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第三章
27話
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サタ様とアール君と一緒に北のカルルの原っぱへ、カレーを作るための、ククミンを採りにきている。しかし、私たちの前に勇者結界が張ってあった。
その先には300年前、勇者と魔王が最後の戦いをした場所で――その場所に前魔王サタナスの愛剣、黒剣がある。
いまサタ様が、この結界を破壊しようとしていた。
「エルバ、アール。魔力を使うから、ワタシの側から離れてくれ!」
「わかった」
「わかりました」
サタ様は私たちが離れたのを見て、省エネのモフモフの黒鳥から、長い黒髪の前魔王へと姿を変えた。そして右手を結界の前に出し、魔力をため黒玉を生みだした。
いま、サタ様の手の中にある黒い球が私には少し、気味悪く感じて、体が拒否する。
「うっ、吐きそう……」
「すまぬ、エルバ! ワタシたちは他の魔物より、体内に多くの瘴気をためている。いまそれを解き放った……エルバにはタクスの娘。多少、瘴気耐性があるだろうが、ワタシの強い瘴気にあてられ体が拒否したのだな。いつもは気をつけていたが、少し我慢してくれ」
――だから省エネ、黒モコ鳥の姿だったの?
「エルバ様、ボクも魔物ですが……瘴気はほとんどありません。ごめんなさい、もう耐えれません」
パタンと、その場に倒れたアール君。
「アール君⁉︎」
「すまぬ……結界を壊したら、瘴気に耐えれるよう魔法をかけてやる」
サタ様は手の中には魔力をためた、黒玉を結界へと向けて放った。勇者結界にヒビが入り、バリバリ、バリバリ音を立てて粉々に崩れ落ちる。
「いま。アール、エルバに瘴気に耐えれるよう魔法はかけた。ワタシは剣を回収する。エルバはすぐ、ククミンを探してくれ」
「はい、すぐに探します」
「ボクも手伝います」
カルル原っぱの中へと、足を進めるサタ様のあとにアール君と続くが。結界の中は暗い霧状のものが渦巻いており、その中にサタ様の黒い剣を守るようにして、黒龍が私たちを見下ろしていた。
「ひぇ、黒いドラゴン⁉︎」
「エルバ、大丈夫だ。ワタシの剣の化身だ! 愛剣、黒剣、ワタシが迎えにきたぞ!」
サタ様が手を広げ、ドラゴンに話しかけた。
話しかけられた黒いドラゴンは、サタ様を見て。
〈主人? あぁ我が主人――サタナス様、お待ちしておりました〉
深く、深く頭を下げた。
その先には300年前、勇者と魔王が最後の戦いをした場所で――その場所に前魔王サタナスの愛剣、黒剣がある。
いまサタ様が、この結界を破壊しようとしていた。
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「わかった」
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サタ様は私たちが離れたのを見て、省エネのモフモフの黒鳥から、長い黒髪の前魔王へと姿を変えた。そして右手を結界の前に出し、魔力をため黒玉を生みだした。
いま、サタ様の手の中にある黒い球が私には少し、気味悪く感じて、体が拒否する。
「うっ、吐きそう……」
「すまぬ、エルバ! ワタシたちは他の魔物より、体内に多くの瘴気をためている。いまそれを解き放った……エルバにはタクスの娘。多少、瘴気耐性があるだろうが、ワタシの強い瘴気にあてられ体が拒否したのだな。いつもは気をつけていたが、少し我慢してくれ」
――だから省エネ、黒モコ鳥の姿だったの?
「エルバ様、ボクも魔物ですが……瘴気はほとんどありません。ごめんなさい、もう耐えれません」
パタンと、その場に倒れたアール君。
「アール君⁉︎」
「すまぬ……結界を壊したら、瘴気に耐えれるよう魔法をかけてやる」
サタ様は手の中には魔力をためた、黒玉を結界へと向けて放った。勇者結界にヒビが入り、バリバリ、バリバリ音を立てて粉々に崩れ落ちる。
「いま。アール、エルバに瘴気に耐えれるよう魔法はかけた。ワタシは剣を回収する。エルバはすぐ、ククミンを探してくれ」
「はい、すぐに探します」
「ボクも手伝います」
カルル原っぱの中へと、足を進めるサタ様のあとにアール君と続くが。結界の中は暗い霧状のものが渦巻いており、その中にサタ様の黒い剣を守るようにして、黒龍が私たちを見下ろしていた。
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「エルバ、大丈夫だ。ワタシの剣の化身だ! 愛剣、黒剣、ワタシが迎えにきたぞ!」
サタ様が手を広げ、ドラゴンに話しかけた。
話しかけられた黒いドラゴンは、サタ様を見て。
〈主人? あぁ我が主人――サタナス様、お待ちしておりました〉
深く、深く頭を下げた。
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