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おまけの話 (物語より少し後の話になっています)
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ゴロン、ゴロン、ムゥ~ふん。
このオフトゥン、リチャード様の香りがするし、ふかふかで良い。
騎士団の早朝訓練に出ている王子と。
王子の部屋で1人ベッドを独り占めして、オフトゥンを楽しむ私。
ふかふかオフトゥンは最高だ。
何度目かの寝返りを打っていると、ガチャッと部屋の扉が開いた。
「戻った、ミタリア」
「あ、お帰りなさい、リチャード様」
王子が早朝の訓練から戻り、私はベッドの上で、尻尾だけ振り挨拶した。
そんなお行儀の悪い私を横目に。
「ミタリアは、ほんとオフトゥン好きだな」
「好きですよ、リチャード様のオフトゥンだもの……うっ! ううっ、いまのは聞かなかったことに、してください」
「嫌だね、ミタリアは俺のオフトゥン好きなんだ。朝食まで時間があるな……風呂の後に、ベッドでまったりするか。風呂に行ってくる」
恥ずかしさにベッドから、顔を上げれず尻尾だけを振り。
「リチャード様、ごゆっくり」
「あぁ……くっくく、照れちゃって可愛い」
王子は小さく笑って呟き、汗を流しにお風呂に行った。
うわぁっ、ゴロン、ゴロン。
「……っ……や、やばかった」
王子の香りが好きだとか、変態チックなことを本人の前で、言っちゃうところだった。
(これは私の秘密だもん)
+
「ふーっ、サッパリした」
とお風呂上がり。シャツとスラックスのラフな姿でベッドに寝そべる王子。この前の様に髪が濡れたまま? だと思った王子の髪は、特殊能力ーー火の魔法使ったのか、サラサラに乾いていた。
(凄いな、段々、火の魔法の使い方が上手くなってる)
「騎士団との訓練は楽しいが、疲れた」
「早朝訓練お疲れ様でした。そうだ! 私、マッサージを覚えたのだけど……マッサージしますか?」
別にしなくても、ベッドの上で一緒にいれば。
私の特殊能力「癒し(オフトゥンの上だけ)」で癒やせるのだけど。
王子は嬉しそうに、ゴロンとこっちを向いた。
「ミタリアが、俺にマッサージをしてくれるのか!」
コクリと頷く。
「よろしく、頼む!」
「では、リチャード様、うつ伏せになってください」
私の言う通りにうつ伏せに寝転ぶ王子。私は本で見てきたマッサージをする為。
王子に「失礼します」と、スカートを捲り背中に跨った。
「えっ、跨るのか!」
「はい、背中を揉みますね」
「お、おう……頼む」
「頑張ります!」
マッサージをする為に王子の背中に触れた。ドキンッ! うっ、鼓動がいきなり跳ね上がった……。お風呂上がりで蒸気した王子の体温、王子の筋肉質な背中、王子の香り、私が思っていたのと違っていた。
ほんとうは。キャハハ、ウフフッ、て楽しく、マッサージするつもりだったのだけど……これは、エッチすぎる。
……ダメ。
王子の背中は思っていた以上に男性の背中だ。
猫の姿なら、狼王子に戯れることは出来るけど。
これは……これは、無理な方だ。
(もー、ドキドキしちゃって触れない!)
