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にじゅうご
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そう私の試写会は終わったのだけど、エマ様はもう一つ金色の観察虫を出した。
「これね、お父様のだけど、面白いの見る?」
と、始まったのはドラーゴ様たち会議の様子を映したものだった。
「サローナ、上座に座っているのがパパね」
パパ? エマ様似の方が魔王様か。
そのエマ様に似た男性の方の言葉で会議が始まった。
「第2回やられかた王選手権」
やられかた王? 選手権?
「ちょっと嫌だわ。それ、見てはダメなものよ!」
「そうです、エマ様」
ドラーゴ様とユバのお父様がお2人が慌てだした。
「ユバは見たことがあるの?」
「いいや、初めてだな」
+
エマ様が見ようと言ったのは、なんでも勇者との戦いで、やられた時にどうやってやられるかを四天王様と魔王様が競うというもの。
見ていくとそれはシュールな映像だった。
1人と1人勇者と戦い、敗れた後の敗北の言葉を言い、誰がいいかを決めているようだった。
他の2人終わった後にドラーゴ様が手を上げた。
「3番ドラーゴいきま~す『ふっ、はははっ、私を倒すとは流石だ勇者よ……ぐふっ』と言った後に消えます」
おーっ、と他の集まった人たちが手を叩く。
その中で上座に座ったエマ様に似た、魔王は。
「ドラーゴは毎回、同じだな……でも、それが良い! 次!」
「4番ルチ行きます『参りました……勇者よ、さらばだ!』とこんな感じで良いですかな?」
「良い、最後に私だな……『勇者よ、よく我を倒した。これで、この世界の悪はいなくなる。この後の世界を良くするのも悪くするのもお前たち人間だ! 良い世界になると良いな……さらばだ!』でどうだ」
1番大きな拍手が送られて、魔王様が1番に選ばれた。
「さすがは我らの魔王様だ、素敵なお言葉だ」
「ほんと素敵。人族がこの後、戦争もなく平和に生きてくれればいいのだけどね」
「そうだな、悪の根源となる私ーー魔王が倒れるんだ、後は自分たちで良い世界を作って欲しいものだな」
と、魔王様の言葉で会議は終わった。
その会議を見て私は不思議に感じた。
どうして勇者にやられるセリフを四天王様と魔王様が考えているのか。
魔王様たちは、やられることが前提なのか。
「サローナは、この会議のこと変に思った?」
「はい」
私が頷くとエマ様は。
「私たちは長生きなの。ほんの100年しか生きない人族の勇者よりもはるかに強いわ。それに魔王はどう足掻いても悪にかなれない。人族の世界で何かあると魔王のせいにするから、だからどんな勇者が来ても『やられてしまいましょう』ってなったの」
「魔王様がいなくなったと思わせれば、私たちを襲って来なくなるわ」
「守るものもあるし、私たちとて戦いたくはないからね」
「サローナが持つ勇者の剣はね、この国のドワーフが使った物でね、それに切られると私たちの体力の三分の一だけが、見えるようになっているのよ」
三分の一?
「皆さんは勇者よりも強いのですね」
「そうだな、今の話ではそうなる」
みんなは普通に強いわよと笑った。
「この国で1番は初代様と勇者よね」
「そうね、私もサシで戦って負けたもの。かなり強いわ。その強い勇者が初代様の偉大さに惚れて、いまも一緒にいるわ」
ドラーゴ様を倒した勇者様が、初代魔王様と一緒?
「サローナ、この提案は2人が考えたものなの。この世界が平和でいれるのは、私の曽祖父と曽祖母ーー初代様と魔王勇者様夫婦のお陰よね」
「いつまも仲の良い2人だ」
「俺も父上と母上と同じく憧れの人たちだ、サローナとそんな夫婦になりたい」
そうなりたいと、微笑んで頷いた。
「これね、お父様のだけど、面白いの見る?」
と、始まったのはドラーゴ様たち会議の様子を映したものだった。
「サローナ、上座に座っているのがパパね」
パパ? エマ様似の方が魔王様か。
そのエマ様に似た男性の方の言葉で会議が始まった。
「第2回やられかた王選手権」
やられかた王? 選手権?
「ちょっと嫌だわ。それ、見てはダメなものよ!」
「そうです、エマ様」
ドラーゴ様とユバのお父様がお2人が慌てだした。
「ユバは見たことがあるの?」
「いいや、初めてだな」
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エマ様が見ようと言ったのは、なんでも勇者との戦いで、やられた時にどうやってやられるかを四天王様と魔王様が競うというもの。
見ていくとそれはシュールな映像だった。
1人と1人勇者と戦い、敗れた後の敗北の言葉を言い、誰がいいかを決めているようだった。
他の2人終わった後にドラーゴ様が手を上げた。
「3番ドラーゴいきま~す『ふっ、はははっ、私を倒すとは流石だ勇者よ……ぐふっ』と言った後に消えます」
おーっ、と他の集まった人たちが手を叩く。
その中で上座に座ったエマ様に似た、魔王は。
「ドラーゴは毎回、同じだな……でも、それが良い! 次!」
「4番ルチ行きます『参りました……勇者よ、さらばだ!』とこんな感じで良いですかな?」
「良い、最後に私だな……『勇者よ、よく我を倒した。これで、この世界の悪はいなくなる。この後の世界を良くするのも悪くするのもお前たち人間だ! 良い世界になると良いな……さらばだ!』でどうだ」
1番大きな拍手が送られて、魔王様が1番に選ばれた。
「さすがは我らの魔王様だ、素敵なお言葉だ」
「ほんと素敵。人族がこの後、戦争もなく平和に生きてくれればいいのだけどね」
「そうだな、悪の根源となる私ーー魔王が倒れるんだ、後は自分たちで良い世界を作って欲しいものだな」
と、魔王様の言葉で会議は終わった。
その会議を見て私は不思議に感じた。
どうして勇者にやられるセリフを四天王様と魔王様が考えているのか。
魔王様たちは、やられることが前提なのか。
「サローナは、この会議のこと変に思った?」
「はい」
私が頷くとエマ様は。
「私たちは長生きなの。ほんの100年しか生きない人族の勇者よりもはるかに強いわ。それに魔王はどう足掻いても悪にかなれない。人族の世界で何かあると魔王のせいにするから、だからどんな勇者が来ても『やられてしまいましょう』ってなったの」
「魔王様がいなくなったと思わせれば、私たちを襲って来なくなるわ」
「守るものもあるし、私たちとて戦いたくはないからね」
「サローナが持つ勇者の剣はね、この国のドワーフが使った物でね、それに切られると私たちの体力の三分の一だけが、見えるようになっているのよ」
三分の一?
「皆さんは勇者よりも強いのですね」
「そうだな、今の話ではそうなる」
みんなは普通に強いわよと笑った。
「この国で1番は初代様と勇者よね」
「そうね、私もサシで戦って負けたもの。かなり強いわ。その強い勇者が初代様の偉大さに惚れて、いまも一緒にいるわ」
ドラーゴ様を倒した勇者様が、初代魔王様と一緒?
「サローナ、この提案は2人が考えたものなの。この世界が平和でいれるのは、私の曽祖父と曽祖母ーー初代様と魔王勇者様夫婦のお陰よね」
「いつまも仲の良い2人だ」
「俺も父上と母上と同じく憧れの人たちだ、サローナとそんな夫婦になりたい」
そうなりたいと、微笑んで頷いた。
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