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ポーション作り 3

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「よしっ、やるぞー!」
「う、うん…んと…頑張ろ」
「……」

 狭いサークルの室内でいつものメンバーで、いつもの作業を始めてる!
 薬草はアカデミアの温室から取ってきた。
 ドーム型のガラス張りの温室は、様々な種類の薬草が植えられてて、許可をもらった私達は必要な薬草を切って持って帰ってきた。

「さぁ、今日こそ成功させるぞ!」
「ん…成功…すると、いいね…」

 もう何度目かもわからないポーション作り。
 失敗した数は計り知れない。
 
 でも、今日の私は今までの私とは違う!

 あのアルファルドに借りた本。
 あれを参考に今までと全く違う作り方をしていく。
 いつになく真剣な顔の私に、オクタンも何だか緊張気味。

「オクタン、水」
「あ、んと…はい」

 オクタンが手を翳して、長机の上にある鍋に水を半分まで魔法で入れていく。
 最近はもうお手の物で、微細な魔力操作も随分上手くなってきた。
 半分まで溜まった水を燭台に乗せ、反対隣にいるアルファルドを見た。
 
「アルファルド、炎を」
「…あぁ」

 パチンと指を鳴らすと、燭台にボッと火が灯る。
 もうアルファルドは遠隔操作で火をつけられるようになっていた。
 
「さぁ…、始めるぞ」

 用意して並べてあった薬草に手を伸ばす。
 まずメキヤ草、ソタオの根、ホヤの実……次々に薬草を皿へと移す。
 手に持ってるその薬草、毒草に向けて魔力を流す。これは属性診断の時と同じ。
 
 そして沸騰した鍋に順々投下して、火を弱めながら魔力を流した状態で棒でかき混ぜていく。
 時間は10分程。
 10分経ったら火を消して、最後にニチワリ草という断崖絶壁にしか自生しない草を投入する。(これは群生地を知ってるから自分で採取してきた)

 仕上げでまた魔力を流しながら混ぜていく。

 しばらくするとドブみたいな色だった鍋の中が、パァー…と光輝いて透き通るような美しい緑色へと変わってる。

「わッ!えっ!?…んと、んと、ええっ!?すご、すごいっ!!」
「……これは!」
「うんっ!きたきたー!!」

 これを目の細かい布で漉して冷ましてから、小さな小瓶へと移した。

 ガラスの小瓶へと移した透明度の高い緑色の液体は、正しくダンジョンで発掘するポーションと同じ色。

「ヤッター!!完成したぞ!!」
「…そんな…嘘…だろ」
「あ、…や、んと…す…ごい…」

 アルファルドとオクタンは言葉も続かないみたいで、ただ呆然と私が作ったポーションを見てた。

 その小瓶を指で挟んで持ち上げ、小窓から漏れる光に透かしてみる。

「不純物、透明度、発色…共に問題ないな。残るは…効果だけだ」

 腕をまくって、薬草を取るのに置いてあったナイフを持って、自分の腕に薄く傷をつけた。
 横にスーっと赤い線が入って、じわっと血が滲んでくる。

「あ、アート、君!?」
「大丈夫だって。まぁ、見てろよ……」
 
 小瓶に口を付け一気に液体を飲み込んだ。
 うん、ポーション独特のホロ苦い味がする。やっぱり一緒だ。薬草を煮出しただけの味とはまた違う。

 アルファルドとオクタンも、黙って私の行動を見守ってる。

 飲み終えると体が熱くなって、細胞が活性化してるのが良くわかるよ。
 腕に付いていた傷もスーッと消えて無くなった。
 布巾で傷のあった部分の血を拭くと、何もなかったように元通りになってる!

「よし、成功だっ!!」
「うわぁ~!んと、んと!すごっ、凄い、よっ!!」
「…信じられん…。まさか、本当にポーションがっ!」

 オクタンはピョンピョン飛び跳ねて、アルファルドは片手で口を押さえながらまだ呆然としてた。

 よっしゃ~!!これで、ようやく実行に移せる…。
 
「皆、協力してくれてありがとな!…だけど、まだ成功したことは絶対秘密だぞ」
「え?え?…んと、なんで??」
「考えて見ろ。歴代の偉大な研究者達でさえ成功しなかったポーション作りを、学生で…しかもただのサークル活動で作ったなんて世間に知れたら、どうなるかなんて目に見えてる」

 不思議そうにしてるオクタンに真剣な顔して言っておく。外部に漏れると色々面倒だからね。

「そ…なの??」
「…まぁ、一理ある」

 オクタンはよくわからないで、アルファルドは納得して腕を組んでこっちに顔を向けてた。

「だろ?しかもたぶん、これは俺にしか作れない」
「あ、アート、君だけ?」
「そう、だから内緒だぞ」
「ん、んと…わかったよ…」

 ごめん、これは嘘。魔法使いで材料さえ揃えば、たぶん誰でも作れると思うよ。

 でも、今はそう言っておくしかないんだ。

 私はこのポーションを使ってあることをしたいからね!


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