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第三章 獣人の国に咲いた魔女の毒花編
第32話
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消えた…「男がドロドロに溶けた」シーラン様が呟いた声が耳に残った。
「なんて、逃げ足の早いやつね」
「奴はアルボルの【イバラ】から逃げたみたいだな」
出した【イバラ】を消して、アルボルも辺りを見ていた。
「ロア、本当ですね、男の魔力が完全に消えてしまいましたか…結局は兄の事を何も聞けなかった…くっ」
悔しさかをあらわにするアル様を師匠は諭す。
「仕方がない、今回は諦めろ」
「そうですけど残念ですよ。師匠」
「そうだとしても、今回の礼に儂も手を貸すから」
エシャロットさんと竜人王様の声の他に、アル様と師匠さんの会話も聞こえた。
この前に獣人の国で会ったあの男がアル様の兄。ここにいたあの男とも繋がっていた? と言うことはわたしの中にいるルルさんを狙っている。
しかし、シーラン様達に隠されたままのわたしは周りの状況が見えていない、確認もできないでいた。
「ねえ、いま何があったの?」
ほんの一瞬だけ男の悍しい黒い魔力とは別の魔力を感じて背筋がゾクッとした。怖くなったわたしはシーラン様のシャツを掴んだ。
「大丈夫だ、シャルロット嬢。もう、安心をしていい、奴は消えたよ」
消えた?
「ほんと? よっ、よかったー」
男と男が出す魔力が消えて、わたしがホッと胸を撫で下ろすると、リズ様も緊張から解放されたのか、体の力を抜いていた。
「はぁーっ、消えたみたいだな…しかし、あの男はシャルロットちゃんを狙っていたけど、いったいなに者だってんだぁ?」
「わかりません…ただ、不気味な男だったとしか言えませんね」
リオさんの言う通り「不気味だ」とみんなは頷いた。
あの男の言動にそこ知れぬ魔力、それら全てを覆い尽くす男の愉快な声に行動は、まさに不気味でしかなかった。
「でも、消えたんだよね」
「ああ、奴は消えた」
よかった…あの男は仕切りにわたしの名を呼び、連れて行きたいと言っていた。
もしも、捕まってしまったらなんて考えたくない。
「シャ、シャルちゃーん、シャルちゃぁ~ん」
たったたと、こちらに走る音が聞こえたと同時に横から飛びつかれた!
「心配したわ、シャルちゃん」
「エ、エシャロットさん⁉︎」
「もう、大丈夫だった? ヤツに何もされていない? まったく変なヤツだったわ、近くで見たら、ほんとうに不気味な男だった」
大丈夫? とわたしの頬をすりすり、しながら話すエシャロットさん。
「ええ、みんなが守ってくれたので大丈夫です」
「あら、よかったじゃない、王子様達はしっかりと姫を守ったのね」
「当たり前です。それより…シャルロット嬢から離れてください」
「いつまで抱きしめてんだ」
「やだ、チビ竜達ったら私に嫉妬したの可愛い…わかった離してあげる。それと、アルボルからの伝言よ。町の修繕や人々の安全が確認でき次第、皆で城に向かい青花の木を回収するそうよ」
伝えるとこを伝えて、エシャロットさんはすりすりっと頬をすり寄せて。
じゃあ~ね。と手を振り離れていった。
わたしも「また後で」と、手を振り返していた。
その横でシーラン様達は集まり。
「侮れんなぁ…あの人」
「いいだけ触って帰って行ったぞ」
「ええ…しっかり触っていましたよ」
3人で何かを話している。
「おいアルボル、後はどこを直せば良い!」
町の方からは竜人王様の声が聞こえた。
「北と西に壊れた民家が数件あるので、ロアはそこをよろしく」
どうやら竜人王様は魔力を使い、崩れ落ちた民家を直しているみたいだ。
アル様に場所を聞き、飛び上がって確認をしていた。
「北と西だな…結構あるな。アルボル青花の木を回収後に癒やしの木を使わせてくれぬか、かなりの魔力を消耗しそうだ」
「ええ、青花の木を回収した後はみんなで、癒やしの木の下で休みましょう」
町の民家は竜人王様が直して、折れてしまった木々や花達はアルボル様と師匠さんとで新しい花を出して植えている姿が見える。
町に咲いていた赤い花はいつの間にかラーロさんとエシャロットさんとで、根元から回収をされてガラスケースに入れられていた。
そのガラスケースには“触るな危険“の文字が記されている。
コッホ騎士団達はいまだに男の魔法によって、眠り続ける町の人々を治療していた。
「シーラン様、わたし達も何かお手伝いをしましょう」
「そうだな」
リズ様とリオさんはコッホ騎士団の所へと向かい、わたしとシーラン様はアル様の所に向かうと、それに気が付いたアル様が近づいてきた。
「大変だったね。いまは休んでいて、話は後でみんなに聞くから、それにシャルちゃんにはやってもらいたい事もあるから、チビ竜は護衛ね」
「わかりました。だからといって何もしないわけにはいかない、俺達は借りていた屋敷の後片付けに行こうか」
「そうですね、マリーさんのお手伝いをしましょう」
と、2人で屋敷へと向かった。
「なんて、逃げ足の早いやつね」
「奴はアルボルの【イバラ】から逃げたみたいだな」
出した【イバラ】を消して、アルボルも辺りを見ていた。
「ロア、本当ですね、男の魔力が完全に消えてしまいましたか…結局は兄の事を何も聞けなかった…くっ」
悔しさかをあらわにするアル様を師匠は諭す。
「仕方がない、今回は諦めろ」
「そうですけど残念ですよ。師匠」
「そうだとしても、今回の礼に儂も手を貸すから」
エシャロットさんと竜人王様の声の他に、アル様と師匠さんの会話も聞こえた。
この前に獣人の国で会ったあの男がアル様の兄。ここにいたあの男とも繋がっていた? と言うことはわたしの中にいるルルさんを狙っている。
しかし、シーラン様達に隠されたままのわたしは周りの状況が見えていない、確認もできないでいた。
「ねえ、いま何があったの?」
ほんの一瞬だけ男の悍しい黒い魔力とは別の魔力を感じて背筋がゾクッとした。怖くなったわたしはシーラン様のシャツを掴んだ。
「大丈夫だ、シャルロット嬢。もう、安心をしていい、奴は消えたよ」
消えた?
