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後の祭り編 6

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 次の日の朝。
 
 フッカフカの高級ベッドで目覚めた私。
 ボケ~っとこれまたゴージャスな天井を何気なく眺めてた……。

 そういえば昨日、アルファルドに会って──。


 そのまま布団に潜り、心の中でキャーキャー叫ぶ。
 男の姿なのに、ベッドの上でゴロゴロのたうち回ってる私は傍から見たらかなり滑稽だろうな…。
 しばらくして落ち着いて、ムクッと起き上がった。

 ずっとずっとず~っと、会いたかった!
 アルファルドに会うために、ここまで努力してきたって言ってもいいくらい。
 生のアルファルドはめちゃくちゃ尊かったぁ……。

 ハァー…。

 私にとってアルファルドはミティストでの最推しで、前世の自分と同じような境遇だから、幸せになって欲しいって気持ちが強くて。
 この気持ちってやっぱり同情みたいなものかな?

 布団の上で腕を組みながら、天井を見上げて首を捻る。

 ただ昨日のアルファルドを見てたら…なんか、言葉に表せないみたいな、どうしようもないような複雑な気持ちだった。

 守ってあげたい、助けてあげたい。
 この気持ちって何だろう。すごく難しい。
 




 ◇


 


 祝賀パーティーも終わった次の日。
 家路に帰るため馬車に乗り込んだ。 
 あ、そういえばベガとも少しだけ話した。
 向こうが一方的に話しかけてきて、お礼と自分を越された悔しさを言ってたね。

 最後にアルファルドを一目見たかったけど、あんまり一緒にいるとボロが出そうだからやめといた。
 アルファルドは何でかわからないけど、シリウスに憧れを抱いているみたいだし。
 

 帰りの馬車は私とエルナト先生だけだった。 
 タラゼドは昨晩飲みすぎたみたいで、まだ寝てるらしい。
 ホントどうでもいいけどさ。
 
「パーティーでの話題はシリウスの事ばかりでした」
 
 高級な馬車の椅子に座り、エルナト先生が微笑を浮かべて話し出した。
 先生は元々貴族だし、舞踏会とかパーティーとかは行き慣れていると思うよ。

 エルナト先生に言われて、一応シリウスだし馬車の中は2人だけど御者もいるから頷くだけに留めた。

「皇帝陛下相手に褒美を退けたとか、皇太子の護衛騎士を断ったなど…シリウスの話しは何を聞いても面白いですね。あなたが出席しなかったので、祝賀パーティーではシリウスの事しか聞かれませんでしたよ」

 その話を聞いて肩をすくめる。
 貴族達が何を噂しようと関係ない。
 どうせただの好奇心でしょ?呪われた冒険者がどんな人物なのか、噂好きの貴族には恰好のネタでしょうね。

「陛下は相当貴方を気に入ったようですね。何か機会があれば、再び打診して来るでしょう」

 私は嫌すぎてブンブンと首を横に振る。
 エルナト先生は楽しげに話してるけど、私にとっては厄介な話しだよ。
 もう二度と権力者には関わりたくない。

 どうせ使わない爵位なんてもらっても宝の持ち腐れなのに。

 私もじきに成人する。

 もしラスボス復活を阻止して、アルファルドを救う事ができたら…、その後は自分の好きな事をして生きていきたい。
 
 アルファルドを救う為でもあるけど、そのためのお金と地位。

 でもシリウスで得たものはカウントしてない。この先、正体を明かすつもりもないしね。
 私はもうアルファ商会で成功してるから、冒険者よりも多額の財産を得ることが出来た。

 だから、これから何かあっても一人で生きて行ける。

 それに今の段階だと忙し過ぎて、恋愛とか結婚とか全然考えられないよ。ゲームのエンディングを見届けるまでは、そんなのは後回しだし。
 
 普通なら親の決めた相手と結婚するんだろうけど。
 行方不明になった時点で、ミラの社交界での地位はもうないも同然。

 だからミラとして生きる人生はもうないから…。

 さて、これからどうなっていくんだろう?
 先のことはまだまだわからないや。


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