135 / 392
ドラコニス公爵家救済計画 6
しおりを挟む
'
「お邪魔します!」
ドラコニス公爵邸に来るのも久しぶりだなー。
初めて泊まった時から結構間が空いちゃったし。こんな急に泊まる予定じゃなかったんだけどな……
もちろんすごく嬉しいし、しかもアルファルドから申し出てくれるなんてビックリしちゃったけど。
ただポーションの数量が知りたかっただけなのに……いいのかな?
「お疲れ様でこざいます。旦那様、アートさん」
「ご無沙汰してます、ベッテルさん! またお世話になります。いつも急ですみません」
「ほほっ、とんでも御座いません。リタも喜びますよ。アートさんがご訪問されるのを、今か今かと心待ちにしておりましたからな」
また突然の訪問なのに、朗らかに笑って迎え出てくれたベッテルさん。
本当に良い人だよね。私みたいな平民にもちゃんと接してくれるし、リタさんもすごく良くしてくれてる。
「ありがとうございます。その、今日も……」
「…また泊まる。…準備を頼む」
「かしこまりました」
微笑みながら中へと案内してくれて、またアルファルドと一緒に部屋まで足を運んだ。
重厚な扉を開けて中に入ると、やっぱりベッドと机しかない……と思っていたのに。
「あれ? どうしたんだ、これ?」
応接用っぽい品の良いテーブルと、二人掛けくらいのソファーが置いてあった。
新品みたいで、それだけがピカピカしてて異様に目立ってる。
部屋の中に入ったアルファルドが、私の腕を引いてそのソファーの所まで引っ張っていってる。
「アルファルド?」
「…座れ」
促されてアルファルドと一緒に、新品のソファーに腰掛けた。丁度良い硬さで座り心地の良い物だった。
「おっ、すごく座りやすい! もしかして買ったのか?」
「…リタが購入してきた」
「リタさんが?」
「…あぁ。…お前のおかげだそうだ」
「え……? 俺??」
私のおかげって、何かしたっけ?
初めに泊まった時はアルファルドにお金渡して、公爵家に手土産を置いて……あ、もしかしてそれかなぁ?
アルファルドが私の肩を抱き寄せて、自分の方へと近づけてる。
「あっ……、ど、どうした?」
いきなり距離が近くてビックリする。
ふわっと石鹸の匂いが香ってきて、アルファルドの胸元に手を置きながらドキドキでいっぱいになる。
アルファルドって家だと安心なのか、よく話すし積極的に触れてきてくれるんだよね。
「…俺の知らない間に手土産なんて用意して……」
「あー……と、……バレた?」
おかしいな。内緒って言ったのに。
でも、アルファルドの部屋に物が増えるのってなんだか嬉しい!
「…余計な気を回すな」
「ハハッ、お世話になるんだから手土産くらいいいだろ? あとはどう使おうと勝手だしなっ」
二人で密着して座っても少し余るくらい余裕がある。これなら今日はここで寝れそう! リタさんナイスっ!!
リタさんのおかげでアルファルドの貞操が守られて、私も別の寝床が出来て安心した。
肩を引き寄せて落ち着かない距離のまま、アルファルドは話を続けてる。
「…リタにも、必要ないと言ったんだが……」
いや、悪いけどめちゃくちゃ必要だよ!? 少なくとも私は感謝してる!
「俺からしたらすごくありがたいよ! さすがにアルファルドのベッドでお茶とか飲むのは、ちょっと気が引けるし……」
それにベッドに座ってると色々と想像しちゃって落ち着かないんだよ……
誰もいなきゃ布団に潜り込んで、アルファルドの匂いとか思う存分堪能しそうだし。
「…そう、なのか」
「うん! リタさんに感謝しないとっ」
近い距離でニコッと笑って言うと、アルファルドも納得したのか肩から手を離してソファーに座り直した。
私も一定の距離が空いて、残念な気持ちもあるけどホッとした。
「…お前がいいなら、いい……」
「ん?」
「…いや」
よくわからないけど私は万々歳!
