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新サークル編 2
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この日も私はアルファルドの隣に座って講義を受けてる。また休憩時間になると思いついたことをアルファルドに話してた。
反対隣にいるオクタンも少しは慣れて来たのか、私が一方的にアルファルドに話してても合間に会話するようになってた。
「あ、…んと、アート君…そういえば、もうすぐ前期の、定期試験…だよ」
「ん…?定期試験?あぁ…そんなのあったなぁ」
「そんなの…って…んと…余裕?」
ん?定期試験…アカデミア入って一番初めの……。
そのキーワードでパッと思い出した。
「あぁ~!しまったぁ!」
急に大事なイベント思い出して、焦って大声出してガタッと席を立った。
講堂にいた周りの生徒もこっちに注目してた。
今がまだ人の少ない休憩時間で良かった。
「ど、…どーした、の!?」
「やばい…」
「な、なに…?」
一番初めの試験の前に、初めてポラリスとレグルス様の一歩踏み出すシーンがあったのに!
アルファルドとポラリスの出会い阻止するのに夢中になってて、すっかり忘れてたー!!
ハァ…、ちょっと見たかったのになぁ…。
立ったまま机に手を付いてガクリと肩を落としてた。
私が心の中でシクシク泣いてると、下から3人組が怒った形相でこっちにやってくる。
「騒がしいぞっ、平民め!耳障りだ!!」
「アカデミアの品位を落とさないでくれるか?」
「黙れよ!迷惑なんだよ!!」
私の席の真ん前にやってきたのは見慣れない貴族の子息たち。
特に平凡な顔の金髪と、平凡な顔のくすんだ赤毛に、平凡な顔の茶髪。
名前も家柄も全くわからないから、上から仮でモブオABCとしよう。
うーん、完全なモブ達だ。
言いがかりは許せないけど、大声出して騒がせたのは確かに悪いよね。
言い方はムカつくけど、ここは謝らないとね。
「いや、悪い…ごめんな。騒がせちまって」
周りがヒソヒソ言ってるから周囲にも向けて片手上げて謝るけど、相手はそれだけじゃ収まらないみたい。
「もっと頭擦りつけて、土下座でもしろよっ!!貴族舐めてるだろ!」
「…俺はちゃんと謝ったぞ」
「お前は態度がデカいんだよ!あんなの謝罪になるわけないだろ!!本当に悪いと思うなら、アカデミアから出てけよ。ここはお前が居ていい場所じゃないんだ!」
「はぁ?何でだ?」
「なんでって、平民がいるだけで気が散る!アカデミアの名が汚れるんだよ!!」
赤毛のモブオCが私の目の前の机をバンッと叩いて啖呵を切る。
隣で座ってたオクタンはビクビクして怯えた様子で目を瞑ってる。
「……いいぜ、アカデミアから出てっても」
「ちょっ…アート、君!」
「じゃあ今すぐ…」
「その代わり、定期試験で俺に勝てたらな!」
ニッと口の端をあげて、ワザと挑発するように腕を組んだ。モブオBがワナワナと肩を震わせて激高してる。
「何を!馬鹿にしてるのか?!」
「はっ?ちげぇよ。反対だろ?俺がアカデミアの品位や名前を下げてるって言うなら、お前達は俺よりすごい点が取れるんだろう?」
「試験の点数は関係ないだろ!!」
「何言ってんだ?アカデミアはあくまで学びの場だろ。お貴族様の社交の場じゃねぇんだよ」
「こ、このぉ~!!」
モブオ達は赤い顔して怒りに震えてる。
私の反論に言い返せないのか、モブオAが胸ぐらに掴みかかってきた。
「やめたまえ!」
ここで口を挟んだのが帝国の皇太子レグルス様!
私達のやり合いを静止にやってきてくれたみたいだね。
レグルス様は下の席から立ち上がると、ロイヤルパープルの瞳が厳しい視線こっちに向けてる。
ざわざわしていた生徒達も、レグルス様が出てきちゃったからシーンと静まり返ってる。
レグルス様はカツカツと構内の階段を登りながら、私達のいる方へと向かって歩いてくる。
私の胸ぐら掴んでたモブオAは慌ててその手を離して、レグルス様がいる横に向き直った。
「アカデミア内での威嚇行為、暴力行為等…厳しく禁止されている」
変わらず厳しい瞳を私達に向けて静かに喋り出した。
皇族独特のオーラはやっぱ違うね。
覇気に似た頂点に立つものの高貴なオーラにその場にいた生徒達は圧倒されてる。
さすがレグルス様!これが品位、品格だよね!お前らと一緒にすんなっ!
