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第二章

第14話 伸ばされた手

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ごめんなさい…その穴を開けたのは私です。
私達の上を慌てて北の方角に飛んで行きは、戻って来る竜人の騎士の人に心の中で誤った。

竜人の国に入る入り口を開けると言った私に「好きにしろ」と言っていた竜人王は私達が竜人の国に入ってからは話しかけてはこなくなった。

入る前に私から声をかけてみたけど返事が帰ってくることはなかった。

バサバサと数人の羽の音が鳴り、竜人の騎士達が戻って来たと上を向いた。

「シーラン王子、リズ王子北竜の森です。北側の北竜の森の空間に穴が開いています、そこから瘴気が外に漏れ出ていますシーラン王子の障壁でお埋めください」

「そうか、わかった」 

「何時もは家が崩れたり城の城壁が崩れ落ちるだけだったのに、北の森の空間に穴が出来るなんて奇妙なことが起きたな」

「そうだな…国の瘴気がそこから漏れ出ている早く埋めなくては」

遠くから竜人の騎士がシーラン様とリズ様を呼ぶ声と2人の声が聞こえてくる、私は彼らを一目見たくて灰色の空を見上げた。

(あ、シーラン様とリズ様だ…)

少し疲れた感じでシーラン様とリズ様はあの時と同じだけと少しくたびれたジュストコールを身につけ、騎士達と連なり北の方角に飛んで消えて行った。

その方角を見ながら隣で同じように見上げるマリーさんに言った。

「シーラン様とリズ様だったね」

「はい、なんだか疲れたご様子のお2人でした。シャルロットお嬢様はシーラン様とリズ様の後を追い箒でお飛びになってはどうでしょうか?」

「ううん、マリーさんを1人ここに置いてはいけないよ、取り敢えずはお城を目指そう!」

そんな会話をしながらぼーっと2人が去って行った方角を、手を繋いだままマリーさんと目が離せなくて見上げていた、その私達の後ろからバサバサと羽の音が聞こえ…

「まさか…そこに居るのはシャルロット様にマリーさん?」

聞き覚えのある声に振り向くと空には、みんなと遅れて出て来たのかリオさんが飛んでいた。

「…リオさん」
「何故ここにシャルロット様とマリーさんが居るのです?…シャルロット様の私達に関する記憶はシーラン様が消したはずなのにどうして?」

記憶を消したはずの私が竜人の国に戻って来たことに驚いていた。

「ここに居ては危険です、お城までシャルロット様とマリーさんを案内をいたしましょう」

そう言うと羽ばたくのを止めて目の前にリオさんが降りて来た。近付くに連れて分かるリオさんの燕尾服もシーラン様やリズ様と同様にあちらこちら服が破け汚れていた。

着替える暇がないほどシーラン様とリズ様、リオさんも大変なんだ。

そんな姿を見て、私は彼らに会いたくなって、いても立ってもいられなくなる。

「リオさん、マリーさんとこのひよこ豆のカゴをお城までお願いします!私はシーラン様とリズ様の後を追います!」

「シャルロット様!?」
「マリーさんごめんね、リオさんよろしくお願いします!」

「行ってらっしゃいませ、シャルロットお嬢様」

ひよこ豆のカゴを置きマリーさんをリオさんにお願いして私は、手に持っていた箒に跨ったりイメージと魔力を身体中に感じてふわりと飛び上がった。

焦るな私、落ち着け私!
心の中で唱え焦る気持ちを抑えて、私と箒は少し浮き上がる。

「行って来まーす」

2人を残し私は北の方角に早くシーラン様に会いたくて飛んだ。早く会って顔をしっかり見たかった…リズ様も同じだ!

ラーロさんに教わった通りイメージをしっかり魔力を一定に保って、あまり高くは飛べないけどのろのろだけど前に飛んで行く!

しばらく飛び進むとバサバサと羽の音が聞こえるみんな森の穴を埋めて戻ってきたのかな?