肘掛けも枕代わりになりそうで最高だよ。リタさんいい仕事してくれたね!
「あ、そうだ!」
思い出したように呟いて、隣にいるアルファルドを見た。
「できたポーションの在庫を確認しにきたんだ! 悪いっ、ポーション置いてある部屋を見せてもらっていいか?」
「…あぁ、移動するか」
「うん。よろしく!」
ソファーから立ち上がってアルファルドの部屋を出る頃には、外も夕暮れ時になってた。
暗くなると確認しづらいから、急いで案内してもらう。
空き部屋まで来ると、何もない部屋一面にズラッと並んだ小瓶の数に圧倒される。
「改めて見ると……、スゴイな……」
「…あぁ。毎日作っていたからな」
「そうだな。……さてと、ちょっと数えてくから時間かかるぞ?」
「…その必要はない」
「へ?」
アルファルドが胸ポケットから何か取り出して、私の前に出してきた。
受け取って開くと、各部屋ごとに置いてあるポーション、ハイポーションの数が書いてある。
「嘘だろ!? めちゃくちゃ嬉しい!! ありがとな、アルファルド!」
「………いや」
この量を数えるのは正直大変だと思ってたから、まさか在庫数の管理までしてくれてたなんて嬉しすぎる!
ニコニコ笑ってアルファルドにお礼を言うと、やっぱりそっぽ向いてた。
あれ……?
でも、数えてくれて紙まで用意してあったなら、やっぱり泊まらなくても良かったんじゃ……
紙を見ながら不思議に思ってチラッとアルファルドを見る。
アルファルドは大量のポーションに目を移してて……うーん、アルファルドってやっぱりわからない。
とりあえずポーション、ハイポーションの数はわかった。あとは商会と交渉して、販売にこぎつけたら――
アルファルドからもらった紙を見ながらこれからの事を考えてたら、隣で立ってたアルファルドが話しかけてくる。
「…アトリクス」
「んー……?」
「…これだけの量の回復薬をどうするつもりだ?」
「どうって……、売るつもりだけど?」
「…それは、わかっているが。…そもそも、何故作ろうと思ったんだ」
紙を見てた顔を上げて、質問してきたアルファルドに目を移した。
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「…あぁ、しつこく入れとしか」
「あー……ハハッ、そうだったな!」
懐かしいなぁ~。私がアルファルド追っかけてサークルに入ってくれって言ってた時。
私の隣で立って腕組んでたアルファルドを見てから、部屋に大量に置かれてるポーション達に視線を移した。
「一番の理由は、ポーションの常備化だ」
「…常備化?」
「うん……スタンピードの時に思い知らされた。回復薬の圧倒的不足。もし、大昔みたいにポーションがありふれた世の中だったら、救える命がもっと沢山あったはずなんだ……」
「……」
「目の前で消えていく命を少しでも減らしたい。怪我のせいで哀しむ人たちを、一人でも多く救いたいんだ」
そう……、回復薬がすぐそばにあったら救えた命。
今すぐの常備化は無理だけど、少しずつでもいいから浸透させていきたいから。
「お邪魔します!」
ドラコニス公爵邸に来るのも久しぶりだなー。
初めて泊まった時から結構間が空いちゃったし。こんな急に泊まる予定じゃなかったんだけどな……
もちろんすごく嬉しいし、しかもアルファルドから申し出てくれるなんてビックリしちゃったけど。
ただポーションの数量が知りたかっただけなのに……いいのかな?