男生活が長いせいか、どんどん口調が悪くなるなぁ。
けど、レグルス様を怒らせちゃったのはちょっと反省しないとなぁ…。
モブオ達は青い顔をしながらレグルス様の方へと体を向けて頭を下げてる。
「…あ、…も、申し訳…ございませんでした。レグルス…皇太子殿下…」
「今後とも…注意致します」
「殿下…肝に銘じます……お騒がせして申し訳ございません」
モブオ達は頭を下げながら、口々に反省の言葉を述べてた。
謝罪の言葉を受けて納得したのも束の間、レグルス様は今度は私に向けて、キッと視線を鋭く向けてる。
え…なに?騒がせたのは悪いけど、被害者は私でしょ?
「アトリクス…といったか。挑発するような行為は今後とも控えるように」
レグルス様に名前覚えてもらえてたのは嬉しいけど、今はそれどころじゃない。
私も今度はレグルス様に向かって反発する。
「はっ?…なんでだ?先に挑発したのはむしろあっちだろ?」
私がモブオ達に視線を向けた。視線に気付いたモブオ達は驚いた顔をしてこっちを見てる。
レグルス様もまさか自分に抗議するやつがいるなんて思わないんだろうね。
僅かに驚いた顔してたけど、そこは皇子様だからすぐにまた厳しい顔をして私に向き合った。
「経緯はわかるが、アカデミアでは平等が求められる。…それに君の行動は目に余る…」
チラッと一瞬だけアルファルドを見た。
それに気付いた私は、その仕草にカッとなる。
もしかして、私がアルファルドに近づいてることを言ってるの!?
私はいつもとは違って、レグルス様に威嚇するような眼差しを向けて静かに喋りだした。
「…平等を問うなら、注意すべきは向こうだ。平民だからと非難され出ていけとまで言われたのに、なぜ俺が謝る必要がある」
オクタンを挟んで私vsレグルス様みたいな感じになる。
でもさ、レグルス様には悪いけどここは譲れないよ。アルファルドの事を言ったのも許せない!
「だが挑発していたのも確かだ…礼節を重んじるなら、君が騒ぎ立てた事も周りに謝罪すべきだ」
「…おかしいなぁ…俺は初めにちゃんと謝ったぞ?それとも、お前も俺に土下座しろと…そう言いたいのか?」
「そうは言っていない!」
これも挑発だと受け取られても仕方ないこと。悪いけど、少し揺さぶらせてもらうから。
この日も私はアルファルドの隣に座って講義を受けてる。また休憩時間になると思いついたことをアルファルドに話してた。
反対隣にいるオクタンも少しは慣れて来たのか、私が一方的にアルファルドに話してても合間に会話するようになってた。
「あ、…んと、アート君…そういえば、もうすぐ前期の、定期試験…だよ」
「ん…?定期試験?あぁ…そんなのあったなぁ」
「そんなの…って…んと…余裕?」
ん?定期試験…アカデミア入って一番初めの……。
そのキーワードでパッと思い出した。
「あぁ~!しまったぁ!」
急に大事なイベント思い出して、焦って大声出してガタッと席を立った。
講堂にいた周りの生徒もこっちに注目してた。
今がまだ人の少ない休憩時間で良かった。
「ど、…どーした、の!?」
「やばい…」
「な、なに…?」
一番初めの試験の前に、初めてポラリスとレグルス様の一歩踏み出すシーンがあったのに!
アルファルドとポラリスの出会い阻止するのに夢中になってて、すっかり忘れてたー!!
