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子供編 5
しおりを挟む「ねーたま、いいな~、ぼくもバ~ンてしゅる!」
まだ舌っ足らずな喋り方のミザルは可愛い盛り!
前世で兄弟のいなかった私は、このミザルをすっごく可愛がってる。
待望の男の子ってのもあって、ミザルはみんなのアイドル!
ドルアーガの名を受け継ぐのはミザルだろうから私は一安心だよ。貴族社会じゃ女の立場は良い嫁ぎ先でしか判断されないしね。
足をバタバタと揺らしパンを口に入れながら話すミザルにお母様が注意してる。
「ミザル、あなたのお姉様は遊びに行くんじゃないのよ」
口についたパン屑を拭きながら、諭すようにミザルに話しかけてる。
「そうだぞ。お前ももう少し大きくなったら立派な先生をつけてやるからな!」
上座に座りスープを口に運んでいたお父様も、笑いながらミザルを慰めてる。
「安心してミザル。私がものすっごい魔法を覚えて、ミザルにも教えてあげるからね!」
うちの子爵家はアットホームな感じで、父も母もいまだラブラブだ。
父25歳と母23歳という若さだからまだまだ現役、じきに次の弟妹ができそうな予感もする。
手元にあるふわふわのパンを手に取りパクッと頬張り、そういえば…と考える。
ゲーム世界ではドルアーガ子爵家なんて家紋は出てきてなかったなぁ。覚えてる範囲でも見なかったし。
私自身モブとして登場すらしていないのかもね。
メインキャラじゃなければこれからの家族構成なんて全くわからない。
まあ家族は多いに越したことないし、両親にはいつまでも変わらぬままでいてほしい。
この幸せを守る為なら、私はどんな事でも頑張れるから。
少しの感傷に浸りながら朝食を食べ終え、部屋に戻ってからは緊張しながら食後のお茶をしてエルナト先生を待ってた。
「おはよう御座います。お待たせしてしまいましたか?」
リビングの扉を開け、ニコリと微笑みながらエルナト先生が入ってきた。
約束の時間ぴったりにやって来たエルトナ先生に、私は待ち切れない様子で素早く駆け寄った。
「おはようございます先生!早く行こう、行きましょう!」
エルナト先生の服の裾を引っ張り、敬語も忘れてしまう程興奮気味に話す。
エルナト先生は笑いながら頭をポンと撫でる。まだ若い筈の彼はたまに年寄りのような言動をするんだよね~。
「おやおや、そんなに急がなくても大丈夫ですよ」
「もう我慢できないの!ずっと待ってたんだからっ」
そう、私はずっとこの時を待っていた。魔法の判定と実技講習。
自分の属性もわかるし、ようやく日々の努力が報われる!
「わかりました。とりあえず引っ張らないで下さい。…さて、外に移動しましょうか」
「はい!!」
鼻息を荒くしながら走って外へ向かってる。ララに歩き方を注意されても早足はやめられないよ。
ドルアーガ子爵家の裏にはとても広い庭があるんだ。領地自体片田舎なので腐るほど土地はあるから。
この辺の山一体が全て子爵家の土地なんだ!
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