何も言わずにブレスレットを外して、ポフッと王子の背中の上で獣化した。
いきなり私の重さが変わり、驚いて、こっちを振り向いた。
「ミタリア? ……おい、なに? 獣化してんだよ」
「えーっと、こっちの方が揉みやすいにゃ。この姿で、せ、背中を踏み始めますにゃ」
「あぁ、遠慮せずにマッサージしてくれ」
「はい、にゃ」
+
フミフミ、フミフミ、ミタリアが俺の背中を猫の姿で踏んでいる。俺はマッサージを受けながら、ミタリアに気付かれないように、心を落ち着かせいた。
(……あぁ、焦った。あの姿のまま、ミタリアにマッサージされていたら、変な気を起こすところだった)
王子もミタリアと同じだった。
さっきのマッサージは俺とミタリアの関係が、いま以上に進み、大人になってからの方が良い。
いま、俺の背中をにゃっ、にゃっと楽しそうに鼻歌まじりで、フミフミする猫のミタリアを見てそう思う。
フミフミ、フミフミ、ふふん~。
「リチャード様、どうですかにゃ?」
「気持ちいいよ」
「そうにゃ、えへへっ、嬉しいにゃ!」
しばらく俺は可愛いフミフミを楽しんだ。
「ありがとう、ミタリア。さてと俺も寝るかな」
「ほえっ?」
ブレスレットを外して、狼の姿になり、ミタリアを抱えるようにして寝そべった。
「リ、リチャード様?」
「ん、なに? ミタリア」
見つめると、彼女の瞳が開かれ瞳孔が丸くなっていた。驚かせたかな? と思いつつも。もふもふな頬に鼻をくっつけ、頬を擦り寄せた。
「にゃ! リチャードしゃま!」
「はははっ、そんなに驚くなよ。もう一回」
「にゃ、にゃ、にゃ」
やめてと、ムギっと俺の顔を両手で押した。
プニプニしてるだけで全然痛くないんだけど。
「照れるなよ、別にいいだろう?」
「ううっ、いいにゃ。いいにゃけど、いきなりは驚くのにゃ!」
「そうか、いきなりはダメか……ミタリア、スリスリしてもいい?」
彼女はいいよと目を瞑った。(いま、キスしたら怒るかな? したいな……)誘惑に駆られながら、彼女の顔を眺めていると。チラチラと薄目を開け俺の顔を見て、スリスリしないの? って顔をした。
か、可愛いなぁ。
またチラチラ、俺を見てる。
そんなミタリアに近付き、耳元で。
「俺からのスリスリ、期待した?」
と聞けば。彼女は目を丸にして。
「す、するに決まってるにゃん!」
だって。
その後、彼女が「もう、嫌にゃん」って言うまでスリスリしたさ。
可愛いミタリア。
俺はこの黒猫を愛してやまない。
このオフトゥン、リチャード様の香りがするし、ふかふかで良い。
騎士団の早朝訓練に出ている王子と。
王子の部屋で1人ベッドを独り占めして、オフトゥンを楽しむ私。
ふかふかオフトゥンは最高だ。
何度目かの寝返りを打っていると、ガチャッと部屋の扉が開いた。
「戻った、ミタリア」
「あ、お帰りなさい、リチャード様」
王子が早朝の訓練から戻り、私はベッドの上で、尻尾だけ振り挨拶した。
そんなお行儀の悪い私を横目に。
「ミタリアは、ほんとオフトゥン好きだな」
「好きですよ、リチャード様のオフトゥンだもの……うっ! ううっ、いまのは聞かなかったことに、してください」
「嫌だね、ミタリアは俺のオフトゥン好きなんだ。朝食まで時間があるな……風呂の後に、ベッドでまったりするか。風呂に行ってくる」
恥ずかしさにベッドから、顔を上げれず尻尾だけを振り。
「リチャード様、ごゆっくり」
「あぁ……くっくく、照れちゃって可愛い」
王子は小さく笑って呟き、汗を流しにお風呂に行った。
うわぁっ、ゴロン、ゴロン。
「……っ……や、やばかった」
王子の香りが好きだとか、変態チックなことを本人の前で、言っちゃうところだった。
(これは私の秘密だもん)
+
「ふーっ、サッパリした」
とお風呂上がり。シャツとスラックスのラフな姿でベッドに寝そべる王子。この前の様に髪が濡れたまま? だと思った王子の髪は、特殊能力ーー火の魔法使ったのか、サラサラに乾いていた。
(凄いな、段々、火の魔法の使い方が上手くなってる)
「騎士団との訓練は楽しいが、疲れた」
「早朝訓練お疲れ様でした。そうだ! 私、マッサージを覚えたのだけど……マッサージしますか?」
別にしなくても、ベッドの上で一緒にいれば。
私の特殊能力「癒し(オフトゥンの上だけ)」で癒やせるのだけど。
王子は嬉しそうに、ゴロンとこっちを向いた。
「ミタリアが、俺にマッサージをしてくれるのか!」
コクリと頷く。
「よろしく、頼む!」
「では、リチャード様、うつ伏せになってください」
私の言う通りにうつ伏せに寝転ぶ王子。私は本で見てきたマッサージをする為。
王子に「失礼します」と、スカートを捲り背中に跨った。
「えっ、跨るのか!」
「はい、背中を揉みますね」
「お、おう……頼む」
「頑張ります!」
マッサージをする為に王子の背中に触れた。ドキンッ! うっ、鼓動がいきなり跳ね上がった……。お風呂上がりで蒸気した王子の体温、王子の筋肉質な背中、王子の香り、私が思っていたのと違っていた。
ほんとうは。キャハハ、ウフフッ、て楽しく、マッサージするつもりだったのだけど……これは、エッチすぎる。
……ダメ。
王子の背中は思っていた以上に男性の背中だ。
猫の姿なら、狼王子に戯れることは出来るけど。
これは……これは、無理な方だ。
(もー、ドキドキしちゃって触れない!)
