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番外編
残されたメモ
しおりを挟む王宮内の第二王子専用執務室。
ルーシェがクレアのメモを読んでいるときに、何故か赤くなり、言動がおかしくなるので、エミリオは疑問に思っていた。
──ルーシェは何か隠している、と。
グレンやウィルソンは恋愛ゲームだから初なルーシェが照れているのではないか、と言ったが。
何故か違う気がする。
そんな時、新たなメモが見つかる。
ルーシェはクレアが残したメモを訳してほしいと言われ、王宮までやってきた。
そこで手渡された日本語のメモを読んでいく。
しばらく読み進めるとルーシェの体が震えだし、顔が真っ赤に染まっていく。
「ルー?どうした?」
「こ、こ、これは………!」
ウィルソンが心配そうに顔を覗き込むが、ルーシェは遂にメモで顔を覆って踞ってしまった。
エミリオは確信する。やはり間違いないと。
「ルーシェ嬢大丈夫?そんなにすごいことが書いてあるの?」
(すごいなんてもんじゃないわよ!こんなもの見せないでよ!)
ルーシェは怪しまれない様に首を横に振るが、明らかに挙動不審だ。
「悪いんだけど、ここで読んでもらえるかな?君しか読むことができないし」
(な、な、これをここで読めと!こんな場所で!?それって公開処刑?いや、羞恥プレイ!?)
*******************
(注)ここからはほぼ会話のみで
お楽しみ下さい。
********************
ルーシェ「エミリオ王子殿下……不敬を承知で申し上げますが、無理です!」
エミリオ「え?どうして?」
ル「どうしても無理なのです」
エ「文字がわからないとか?」
ル「文字は、わかりますが………」
エ「これは国家反逆を図った事件と『先見』についての重要書類なんだ。頼むよ。」
ル「このメモはそれとは関係ないかと、思われますが……」
エ「それは聞いてから判断するよ」
ウィルソン「ルー、仕事だと思えば大丈夫だ」
グレン「うんうん、早く聞かせてくれよ」
ル「くっ(人の気も知らないで!)……少しだけ、お時間を頂けますか?」
ルーシェは何度も何度も深く深呼吸し、気合いを入れ、決意を固めた。
ル「では!参ります!!」
ウィ「?あ、あぁ」
「『攻略対象グレン=イグルス。
王国騎士団長の息子。将来は騎士を目指している。普段から鍛えている逞しい身体。長身で、人懐っこいのが特徴』」
グ「俺に関する資料か?自分のこと言われるのも変な感じだだな~」
「『グレンのイベントは下町の噴水。学園の鍛練場、学内の食堂、教室etc.………で起こる』」
エ「グレンは以下の場所であの偽物にあったのかい?」
グ「あぁ~、確かに会いましたね!俺の行きそうな場所だし」
「『好きな食べ物は肉、パン類、嫌いな食べ物は野菜』」
ウィ「ここまでは、まぁ近しい人間なら知っている情報だな」
「『グレンの攻略は噴水~学園の鍛練場に呼ばれ、好感度を上げることで達成する。体力派のグレンは鍛えることが好きなので一緒に鍛練をするか、差し入れの食事を持って行くのが好感度を上げる裏技。好感度が最大まで行くと、様々な場所でのプレイが起こる』」
3人「「「プレイ?」」」
ル「情事の時の遊びのことです」
グ「じょ、情事ぃ?!」
「『学内の教室での×××から、鍛練場に連れ込まれ室内での激しい×××、最後は野外での××プレイ…全裸にされたあと両手を縛られ××し、××されて背後から××…』」
グ「わ~わ~!!待った待ったぁぁ~
!!!」
ル「……どうかなさいましたか?」
しれっとした顔でルーシェが訪ねる。
グレンは顔を真っ赤にして、片手で口を覆ってしゃがみこんでしまった。
グ「ちょっ!なんだ!?なんなんだ!!?それ!!」
ル「これは攻略対象の方々の個々の資料です」
エ「……そのメモには、同じように全て対象者の事柄が書かれているのかな?」
ル「はい。人には言えない様な性癖や、個人的な情事での趣味まで……」
ウィ「……それは、私や殿下の資料もか?」
ル「えぇ、勿論ですとも。エミリオ殿下の資料も、ウィル様の資料も大変興味深いですよ?さあ、次はどちらからお読み致しますか?」
ルーシェは楽しそうに、にこりと笑う。
エ、ウィ「「…………。」」
エ「──まぁ、国家反逆の件に関係なさそうだし。いらないよね?」
ウィ「……ルー、もう大丈夫だ。ありがとう」
グ「あぁ!ひでぇ~!!ウィルや殿下のも読んでくれよ!」
エ「グレン──わかってるよね?」
グ「………はい、すみません」
三人が深いため息を吐く。
エ「乙女ゲーム、怖っ」
ウィ「──よし、燃やそう」
グ「勘弁してくれ………」
三者三様の慌てぶりを見て、ルーシェは胸がスッとした。
(ふんっ……私を辱しめた罰よ)
攻略対象者達は気づいていないが、ここで密かな『ざまぁ』が成されていたのだった。
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