「やはり…奇妙なことが起こるなシーラン、あんな所に穴が開くなんてな」

「門があった…リズには見えていなかったみたいだが北の森の中に緑に光る門があったんだな…シャルロット嬢の父上の門に似ていたが少し違う感じがした。出来た穴を閉じてしまったが良かったのだろうか?」
「さあーな、でも閉じないと何処かに瘴気が漏れ出してしまう」

「そうだな…リズ。俺は城に戻ったら少し休む」

北側の穴の確認が終わったのか前にシーラン様とリズ様がいる。こっちに飛んでくる声を掛けたらどうなる?2人を見て鼓動が高鳴った。

ドキドキする。

後、もう少し近づいたら2人に声を掛け…て、あれっ、ふらつく?

「飛ぶ事をイメージしてもバランスが取れない」

こんなことは前にもあった気がする?

これは…。

「魔力が切れる?…あっ…きゃっ!」

ふらふらと安定できず飛び進み、近付くまで戻っ来ていたシーラン様とリズ様の間を通り抜け、かなり驚いた2人の顔を見た後に私はバランスを崩した。


「あっ、ああ、うわぁーーーーっ」


やばい、これは落ちる!?

「えっ、シャルロットちゃん!?」

「待て、シャルロットそっちに行ってはダメだ!」

慌てた声が聞こえて私を止めようと、2人が方向転換をして私に手を伸ばしだけど、私と箒はそのまま近くの枯れた茂みにガサガサと音を立て箒ごと突っ込んだ。

「きゃぁ…いてて」

「シャルロット!」

箒ごと茂みに突っ込んだ私の元に急ぎ降りて来たシーラン様とリズ様。

「大丈夫?シャルロットちゃん」

「何故だ、記憶は?どうしてここに戻ってきたんだシャルロット嬢!」

怒ったように声を上げて私の名前を呼んだシーラン様。
わかってる、シーラン様は私の為を思って記憶を消したんでしょう?

でもね、シーラン様聞いて私はね。
落ちた茂みの中で立ち上がる事はせずに声を出した。

「戻るよ、当たり前でしょう!!みんなに会いたかったからだよ…みんなと力を合わせたかった…ねえ、シーラン様私は頑張るから、側においてよ、たくさんたくさん頑張るからあなた達の仲間から外さないで!…お願いだよ…頑張るよ」

私はそのまま立ち上がらず茂みの中で泣いた。


「うっ、うう」


「ああ、泣かないでシャルロットちゃん」


「記憶を消しちゃうなんて…シーラン様は酷いよ…バカ、バカッ!!」


バカァっと叫び勢い良く茂みから立ち上がると、涙目のまま走ると思いっきり手を広げ、茂みの前に立つ2人に私は飛びかかった。

私の咄嗟の行動に驚く2人。

「うわぁ、シャルロットちゃん!?」

「シャルロット!?」

私よりも身長の高い2人は私をしっかりと抱えその場にドスンと尻餅をついた。

「いてて、ほんと君には驚かされるな……シーラン少しだけ許して」

と、シーラン様に一言言うとリズ様は優しく微笑み私の髪や頬を愛おしいそうに撫でた。

震える声で

「シャルロットちゃんだ、また会えるなんて俺も君に会いたかった…」

「…リズ様」

「全くさぁー君は頑張り過ぎなんだよ。綺麗な頬や手に傷をたくさん付けて、可愛いワンピースをこんなにもボロボロに……してさ」

私の髪を撫でながら、私の顔を見ながらリズ様の目に涙が溜まる。


「それは、リズ様も同じだよ」


そうだなと顔を見合わせて笑う2人の様子を、黙って見ていたシーラン様は自分の手を伸ばし私を引き寄せた。

「…あっ、シーラン様?」


「俺だって…俺だって!リズには負けないくらいシャルロットに会いたかった…」


震える体で、震える声でそう声を上げると力強く私をその胸に抱きしめた。

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