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校外実技演習 2

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「あと一人か……どうしようかな」
  
 オクタンが危ない時だけ参加して、後は適当な理由つけて休もうかなって考えてたのに……
 予想外だったけど、みんなの気持ちが嬉しいな。
 
 確か、他のチームはレグルス様、ルリオン様、ポラリスら辺が一緒で、アケルナー、リゲル、マイア……がまたチームで。
 マイアはルリオン様と同じ水属性だから一緒にはなれないんだよねー。ちなみにスピカも水属性、リゲルは風属性。
 ただまだペアで実戦もあるから、まだまだチャンスはあるよ、マイア!

 ほとんどの生徒がチーム組んじゃってるから、後は残ってる人を誘うしかないんだけど。
 このメンバーに入りたい人なんていないよね。どうせ人数余るし、居なきゃいないで問題ない。
  

 ◇


 総合実技の教員でピーコック教授。

 この教授はもろ戦闘向きで選択実技では魔法剣士を担当してる。
 背も高いし体格もガタイもいい。筋肉ムキムキでタラゼドタイプの教授だね。


「さて、校外実技演習のチームだが、皆決まったかな?」

 このイベントで大体男女の仲が深まるんだよね。
 ふふふっ、見てるのも楽しい。

 今、講堂での席もほとんどチームで分かれてて、男女混合のチームも結構ある。
 特に女子は人数少ないから、大体チームに一人は入ってた。
 うーん、恋愛RPGの醍醐味がようやく出てきたね。
 なんかさ、これだよ! 私が求めてたのは!!
 やっぱ実戦なんだよ! 実戦!!
 苦難を共に乗り越えてこそ、愛が芽生えるよね~。
 ハァ……、やっぱり実技っていい。

 なんとな~くソワソワしてる皆の様子が初々しくていいねー。
 いや、もちろん婚約者とかいる子も結構いるんだけど、恋愛ってなるとまた話は別なんだよ。 

 頬杖ついて色気づく室内を、上の席からニヤニヤしながら見てた。

「まだ人数が足りていないチームはいるかな? 余ってる生徒がいたら手を挙げてくれ」
 
 数人の手が挙がり、一応うちも手を挙げる。

「よしっ、じゃあ属性も考慮して分けるぞー」

 ピーコック教授が指示して余っていた生徒が適当に分けられる。

 
 そして――


「あ……、あの……アンカと、申します」

 不幸にもうちのチームに分けられた最後の一人は、なんと貴重な女の子。
 土属性の使い手で、金髪のおかっぱでそばかすが印象的なメガネの女の子。わりと地味な感じの子で名前はアンカ。
 
「よろしくな、アンカ!」
「んと…んと…よろしく……アンカ、嬢」
「……」
「……はい。皆様……よろしくお願い致しますわ」


 ……大丈夫かな? このメンバー……


 私も一応女の子だし、女子には優しくしないとね。
 アンカはオクタンの隣に座るけど、明らかに怖がってる様子。体も震え気味で顔色も悪い。
 
「大丈夫か? もしイヤなら、今からでも教授に言った方がいいぞ?」
「あ……いえ、と、とんでもございませんわ。むしろ皆様にご迷惑なのではと、心配しておりまして……」

 話しかけてもビクビクしてるから、ちょっとオクタンに似てて面白い。
 
「俺は迷惑なんかじゃないぞ?これから楽しみだな!」
 
 緊張を解そうと笑顔で話すと、アンカはそのまま固まって動かなくなった。

「おーい、本当に大丈夫か?」
「ハッ! ……いえ、眩しくて」
「眩しい?」
「あっ、いえ…お気になさらずに!」

 結構独特な子が入ったな~。
 でもやっぱり女の子がいると華やかになるね。何だか楽しくなりそう!
 スピカ系統のお嬢様っぽい子より、よっぽどいいや。
 
 隣のアルファルドは全く興味無さそうで、また窓の外を見てる。
 オクタンは隣が女の子だから緊張してるみたいで顔が赤い。
 

「皆決まったようだな! では二学年の進級初日より校外実技演習に入る! 武器や装備品も持ち込みは許可する。扱いに困らない程度に抑えて持ってきてくれ!以上」

 ピーコック教授の言葉で講義が終わる。

 講義が終わっても皆各チームごとに集まって明日からの事を話し合ってる。

 かくゆう私達も……

 アルファルド、私、オクタン、アンカの順にそのまま椅子に座って作戦会議中。

「初めに言っておくけど、俺はほぼ戦力にはならないからな」
「………問題ない」
「あ、んと、…大丈夫だよ」
「私も、中級レベルなので……そこまでご期待に添えられるか……」

 いや、アトリクスの私より役に立つから大丈夫。
 よっぽどのことがない限り皆にお任せしよう。他力本願で悪いけど。
 
「とりあえずリーダー決めなきゃいけないな。俺はアルファルドを……」
「…お前がやれ」
「え? 俺ぇ!? 1番役に立たないのに?」
「んと…僕も、賛成……」
「私も……いいと思います」

 満場一致で決まった。

 私は絶対アルファルドにやってほしかったんだけどなぁ。
 まぁそのくらいやってもいっか。たぶん実戦では見てるだけだし。

「えっと、じゃあ俺がリーダーで、サブはアルファルド。あとオクタンとアンカは補佐を頼む」
「ん、わかった……」
「了解ですわ」
「ちなみにアンカ。お前ってどの程度中級魔法が使えるんだ?」
「は、はい。……攻撃魔法ではアースクエイク、防御魔法ではストーンウォールまでです……」

 土属性魔法も幅広いから、中級まで使えるなら良い戦力になるね!私はゲームやってたから全属性の魔法は覚えてるし。

「なるほど、それだけできれば十分だな! 俺は指示役けん補助に回るから、実戦での攻撃主体はアルファルドが担当してくれ」
「……あぁ」
「オクタンは防御魔法に特化してるから、主に守りに徹してくれ」
「んと……はい」
「アンカは状況で判断するから、どの状態でも魔法を繰り出せるように待機してくれ」
「は、はい!」

 はい。作戦会議終了!
 あとはやってみないとわからないからね。敵の種類とか強さによって見極めていかないと。

「あとは実戦あるのみ。明日からよろしくな! じゃあ、解散っ」

 パンッと手を叩き、お開きに。
 横ではオクタンはキラキラした目で私を見てる。

「ん? どーした? オクタン」
「あ、アート君、すごく…的確、だね」
「そうかぁ?」
「えぇ……色々言われるより、簡潔で分かりやすいです。素晴らしい判断力ですわ……」

 アンカにまで褒められてなんだか嬉しいね。
 ケンカ売られたり睨まれたり貶されたりが多いから、自分が褒められるのってくすぐったい。

「ハハッ、ありがとな!」

 二人に笑顔を向けると、アンカはまたフリーズしてた。
 オクタンはほわほわした笑顔で返してくれる。
 アルファルドはとっくに窓の外見てるし……これから大丈夫かな……?
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