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墓荒らし
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ドカン!!ガシャン!!ドコッ!!
3体のアンデッドを相手に立ち振る舞いますが、中々にしぶとい。
何度も何度もその体に拳で攻撃を加えていますが、すぐに立ち上がりまた攻撃を仕掛けてくると言う始末。
いい加減疲れましたよ……
そして、また一体のアンデッドが私に向かってくるのが見えたので、身を低くして構えます。
「おいっ!!大丈夫か……──って、お前、マリーか!?」
身構えたところで後ろから声が掛かり振り向くと、そこにはこの国の第一騎士団団長のフリード様が驚いた様子で立っていました。
どうやら、ようやく騎士団が到着した様です。
「……おや?騎士団と言う割には中々遅い出動ですね」
嫌味ったらしくフリード様に物申すと、フリード様は「ははっ。相変わらず手厳しいな」と苦笑いしながら向かってきたアンデッドを殴り飛ばしました。
「ところで、マリー。お前、城を辞めたのか?」
「ええ。クビになりました」
「はぁ!?」
アンデッドの相手をしながら、フリード様の問いかけに答えますが、どうもクビになったと言うことは聞いていなかった様です。
というか、今そんな事はどうでもいいと思うんですが?
「いや、あの殿下がお前をクビにする事はまずないだろ」
「いえ、今回のアンデッドの件に手を出した場合はクビだと言われました。ただ今進行形で手を出していると思われるのですが?」
「それはそうなんだがな……」と何やら歯切れの悪い返事が返ってきました。
そもそも、私は都合のいい駒ではありません。
私の城での仕事は侍女なのです。それなのに、面倒事を押し付けてきたのは殿下です。
そして全てが分かると、私は用無しと。
──あっ、改めて考えるとまた腹が立ってきました。
怒り任せにアンデッドを殴りつけると、壁に叩きつけられた後、ようやく一体の動きが止まりました。
横を見るとフリード様も一体負かしたようです。
「なあ、俺が言うのもなんだが、もう一度殿下と話した方が……」
「結構です」
「今殿下に会ったら怒りに任せて殴りそうなので」と付け加えると「いや、だがな……」と一歩も引きません。
フリード様と話している間にも、もう一体のアンデッドが襲いかかって来る為、落ち着いてゆっくり話も出来ません。
「あが……がが……が……」
「うるせぇ!!!」
「うるさいですよ!!!」
私が蹴り、フリード様が拳で同時に攻撃すると、もう一体も動かなくなりようやく辺りが静かになりました。
「ふぅ……。とりあえず、私はクビになった身。城とは無関係なので、私が何をしようが口出しは無用です」
汚れた服を叩きながらフリード様に改めて、私の意志を伝えましたが、フリード様の顔を見て思わず「ヒュッ」と息を飲みました。
その表情は幼い頃、悪さをした私を叱る時の父様と同じ表情でした。
「──マリー。とりあえずそこに座れ」
「……はい」
表情を変えることなく地面を指を指したので、大人しくその場に正座で座りました。
正座でなくてもいいとは思います。……思いますが、この場面では正座が正解だと判断しました。
私が正座したところで、フリード様の説教が始まりました。
「マリー。お前は武闘に心得があるとは言え女だ。力では男には勝てんだろ?」
「フリード様。お言葉ですが、それは男尊女卑と言うものです。力で勝てなければ頭を使えばいいのです」
私が言い返すと、フリード様はキッと更に表情が堅くなりそれ以上口を開くことをやめました。
「今はそんな事を言っているんでは無い。殿下はお前の事を心配して、今回の件から手を引けと言っているんだ。それぐらいお前でも分かっているだろ?」
「…………」
分かっていますよ。そんな事……
ですが、私にも私の曲げられない意思があるのです。
私が何も言えずに俯いていると、大きな手が私の頭を撫でて来ました。
「殿下だけじゃない。俺もお前が心配だ。──お前は後先考えずに突っ走る所があるからなぁ」
「あはははは」と豪快に笑いながら、私の目線と合わせるようにしゃがみこみ「自分を大事にしろ」と一言仰いました。
私が「フリード様」と言いかけようとした時
「あぁ、こんな所にいましたか」
後ろから声がかかり勢いよく振り向くとそこには、剣を手にした副団長のカルム様が立っておりました。
「……マリー相手に何しているです?」
カルム様は怪訝な表情でフリード様に問いかけると、フリード様がこの状況の説明を開始し、話が進むにつれカルム様の表情も強ばって来ました。
──これは、まずいのでは……?
