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墓荒らし
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声をかけてきたのは見ず知らずの男性。
でも、私はこの人を知っています。
「──……ニルスさん。ゴリさんの目を盗みましたか?」
「あれ?よく僕だって分かったね」
詫び入れる様子もなく、ニコニコとしながら私達の前に出てきたニルスさん。
しかし今は内輪もめしている場合ではありません。
その証拠に、アンデッドが今まさにニルスさんに鋭い爪を立て攻撃しようとしています。
「ニルスさん!!!」
「……ったく。死人は大人しく寝てなよねっ!!」
ニコラさんは回し蹴りでアンデッドを撃退しました。
……が、元より死んでいる人間。
再び起き上がり、懲りずに私達を襲って来す。
──これはどうやって始末すればいいのですか!?
剣で首を落とせば動きを止めれるかもしれませんが、それだと肉体の持ち主が悲しみます。
出来れば肉体は綺麗なまま遺してあげたいところです。
まあ、既に先程従者の方に傷を付けられてますが……
──ともあれ、そんな事を言っている場合ではないのかもしれませんがね。
ニルスさんは再び襲ってきたアンデッドの相手を。
私は腰が抜けて動けないご令嬢と気を失っている従者の方を安全な場所と連れていき、動けるようになったらすぐに立ち去る様伝えました。
「マリー!!一旦引こう!!夜で視界が悪い!!それに加えてこの雨の中じゃ圧倒的に不利だ!!」
確かに雨で足を取られ思うような攻撃が出来ないのは事実。
しかし、敵を目の前にして逃げ出すような真似はしたくありません。
「マリー!?」
ニコラさんは必死に私に引くよう止めますが、生憎敵に背を向けるような人間に躾られておりません。
私は道端に落ちていた丈夫そうな木の枝を広いアンデッドと向き合いました。
「……あ゛あ゛あ゛……あ゛あ゛……」
相変わらず何を仰っているのか分かりませんが、こちらに敵意があるのは確かのようです。
「──……君、本当に脳筋馬鹿だよねぇ」
逃げ出したかと思われたニルスさんがいつの間にか私の隣で、同じ様に木の枝を持って立っておりました。
「……てっきり逃げたのかと……」
「女の子一人置いておけないでしょ!?これでも紳士だよ僕!!」
訳の分からないことを喚いておりますが、一人より二人の方が心強い。
「ふふっ。私は女の子ではなくて、脳筋馬鹿ですよ?」
カラン……
「……君、そんな風に笑うのか……」
思わず笑みがこぼれた瞬間、ニルスさんは枝を落とし口元に手をやり顔を赤らめていました。
──何でしょう?そんなに私の顔は可笑しいですかね?
よく分からないニルスさんは置いておいて……──来ます。
カーーン!!
……ミシッ……ミシッ……
アンデッドの鋭い爪を枝で受け止めたまでは良かったんですが、思いのほか力が強く枝が負けそうです。
鍔迫り合いになりながらアンデッドの顔を見てみると、なんと言うことでしょう……
──……泣いて……る……?
ザッと後ろに引きアンデッドと距離を取りました。
「……ニルスさん、あのアンデッド……泣いてました」
「そりゃ、あの若さで死んだ挙句、肉体を勝手に使われているだ。意思がなくても悲しいんじゃない?」
そう。あのアンデッドは若者でした。
歳の頃は10代、あるいは20代前半。これからが人生楽しくなるはずだった所に無念だったでしょうね……
しかも無理やり起こされた挙句に、自分の意思とは関係なく人を襲っているのですから……
──ちっ!!考えれば考えるほど胸糞が悪いです。
まあ、同情で攻撃は受ける訳にはいきませんけどね。
そんな事を思いながらニルスさんと構えていると、寸前の所でアンデッドの動きが止まりました。
「……あが……ががが……うがーーー!!!!」
叫び声を上げると、パタンとその場に倒れ込み動かなくなりました。
「……え?」
何が起こったのか分からず、立ち竦むしかありません。
「ありゃりゃ、やっぱり未完成はダメやん」
バッ!!と声のした方を見ると、屋根の上に人影が見えました。
その方は黒いローブを被り顔は見えませんが、アンデッドの製作者の一味という事だけは分かります。
製作者本人か……協力者か……まあ、どちらでもいいです。
──ここで捕らえれば、答えは分かります。
ニルスさんもそう思ったらしく、共に捕獲へと参ります。
しかし、素早い動きで躱されました。
「まあ、落ち着こうやん。僕は未完成なそれを回収しに来ただけやん。……それに、僕、結構強いやん?」
二ィィと不気味に笑う顔にゾクッと背筋が凍りました。
──この方……この表情……もしかして……
「そこの君は案外勘がいいやん。そう、僕は完全体のアンデッドやん」
でも、私はこの人を知っています。
「──……ニルスさん。ゴリさんの目を盗みましたか?」
「あれ?よく僕だって分かったね」
詫び入れる様子もなく、ニコニコとしながら私達の前に出てきたニルスさん。
しかし今は内輪もめしている場合ではありません。
その証拠に、アンデッドが今まさにニルスさんに鋭い爪を立て攻撃しようとしています。
「ニルスさん!!!」
「……ったく。死人は大人しく寝てなよねっ!!」
ニコラさんは回し蹴りでアンデッドを撃退しました。
……が、元より死んでいる人間。
再び起き上がり、懲りずに私達を襲って来す。
──これはどうやって始末すればいいのですか!?