「ほんと? よっ、よかったー」
男と男が出す魔力が消えて、わたしがホッと胸を撫で下ろすると、リズ様も緊張から解放されたのか、体の力を抜いていた。
「はぁーっ、消えたみたいだな…しかし、あの男はシャルロットちゃんを狙っていたけど、いったいなに者だってんだぁ?」
「わかりません…ただ、不気味な男だったとしか言えませんね」
リオさんの言う通り「不気味だ」とみんなは頷いた。
あの男の言動にそこ知れぬ魔力、それら全てを覆い尽くす男の愉快な声に行動は、まさに不気味でしかなかった。
「でも、消えたんだよね」
「ああ、奴は消えた」
よかった…あの男は仕切りにわたしの名を呼び、連れて行きたいと言っていた。
もしも、捕まってしまったらなんて考えたくない。
「シャ、シャルちゃーん、シャルちゃぁ~ん」
たったたと、こちらに走る音が聞こえたと同時に横から飛びつかれた!
「心配したわ、シャルちゃん」
「エ、エシャロットさん⁉︎」
「もう、大丈夫だった? ヤツに何もされていない? まったく変なヤツだったわ、近くで見たら、ほんとうに不気味な男だった」
大丈夫? とわたしの頬をすりすり、しながら話すエシャロットさん。
「ええ、みんなが守ってくれたので大丈夫です」
「あら、よかったじゃない、王子様達はしっかりと姫を守ったのね」
「当たり前です。それより…シャルロット嬢から離れてください」
「いつまで抱きしめてんだ」
「やだ、チビ竜達ったら私に嫉妬したの可愛い…わかった離してあげる。それと、アルボルからの伝言よ。町の修繕や人々の安全が確認でき次第、皆で城に向かい青花の木を回収するそうよ」
伝えるとこを伝えて、エシャロットさんはすりすりっと頬をすり寄せて。
じゃあ~ね。と手を振り離れていった。
わたしも「また後で」と、手を振り返していた。
その横でシーラン様達は集まり。
「侮れんなぁ…あの人」
「いいだけ触って帰って行ったぞ」
「ええ…しっかり触っていましたよ」
3人で何かを話している。
「おいアルボル、後はどこを直せば良い!」
町の方からは竜人王様の声が聞こえた。
「北と西に壊れた民家が数件あるので、ロアはそこをよろしく」
どうやら竜人王様は魔力を使い、崩れ落ちた民家を直しているみたいだ。
アル様に場所を聞き、飛び上がって確認をしていた。
「北と西だな…結構あるな。アルボル青花の木を回収後に癒やしの木を使わせてくれぬか、かなりの魔力を消耗しそうだ」
「ええ、青花の木を回収した後はみんなで、癒やしの木の下で休みましょう」
町の民家は竜人王様が直して、折れてしまった木々や花達はアルボル様と師匠さんとで新しい花を出して植えている姿が見える。
町に咲いていた赤い花はいつの間にかラーロさんとエシャロットさんとで、根元から回収をされてガラスケースに入れられていた。
そのガラスケースには“触るな危険“の文字が記されている。
コッホ騎士団達はいまだに男の魔法によって、眠り続ける町の人々を治療していた。
「シーラン様、わたし達も何かお手伝いをしましょう」
「そうだな」
リズ様とリオさんはコッホ騎士団の所へと向かい、わたしとシーラン様はアル様の所に向かうと、それに気が付いたアル様が近づいてきた。
「大変だったね。いまは休んでいて、話は後でみんなに聞くから、それにシャルちゃんにはやってもらいたい事もあるから、チビ竜は護衛ね」
「わかりました。だからといって何もしないわけにはいかない、俺達は借りていた屋敷の後片付けに行こうか」
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と、2人で屋敷へと向かった。
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