その思いは現実となり、フリード様に続いてカルム様からもお説教を受けることになりました。
そして終わる頃には足が痺れ、動けなくなった私をフリード様が抱えて皆さんの所まで運んでくれました。
フリード様に担がれてシモーネさん達の所まで運んでいただいたのですが、騎士に運ばれた私の姿を見たシモーネさんが「怪我したの!?」と慌てて駆け寄って来ました。
足が痺れて動けないだけだと分かると「紛らわしいわねぇ」とぶっきら棒に言われましたが、内心ホッとしている事は分かっています。
そして、アンデッドですが……
私とフリード様が負かしたアンデッドはいつの間にかいなくなっており、町に放っていたアンデッドは一体のアンデッドが何やら指示を出すと、町から出ていたらしいです。
もう一体はクルトさんが相手をしておりましたがクルトさんが倒れ、気を失っている間にいなくなっていた様です。
クルトさんはジェムさんに担がれシモーネさんの待つ救護場まで来ましたが、重症です。
他の方々もクルトさん程ではありませんが負傷しております。
こうして、アンデッド襲撃事件は一旦幕引きとなりました。
3体のアンデッドを相手に立ち振る舞いますが、中々にしぶとい。
何度も何度もその体に拳で攻撃を加えていますが、すぐに立ち上がりまた攻撃を仕掛けてくると言う始末。
いい加減疲れましたよ……
そして、また一体のアンデッドが私に向かってくるのが見えたので、身を低くして構えます。
「おいっ!!大丈夫か……──って、お前、マリーか!?」
身構えたところで後ろから声が掛かり振り向くと、そこにはこの国の第一騎士団団長のフリード様が驚いた様子で立っていました。
どうやら、ようやく騎士団が到着した様です。
「……おや?騎士団と言う割には中々遅い出動ですね」
嫌味ったらしくフリード様に物申すと、フリード様は「ははっ。相変わらず手厳しいな」と苦笑いしながら向かってきたアンデッドを殴り飛ばしました。
「ところで、マリー。お前、城を辞めたのか?」
「ええ。クビになりました」
「はぁ!?」
アンデッドの相手をしながら、フリード様の問いかけに答えますが、どうもクビになったと言うことは聞いていなかった様です。
というか、今そんな事はどうでもいいと思うんですが?
「いや、あの殿下がお前をクビにする事はまずないだろ」
「いえ、今回のアンデッドの件に手を出した場合はクビだと言われました。ただ今進行形で手を出していると思われるのですが?」
「それはそうなんだがな……」と何やら歯切れの悪い返事が返ってきました。
そもそも、私は都合のいい駒ではありません。
私の城での仕事は侍女なのです。それなのに、面倒事を押し付けてきたのは殿下です。
そして全てが分かると、私は用無しと。
──あっ、改めて考えるとまた腹が立ってきました。
怒り任せにアンデッドを殴りつけると、壁に叩きつけられた後、ようやく一体の動きが止まりました。
横を見るとフリード様も一体負かしたようです。
「なあ、俺が言うのもなんだが、もう一度殿下と話した方が……」
「結構です」
「今殿下に会ったら怒りに任せて殴りそうなので」と付け加えると「いや、だがな……」と一歩も引きません。
フリード様と話している間にも、もう一体のアンデッドが襲いかかって来る為、落ち着いてゆっくり話も出来ません。
「あが……がが……が……」
「うるせぇ!!!」
「うるさいですよ!!!」
私が蹴り、フリード様が拳で同時に攻撃すると、もう一体も動かなくなりようやく辺りが静かになりました。
「ふぅ……。とりあえず、私はクビになった身。城とは無関係なので、私が何をしようが口出しは無用です」
汚れた服を叩きながらフリード様に改めて、私の意志を伝えましたが、フリード様の顔を見て思わず「ヒュッ」と息を飲みました。
その表情は幼い頃、悪さをした私を叱る時の父様と同じ表情でした。
「──マリー。とりあえずそこに座れ」
「……はい」
表情を変えることなく地面を指を指したので、大人しくその場に正座で座りました。
正座でなくてもいいとは思います。……思いますが、この場面では正座が正解だと判断しました。
私が正座したところで、フリード様の説教が始まりました。
「マリー。お前は武闘に心得があるとは言え女だ。力では男には勝てんだろ?」
「フリード様。お言葉ですが、それは男尊女卑と言うものです。力で勝てなければ頭を使えばいいのです」
私が言い返すと、フリード様はキッと更に表情が堅くなりそれ以上口を開くことをやめました。
「今はそんな事を言っているんでは無い。殿下はお前の事を心配して、今回の件から手を引けと言っているんだ。それぐらいお前でも分かっているだろ?」
「…………」
分かっていますよ。そんな事……
ですが、私にも私の曲げられない意思があるのです。
私が何も言えずに俯いていると、大きな手が私の頭を撫でて来ました。
「殿下だけじゃない。俺もお前が心配だ。──お前は後先考えずに突っ走る所があるからなぁ」
「あはははは」と豪快に笑いながら、私の目線と合わせるようにしゃがみこみ「自分を大事にしろ」と一言仰いました。
私が「フリード様」と言いかけようとした時
「あぁ、こんな所にいましたか」
後ろから声がかかり勢いよく振り向くとそこには、剣を手にした副団長のカルム様が立っておりました。
「……マリー相手に何しているです?」
カルム様は怪訝な表情でフリード様に問いかけると、フリード様がこの状況の説明を開始し、話が進むにつれカルム様の表情も強ばって来ました。
──これは、まずいのでは……?
その思いは現実となり、フリード様に続いてカルム様からもお説教を受けることになりました。
そして終わる頃には足が痺れ、動けなくなった私をフリード様が抱えて皆さんの所まで運んでくれました。
フリード様に担がれてシモーネさん達の所まで運んでいただいたのですが、騎士に運ばれた私の姿を見たシモーネさんが「怪我したの!?」と慌てて駆け寄って来ました。
足が痺れて動けないだけだと分かると「紛らわしいわねぇ」とぶっきら棒に言われましたが、内心ホッとしている事は分かっています。
そして、アンデッドですが……
私とフリード様が負かしたアンデッドはいつの間にかいなくなっており、町に放っていたアンデッドは一体のアンデッドが何やら指示を出すと、町から出ていたらしいです。
もう一体はクルトさんが相手をしておりましたがクルトさんが倒れ、気を失っている間にいなくなっていた様です。
クルトさんはジェムさんに担がれシモーネさんの待つ救護場まで来ましたが、重症です。
他の方々もクルトさん程ではありませんが負傷しております。
こうして、アンデッド襲撃事件は一旦幕引きとなりました。
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