ハァ…、ちょっと見たかったのになぁ…。
立ったまま机に手を付いてガクリと肩を落としてた。
私が心の中でシクシク泣いてると、下から3人組が怒った形相でこっちにやってくる。
「騒がしいぞっ、平民め!耳障りだ!!」
「アカデミアの品位を落とさないでくれるか?」
「黙れよ!迷惑なんだよ!!」
私の席の真ん前にやってきたのは見慣れない貴族の子息たち。
特に平凡な顔の金髪と、平凡な顔のくすんだ赤毛に、平凡な顔の茶髪。
名前も家柄も全くわからないから、上から仮でモブオABCとしよう。
うーん、完全なモブ達だ。
言いがかりは許せないけど、大声出して騒がせたのは確かに悪いよね。
言い方はムカつくけど、ここは謝らないとね。
「いや、悪い…ごめんな。騒がせちまって」
周りがヒソヒソ言ってるから周囲にも向けて片手上げて謝るけど、相手はそれだけじゃ収まらないみたい。
「もっと頭擦りつけて、土下座でもしろよっ!!貴族舐めてるだろ!」
「…俺はちゃんと謝ったぞ」
「お前は態度がデカいんだよ!あんなの謝罪になるわけないだろ!!本当に悪いと思うなら、アカデミアから出てけよ。ここはお前が居ていい場所じゃないんだ!」
「はぁ?何でだ?」
「なんでって、平民がいるだけで気が散る!アカデミアの名が汚れるんだよ!!」
赤毛のモブオCが私の目の前の机をバンッと叩いて啖呵を切る。
隣で座ってたオクタンはビクビクして怯えた様子で目を瞑ってる。
「……いいぜ、アカデミアから出てっても」
「ちょっ…アート、君!」
「じゃあ今すぐ…」
「その代わり、定期試験で俺に勝てたらな!」
ニッと口の端をあげて、ワザと挑発するように腕を組んだ。モブオBがワナワナと肩を震わせて激高してる。
「何を!馬鹿にしてるのか?!」
「はっ?ちげぇよ。反対だろ?俺がアカデミアの品位や名前を下げてるって言うなら、お前達は俺よりすごい点が取れるんだろう?」
「試験の点数は関係ないだろ!!」
「何言ってんだ?アカデミアはあくまで学びの場だろ。お貴族様の社交の場じゃねぇんだよ」
「こ、このぉ~!!」
モブオ達は赤い顔して怒りに震えてる。
私の反論に言い返せないのか、モブオAが胸ぐらに掴みかかってきた。
「やめたまえ!」
ここで口を挟んだのが帝国の皇太子レグルス様!
私達のやり合いを静止にやってきてくれたみたいだね。
レグルス様は下の席から立ち上がると、ロイヤルパープルの瞳が厳しい視線こっちに向けてる。
ざわざわしていた生徒達も、レグルス様が出てきちゃったからシーンと静まり返ってる。
レグルス様はカツカツと構内の階段を登りながら、私達のいる方へと向かって歩いてくる。
私の胸ぐら掴んでたモブオAは慌ててその手を離して、レグルス様がいる横に向き直った。
「アカデミア内での威嚇行為、暴力行為等…厳しく禁止されている」
変わらず厳しい瞳を私達に向けて静かに喋り出した。
皇族独特のオーラはやっぱ違うね。
覇気に似た頂点に立つものの高貴なオーラにその場にいた生徒達は圧倒されてる。
さすがレグルス様!これが品位、品格だよね!お前らと一緒にすんなっ!
男生活が長いせいか、どんどん口調が悪くなるなぁ。
けど、レグルス様を怒らせちゃったのはちょっと反省しないとなぁ…。
モブオ達は青い顔をしながらレグルス様の方へと体を向けて頭を下げてる。
「…あ、…も、申し訳…ございませんでした。レグルス…皇太子殿下…」
「今後とも…注意致します」
「殿下…肝に銘じます……お騒がせして申し訳ございません」
モブオ達は頭を下げながら、口々に反省の言葉を述べてた。
謝罪の言葉を受けて納得したのも束の間、レグルス様は今度は私に向けて、キッと視線を鋭く向けてる。
え…なに?騒がせたのは悪いけど、被害者は私でしょ?
「アトリクス…といったか。挑発するような行為は今後とも控えるように」
レグルス様に名前覚えてもらえてたのは嬉しいけど、今はそれどころじゃない。
私も今度はレグルス様に向かって反発する。
「はっ?…なんでだ?先に挑発したのはむしろあっちだろ?」
私がモブオ達に視線を向けた。視線に気付いたモブオ達は驚いた顔をしてこっちを見てる。
レグルス様もまさか自分に抗議するやつがいるなんて思わないんだろうね。
僅かに驚いた顔してたけど、そこは皇子様だからすぐにまた厳しい顔をして私に向き合った。
「経緯はわかるが、アカデミアでは平等が求められる。…それに君の行動は目に余る…」
チラッと一瞬だけアルファルドを見た。
それに気付いた私は、その仕草にカッとなる。
もしかして、私がアルファルドに近づいてることを言ってるの!?
私はいつもとは違って、レグルス様に威嚇するような眼差しを向けて静かに喋りだした。
「…平等を問うなら、注意すべきは向こうだ。平民だからと非難され出ていけとまで言われたのに、なぜ俺が謝る必要がある」
オクタンを挟んで私vsレグルス様みたいな感じになる。
でもさ、レグルス様には悪いけどここは譲れないよ。アルファルドの事を言ったのも許せない!
「だが挑発していたのも確かだ…礼節を重んじるなら、君が騒ぎ立てた事も周りに謝罪すべきだ」
「…おかしいなぁ…俺は初めにちゃんと謝ったぞ?それとも、お前も俺に土下座しろと…そう言いたいのか?」
「そうは言っていない!」
これも挑発だと受け取られても仕方ないこと。悪いけど、少し揺さぶらせてもらうから。
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