「お疲れ様でこざいます。旦那様、アートさん」
「ご無沙汰してます、ベッテルさん! またお世話になります。いつも急ですみません」
「ほほっ、とんでも御座いません。リタも喜びますよ。アートさんがご訪問されるのを、今か今かと心待ちにしておりましたからな」
また突然の訪問なのに、朗らかに笑って迎え出てくれたベッテルさん。
本当に良い人だよね。私みたいな平民にもちゃんと接してくれるし、リタさんもすごく良くしてくれてる。
「ありがとうございます。その、今日も……」
「…また泊まる。…準備を頼む」
「かしこまりました」
微笑みながら中へと案内してくれて、またアルファルドと一緒に部屋まで足を運んだ。
重厚な扉を開けて中に入ると、やっぱりベッドと机しかない……と思っていたのに。
「あれ? どうしたんだ、これ?」
応接用っぽい品の良いテーブルと、二人掛けくらいのソファーが置いてあった。
新品みたいで、それだけがピカピカしてて異様に目立ってる。
部屋の中に入ったアルファルドが、私の腕を引いてそのソファーの所まで引っ張っていってる。
「アルファルド?」
「…座れ」
促されてアルファルドと一緒に、新品のソファーに腰掛けた。丁度良い硬さで座り心地の良い物だった。
「おっ、すごく座りやすい! もしかして買ったのか?」
「…リタが購入してきた」
「リタさんが?」
「…あぁ。…お前のおかげだそうだ」
「え……? 俺??」
私のおかげって、何かしたっけ?
初めに泊まった時はアルファルドにお金渡して、公爵家に手土産を置いて……あ、もしかしてそれかなぁ?
アルファルドが私の肩を抱き寄せて、自分の方へと近づけてる。
「あっ……、ど、どうした?」
いきなり距離が近くてビックリする。
ふわっと石鹸の匂いが香ってきて、アルファルドの胸元に手を置きながらドキドキでいっぱいになる。
アルファルドって家だと安心なのか、よく話すし積極的に触れてきてくれるんだよね。
「…俺の知らない間に手土産なんて用意して……」
「あー……と、……バレた?」
おかしいな。内緒って言ったのに。
でも、アルファルドの部屋に物が増えるのってなんだか嬉しい!
「…余計な気を回すな」
「ハハッ、お世話になるんだから手土産くらいいいだろ? あとはどう使おうと勝手だしなっ」
二人で密着して座っても少し余るくらい余裕がある。これなら今日はここで寝れそう! リタさんナイスっ!!
リタさんのおかげでアルファルドの貞操が守られて、私も別の寝床が出来て安心した。
肩を引き寄せて落ち着かない距離のまま、アルファルドは話を続けてる。
「…リタにも、必要ないと言ったんだが……」
いや、悪いけどめちゃくちゃ必要だよ!? 少なくとも私は感謝してる!
「俺からしたらすごくありがたいよ! さすがにアルファルドのベッドでお茶とか飲むのは、ちょっと気が引けるし……」
それにベッドに座ってると色々と想像しちゃって落ち着かないんだよ……
誰もいなきゃ布団に潜り込んで、アルファルドの匂いとか思う存分堪能しそうだし。
「…そう、なのか」
「うん! リタさんに感謝しないとっ」
近い距離でニコッと笑って言うと、アルファルドも納得したのか肩から手を離してソファーに座り直した。
私も一定の距離が空いて、残念な気持ちもあるけどホッとした。
「…お前がいいなら、いい……」
「ん?」
「…いや」
よくわからないけど私は万々歳!
肘掛けも枕代わりになりそうで最高だよ。リタさんいい仕事してくれたね!
「あ、そうだ!」
思い出したように呟いて、隣にいるアルファルドを見た。
「できたポーションの在庫を確認しにきたんだ! 悪いっ、ポーション置いてある部屋を見せてもらっていいか?」
「…あぁ、移動するか」
「うん。よろしく!」
ソファーから立ち上がってアルファルドの部屋を出る頃には、外も夕暮れ時になってた。
暗くなると確認しづらいから、急いで案内してもらう。
空き部屋まで来ると、何もない部屋一面にズラッと並んだ小瓶の数に圧倒される。
「改めて見ると……、スゴイな……」
「…あぁ。毎日作っていたからな」
「そうだな。……さてと、ちょっと数えてくから時間かかるぞ?」
「…その必要はない」
「へ?」
アルファルドが胸ポケットから何か取り出して、私の前に出してきた。
受け取って開くと、各部屋ごとに置いてあるポーション、ハイポーションの数が書いてある。
「嘘だろ!? めちゃくちゃ嬉しい!! ありがとな、アルファルド!」
「………いや」
この量を数えるのは正直大変だと思ってたから、まさか在庫数の管理までしてくれてたなんて嬉しすぎる!
