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第四章 獣人の国に咲いた魔女の毒花(竜人王祭編)

第13話

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 ぼっと、火が付くくらいに熱くなる頬。いきなりのキスはまだ慣れなくて恥ずかしい。

 シーラン様は頬を撫でて。

「シャルロット可愛い、綺麗だ。独り占めにしたいが……はぁ、そうも行かないな」

 その言葉に照れてしまう。

「マリーさん行ってくるね」

 ガチャッと、シーラン様側の玄関が開く音がした。リズ様とリオさんと話す声と、こっちに近づく足音に、シーラン様との近かった距離が離れる。

「シーラン? シャルロットちゃんはきてる?」

 呑気なリズ様の声。

「もう来てるよ、兄上達はくるのが遅い」

「ごめん、ごめん。ちょっと野暮用が、あってさぁ」
「すみません。衣装を着るのに手間がかかり送れました」

 そこに現れた、リズ様とリオさんの格好は軽装備を付けていて、背中に盾と腰に剣までさしていた。まるで騎士? 戦士のよう。
 
「兄上?」

「いいだろう。俺達の祭りの仮装は二人を守る騎士だ……おおっ、シャルロットちゃんは花嫁さんか、可愛いなぁ」

「えへへっ、ありがとうございます。リズ様とリオさんも素敵ですよ。その腰の剣は本物ですか?」

「これっ?」

 あぁ、そうだよと、リズ様は剣を抜き見せてくれた。ギラリと光る剣に少し緊張した。

「リズ様。危ないのでしまってください。それに、そろそろ祭りの始まる時間です、参りましょう」

 リオさんがそう言ったとき、外に花火が打ち上がった。真昼間の花火は祭りの開始の合図だ。

 上がる、花火の音に心躍る。

「シーラン様、リズ様、リオさん、お祭りが始まったわ、早く、はやく行きましょう」 

「おい、シャルロット。そんなにはしゃぐと……あっ、転んだ」

「シャルロット様⁉︎」
「シャルロットちゃん⁉︎ 怪我してない?」
「はい。リズ様、すみません」 

 恥ずかしーい。

 みんなは呆れてるよね? 子供のようにはしゃぎ過ぎて、足をもつれさせて、お約束のように転んだのだもの。
 
「ふふっ、せっかくの可愛い花嫁衣装が台無しだなぁ。まぁ、シャルロットちゃんらしいと言えば、らしいか。なっ、シーラン」

「そうですね。こうなったら、シャルロットが転ばないように手でも繋ぐかな」

 茶化すように言って、シーラン様はわたしの手を掴んだ。リズ様とリオさんは一歩下がり。

「シーラン王子、俺達は後ろをついていきます」
「ついてまいります」

 笑いながら、本物の騎士のように胸に手を当てたのだった。

 
 ♢


 城を出て王都を見回す。どこもかしこも、ハリボテて作られた竜や提灯で鮮やかに飾られいた。
 それは王都の外も同じだろう。
 街の人たちは獣人の人も、エルフの人も、たくさん竜人様の仮装をしていた。


「シャルロット、あっちにも、こっちにも大勢の竜人がいるぞ」
「これは、凄いね」
 
「皆さまの衣装が凝っていますね」

 
 子供からお年寄りまで、みんな笑顔で仮装を楽しんでいる。

 その様子にうきうきしてきた。去年、参加できなかった分まで、みんなと楽しむぞ。

 街中を飾るハリボテを見回った。

「あーはしゃいだら、お腹すいてきちゃった。屋台も見にいきましょう。早く、リズ様、リオさんも!」

 繋いだままのシーラン様の手を引く。シーラン様もリズ様もリオさんは「シャルロットは食いしん坊だなぁ」とみんな笑い、わたしの後についてくる。

 祭りといえば、たこ焼き、お好み焼き、チョコバナナ、綿菓子、金魚すくいなどだけど。
 ここはひよこ豆のスープ、ローストひよこ豆、ひよこ豆のサンドイッチに、ひよこ豆のパンケーキなどなど、ひよこ豆の料理が沢山ある。

 みんなは穀物の神に祈り。多くの実りに感謝する。
 祭りに来てる、みんなの表情はどこでも同じ、楽しげに笑っていた。

「どのひよこ豆料理も美味しそう、全部気になる」

「いや、やめておけ。その花嫁衣装が入らなくなるぞ」

 鋭いツッコミをシーラン様にされた。
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