側の店舗のみ……おそらくそれだけでは足りないと思いますが、様子見ということで魔法結界を張ったケースでの販売を行なってください」
「各店舗10本……帝国全土ですと、約10店舗で、100本のみの限定販売ということになりますね?」
「えぇ。ちなみにポーション一本50万G。契約書通りこちらの取り分は一本当たり30万G。ですので、この場で即金3000万Gのご用意をお願いいたします」
「…さ、3000万G……」
アルファルドが金額聞いて驚愕の声を上げてる。これだけで公爵家の借金がほぼ帳消しになるからね。
「畏まりました。只今ご用意いたしますので、暫くお待ちください」
ケイドは立ち上がると部屋から出て行った。
パタンと扉が閉まったのを確認して、アルファルドが隣で座ってた私に向き合った。
「…アトリクス。こんな大金……一体どうするつもりだ……」
「ん? そんなの決まってるだろ?」
隣で座ってたアルファルドは、いまだに信じられない様子。椅子から乗り出して私に問い詰めてる。
それと同時に、トントンと扉を叩く音が聞こえた。
「あ……お話し中大変申し訳ございません。アトリクス様……少しお聞きしたいことがございますので、宜しいでしょうか?」
話してる途中で、扉から顔を出したケイドに呼ばれた。
「あ……はい。行きます! アルファルド、ちょっと待っててくれ」
「………わかった」
不満そうなアルファルドにニコッと笑って席を立った。
扉の方まで行って、ケイドと一緒に廊下へ出た。
「……急にお呼びたてして申し訳ございません。ひとまずこちらへお入りください」
「えぇ、わかりました」
脇にある部屋へと通された。
ここは特別室とはまた別の部屋。中は棚とかはあるものの、物置みたいな造りになっている。
「アトリクス様……私の思い違いでなければ、貴方は……ミラお嬢様でお間違えないですか? 容姿もさることながら書面の筆跡もそっくりです。そして貴方の決断力と経営に関する知識は、まさにミラお嬢様そのものです」
真剣な眼差しでケイドに聞かれる。
ま、あそこまで言っちゃえばバレバレだよね。わざとそう仕向けたのもあるし。
「さぁ? 誰のことだか……俺にはさっぱりわかりませんね。それに俺はれっきとした男ですから」
「……そう……ですか……」
あからさまに落胆してる様子のケイド。
完全にバラすわけにもいかないんだよ。
ごめんね、ケイド。
「ただ言えるのは……貴方の大恩人がしたように、俺はアイツを……ドラコニス公爵を救ってやりたいってことだけです」
私の言葉にケイドは目を開いて凝視してる。
「――! なるほど……。わかりました。やはりそうなのですね」
「ハハッ、一体なんのことでしょう?」
「いえ、こちらの独り言です。そういうことでしたら、私どもも全面的に協力させていただきます」
「それは助かります。是非よろしくお願いします」
「はい。畏まりました!」
ニッコリ笑った私に、ケイドは深々お辞儀をしてる。
ありがとう、ケイド。
まだ全部話すことはできないから、今はこの程度で許してね。
またミラに戻ったら、その時はちゃんと話すから。
再び部屋に戻ってきた私とケイドは、またお互い向かい合わせの席に付いた。
「では、こちらが3000万Gです。どうぞ手に取ってお確かめください」
ケイドが大袋2つに入った現金をテーブルの上に並べてる。
隣で座ってたアルファルドは、ゴクリと唾を飲み込んでその大金をジッと見てた。
「いえ、確認は結構です。こちらも信頼していますから」
ニッコリ笑って袋を受け取った。持ってきたケースをテーブルの上に開けて、木箱の中身を確認してもらう。
布に包んで緩衝材変わりにして持ってきたから割れてはないと思う。
「上下50本ずつで、計100本……確かに受け取りました」
「俺の予想ですと、即日完売すると思います。追加をお望みの際は、帝都のドラコニス公爵邸へと足を運んでください。その際にも現金と引き換えでポーションをお渡しいたします」
「畏まりました」
「ただし、一日に引き換えられる数は各店舗10本のみです。それ以上はお受けできません」
「……理由をお聞かせ願えますか?」
「それは闇市への横流しを止める為です。ですので、ポーション購入される顧客には必ず理由を聞き、購入する際のリスクを説明してから販売してください。それも一人に付き一本限りです。魔法誓約書にも書きましたが、ここは徹底して守ってください!」
これを破ると購入者側に魔法誓約が発生して、罰が与えられちゃうからね。
だからこそ店側も、それについての説明もきっちりとしなきゃいけない。
キッとケイドを射竦めるように視線を飛ばした。
ケイドもビクッとしたあとに、真剣な顔で私に向き直った。
「了承いたしました。肝に銘じます」
また深々と頭を下げてるケイド。
アルファルドはいまだにテーブルに置いてある大金入った袋を呆然と見てた。
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