ニコニコ笑ってアルファルドにお礼を言うと、やっぱりそっぽ向いてた。
あれ……?
でも、数えてくれて紙まで用意してあったなら、やっぱり泊まらなくても良かったんじゃ……
紙を見ながら不思議に思ってチラッとアルファルドを見る。
アルファルドは大量のポーションに目を移してて……うーん、アルファルドってやっぱりわからない。
とりあえずポーション、ハイポーションの数はわかった。あとは商会と交渉して、販売にこぎつけたら――
アルファルドからもらった紙を見ながらこれからの事を考えてたら、隣で立ってたアルファルドが話しかけてくる。
「…アトリクス」
「んー……?」
「…これだけの量の回復薬をどうするつもりだ?」
「どうって……、売るつもりだけど?」
「…それは、わかっているが。…そもそも、何故作ろうと思ったんだ」
紙を見てた顔を上げて、質問してきたアルファルドに目を移した。
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「…あぁ、しつこく入れとしか」
「あー……ハハッ、そうだったな!」
懐かしいなぁ~。私がアルファルド追っかけてサークルに入ってくれって言ってた時。
私の隣で立って腕組んでたアルファルドを見てから、部屋に大量に置かれてるポーション達に視線を移した。
「一番の理由は、ポーションの常備化だ」
「…常備化?」
「うん……スタンピードの時に思い知らされた。回復薬の圧倒的不足。もし、大昔みたいにポーションがありふれた世の中だったら、救える命がもっと沢山あったはずなんだ……」
「……」
「目の前で消えていく命を少しでも減らしたい。怪我のせいで哀しむ人たちを、一人でも多く救いたいんだ」
そう……、回復薬がすぐそばにあったら救えた命。
今すぐの常備化は無理だけど、少しずつでもいいから浸透させていきたいから。
11
お気に入りに追加
322
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
運命の歯車が壊れるとき
和泉鷹央
恋愛
戦争に行くから、君とは結婚できない。
恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。
他の投稿サイトでも掲載しております。
鬼畜なエロゲ世界にモブ転生!?このままだと鬱ENDらしいので、ヒロイン全員寝取ってハピエン目指します!
ぽんぽこ@書籍発売中!!
ファンタジー
「助けて、このままじゃヒロインに殺される……!!」
気が付いたら俺はエロゲーム世界のモブキャラになっていた。
しかしこのエロゲー、ただヒロインを攻略してエッチなことを楽しむヌルいゲームではない。
主人公の死=世界の崩壊を迎える『ハイスクール・クライシス』というクソゲーだったのだ。
ついでに俺がなっちまったのは、どのルートを選んでも暗殺者であるヒロインたちに殺されるモブキャラクター。このままではゲームオーバーを迎えるのは確定事項。
「俺は諦めねぇぞ……トワりんとのハッピーエンドを見付けるまでは……!!」
モブヒロインの家庭科教師に恋した俺は、彼女との幸せな結末を迎えるルートを探すため、エロゲー特有のアイテムを片手に理不尽な『ハイクラ』世界の攻略をすることにした。
だが、最初のイベントで本来のエロゲー主人公がとんでもないことに……!?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
W-score
フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。
優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…
天才と呼ばれた彼女は無理矢理入れられた後宮で、怠惰な生活を極めようとする
カエデネコ
恋愛
※カクヨムの方にも載せてあります。サブストーリーなども書いていますので、よかったら、お越しくださいm(_ _)m
リアンは有名私塾に通い、天才と名高い少女であった。しかしある日突然、陛下の花嫁探しに白羽の矢が立ち、有無を言わさず後宮へ入れられてしまう。
王妃候補なんてなりたくない。やる気ゼロの彼女は後宮の部屋へ引きこもり、怠惰に暮らすためにその能力を使うことにした。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる