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素直な心
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人々が寝静まった真夜中。
アリシアは寝間着姿でジェイデンの部屋の前に立っていた。
「くっ……! う、ぐッ……!」
部屋の中からはジェイデンの呻くような苦しそうな声が響いている。
――コンコン。
ドキドキしながら部屋の扉を叩いた。
怖さと緊張で、叩いていた手が震えている。
ノックが届いたのか、苦しそうにしていたジェイデンの声がピタリと止む。
まるで初めて大公家に来た時のようだ、とアリシアは頭の片隅で思う。
「大公、様……大丈夫ですか?」
辺りはシーンと静まり返り。
アリシアの声だけが広い廊下に響いていた。
「大公様?」
物音も返答もなく、アリシアの心に悲しさと惨めさが混ざったような苦い思いが広がっていく。
扉の前で俯いたまま、動くことができなかった。
「もし……私が必要なら、……呼んで、ください……」
呟くほどの言葉が、勝手に口から漏れた。
諦めて戻ろうとした次の瞬間、突然扉が開いた。
「――!」
中へと引きずり込まれるように腕を引かれ……そして扉が無情に閉まった。
「なぜ……来た、んだ……」
考える暇もなく、ジェイデンの腕に抱きしめられている。
触れているジェイデンの体はとても熱く、竜族の血の暴走からくる苦しみからか、呼吸も苦しそうに乱れていた。
「っ、……それは」
「君を、解放する、つもりだった……」
「え……?」
「契約も、破棄し……自由にしようと……」
ジェイデンがさらに力を込めてアリシアの体を抱きしめる。押し付けられているジェイデンの鼓動はとても速く、話している声も震えている。
「どうして、ですか……?」
「君を……愛している、からだ……」
「――ッ!!」
抱きしめられたまま、アリシアは目を大きく開いた。
心臓がこれまでにないくらいバクバクと速く動き、体が高揚感で満たされ、ふるふると震えてくる。
「駄目だ! こうしている、だけで……我慢が、効かなく、なるっ……」
屈んで抱きしめていたジェイデンは、求めるようにアリシアの首筋の匂いを嗅いでいる。
その仕草が擽ったくて、アリシアは思わず肩をすくめた。
「はぁ……、もうこれ以上……君を、傷つけたくないっ……」
苦しそうに吐かれた言葉に、アリシアの心もぎゅうっと掴まれるように苦しくなった。
もしかして、私がずっと嫌がっていたから……? 私が必要ないんじゃなくて、私を傷つけないために――
ジェイデンも苦しいはずなのだ。いや、苦しくないはずがない。
こんなに体が熱く、呼吸も荒く乱れている。苦痛に耐えきれないほど、声も漏れているのに……それを抑えてでもアリシアを気遣ってくれていた。
「……てください」
自分でも知らない内に言葉が出ていた。
ジェイデンの胸元の服を握り締め、顔を上げて思ったままの気持ちを言葉にしていく。
「我慢なんて……、しなくていいです」
アリシアの言葉に、ジェイデンは首筋からゆっくりと顔を上げる。
「私を……抱いて、ください……」
ジェイデンの宝石眼が大きく開かれ、アリシアの言葉が終わるやいなや性急に唇を奪われた。
「んッ!」
開いた唇の隙間から熱い舌が入り、アリシアの舌を絡める。
「は、ぅっ……ん……!」
貪るような、とはまさにこのことで……
ジェイデンはアリシアの吐息を奪うように、荒々しく唇を重ねていく。
アリシアは寝間着姿でジェイデンの部屋の前に立っていた。
「くっ……! う、ぐッ……!」
部屋の中からはジェイデンの呻くような苦しそうな声が響いている。
――コンコン。
ドキドキしながら部屋の扉を叩いた。
怖さと緊張で、叩いていた手が震えている。
ノックが届いたのか、苦しそうにしていたジェイデンの声がピタリと止む。
まるで初めて大公家に来た時のようだ、とアリシアは頭の片隅で思う。
「大公、様……大丈夫ですか?」
辺りはシーンと静まり返り。
アリシアの声だけが広い廊下に響いていた。
「大公様?」
物音も返答もなく、アリシアの心に悲しさと惨めさが混ざったような苦い思いが広がっていく。
扉の前で俯いたまま、動くことができなかった。
「もし……私が必要なら、……呼んで、ください……」
呟くほどの言葉が、勝手に口から漏れた。
諦めて戻ろうとした次の瞬間、突然扉が開いた。
「――!」
中へと引きずり込まれるように腕を引かれ……そして扉が無情に閉まった。
「なぜ……来た、んだ……」
考える暇もなく、ジェイデンの腕に抱きしめられている。
触れているジェイデンの体はとても熱く、竜族の血の暴走からくる苦しみからか、呼吸も苦しそうに乱れていた。
「っ、……それは」
「君を、解放する、つもりだった……」
「え……?」
「契約も、破棄し……自由にしようと……」
ジェイデンがさらに力を込めてアリシアの体を抱きしめる。押し付けられているジェイデンの鼓動はとても速く、話している声も震えている。
「どうして、ですか……?」
「君を……愛している、からだ……」
「――ッ!!」
抱きしめられたまま、アリシアは目を大きく開いた。
心臓がこれまでにないくらいバクバクと速く動き、体が高揚感で満たされ、ふるふると震えてくる。
「駄目だ! こうしている、だけで……我慢が、効かなく、なるっ……」
屈んで抱きしめていたジェイデンは、求めるようにアリシアの首筋の匂いを嗅いでいる。
その仕草が擽ったくて、アリシアは思わず肩をすくめた。
「はぁ……、もうこれ以上……君を、傷つけたくないっ……」
苦しそうに吐かれた言葉に、アリシアの心もぎゅうっと掴まれるように苦しくなった。
もしかして、私がずっと嫌がっていたから……? 私が必要ないんじゃなくて、私を傷つけないために――
ジェイデンも苦しいはずなのだ。いや、苦しくないはずがない。
こんなに体が熱く、呼吸も荒く乱れている。苦痛に耐えきれないほど、声も漏れているのに……それを抑えてでもアリシアを気遣ってくれていた。
「……てください」
自分でも知らない内に言葉が出ていた。
ジェイデンの胸元の服を握り締め、顔を上げて思ったままの気持ちを言葉にしていく。
「我慢なんて……、しなくていいです」
アリシアの言葉に、ジェイデンは首筋からゆっくりと顔を上げる。
「私を……抱いて、ください……」
ジェイデンの宝石眼が大きく開かれ、アリシアの言葉が終わるやいなや性急に唇を奪われた。
「んッ!」
開いた唇の隙間から熱い舌が入り、アリシアの舌を絡める。
「は、ぅっ……ん……!」
貪るような、とはまさにこのことで……
ジェイデンはアリシアの吐息を奪うように、荒々しく唇を重ねていく。
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