何も言わずにブレスレットを外して、ポフッと王子の背中の上で獣化した。
いきなり私の重さが変わり、驚いて、こっちを振り向いた。
「ミタリア? ……おい、なに? 獣化してんだよ」
「えーっと、こっちの方が揉みやすいにゃ。この姿で、せ、背中を踏み始めますにゃ」
「あぁ、遠慮せずにマッサージしてくれ」
「はい、にゃ」
+
フミフミ、フミフミ、ミタリアが俺の背中を猫の姿で踏んでいる。俺はマッサージを受けながら、ミタリアに気付かれないように、心を落ち着かせいた。
(……あぁ、焦った。あの姿のまま、ミタリアにマッサージされていたら、変な気を起こすところだった)
王子もミタリアと同じだった。
さっきのマッサージは俺とミタリアの関係が、いま以上に進み、大人になってからの方が良い。
いま、俺の背中をにゃっ、にゃっと楽しそうに鼻歌まじりで、フミフミする猫のミタリアを見てそう思う。
フミフミ、フミフミ、ふふん~。
「リチャード様、どうですかにゃ?」
「気持ちいいよ」
「そうにゃ、えへへっ、嬉しいにゃ!」
しばらく俺は可愛いフミフミを楽しんだ。
「ありがとう、ミタリア。さてと俺も寝るかな」
「ほえっ?」
ブレスレットを外して、狼の姿になり、ミタリアを抱えるようにして寝そべった。
「リ、リチャード様?」
「ん、なに? ミタリア」
見つめると、彼女の瞳が開かれ瞳孔が丸くなっていた。驚かせたかな? と思いつつも。もふもふな頬に鼻をくっつけ、頬を擦り寄せた。
「にゃ! リチャードしゃま!」
「はははっ、そんなに驚くなよ。もう一回」
「にゃ、にゃ、にゃ」
やめてと、ムギっと俺の顔を両手で押した。
プニプニしてるだけで全然痛くないんだけど。
「照れるなよ、別にいいだろう?」
「ううっ、いいにゃ。いいにゃけど、いきなりは驚くのにゃ!」
「そうか、いきなりはダメか……ミタリア、スリスリしてもいい?」
彼女はいいよと目を瞑った。(いま、キスしたら怒るかな? したいな……)誘惑に駆られながら、彼女の顔を眺めていると。チラチラと薄目を開け俺の顔を見て、スリスリしないの? って顔をした。
か、可愛いなぁ。
またチラチラ、俺を見てる。
そんなミタリアに近付き、耳元で。
「俺からのスリスリ、期待した?」
と聞けば。彼女は目を丸にして。
「す、するに決まってるにゃん!」
だって。
その後、彼女が「もう、嫌にゃん」って言うまでスリスリしたさ。
可愛いミタリア。
俺はこの黒猫を愛してやまない。
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