剣で首を落とせば動きを止めれるかもしれませんが、それだと肉体の持ち主が悲しみます。
出来れば肉体は綺麗なまま遺してあげたいところです。
まあ、既に先程従者の方に傷を付けられてますが……
──ともあれ、そんな事を言っている場合ではないのかもしれませんがね。
ニルスさんは再び襲ってきたアンデッドの相手を。
私は腰が抜けて動けないご令嬢と気を失っている従者の方を安全な場所と連れていき、動けるようになったらすぐに立ち去る様伝えました。
「マリー!!一旦引こう!!夜で視界が悪い!!それに加えてこの雨の中じゃ圧倒的に不利だ!!」
確かに雨で足を取られ思うような攻撃が出来ないのは事実。
しかし、敵を目の前にして逃げ出すような真似はしたくありません。
「マリー!?」
ニコラさんは必死に私に引くよう止めますが、生憎敵に背を向けるような人間に躾られておりません。
私は道端に落ちていた丈夫そうな木の枝を広いアンデッドと向き合いました。
「……あ゛あ゛あ゛……あ゛あ゛……」
相変わらず何を仰っているのか分かりませんが、こちらに敵意があるのは確かのようです。
「──……君、本当に脳筋馬鹿だよねぇ」
逃げ出したかと思われたニルスさんがいつの間にか私の隣で、同じ様に木の枝を持って立っておりました。
「……てっきり逃げたのかと……」
「女の子一人置いておけないでしょ!?これでも紳士だよ僕!!」
訳の分からないことを喚いておりますが、一人より二人の方が心強い。
「ふふっ。私は女の子ではなくて、脳筋馬鹿ですよ?」
カラン……
「……君、そんな風に笑うのか……」
思わず笑みがこぼれた瞬間、ニルスさんは枝を落とし口元に手をやり顔を赤らめていました。
──何でしょう?そんなに私の顔は可笑しいですかね?
よく分からないニルスさんは置いておいて……──来ます。
カーーン!!
……ミシッ……ミシッ……
アンデッドの鋭い爪を枝で受け止めたまでは良かったんですが、思いのほか力が強く枝が負けそうです。
鍔迫り合いになりながらアンデッドの顔を見てみると、なんと言うことでしょう……
──……泣いて……る……?
ザッと後ろに引きアンデッドと距離を取りました。
「……ニルスさん、あのアンデッド……泣いてました」
「そりゃ、あの若さで死んだ挙句、肉体を勝手に使われているだ。意思がなくても悲しいんじゃない?」
そう。あのアンデッドは若者でした。
歳の頃は10代、あるいは20代前半。これからが人生楽しくなるはずだった所に無念だったでしょうね……
しかも無理やり起こされた挙句に、自分の意思とは関係なく人を襲っているのですから……
──ちっ!!考えれば考えるほど胸糞が悪いです。
まあ、同情で攻撃は受ける訳にはいきませんけどね。
そんな事を思いながらニルスさんと構えていると、寸前の所でアンデッドの動きが止まりました。
「……あが……ががが……うがーーー!!!!」
叫び声を上げると、パタンとその場に倒れ込み動かなくなりました。
「……え?」
何が起こったのか分からず、立ち竦むしかありません。
「ありゃりゃ、やっぱり未完成はダメやん」
バッ!!と声のした方を見ると、屋根の上に人影が見えました。
その方は黒いローブを被り顔は見えませんが、アンデッドの製作者の一味という事だけは分かります。
製作者本人か……協力者か……まあ、どちらでもいいです。
──ここで捕らえれば、答えは分かります。
ニルスさんもそう思ったらしく、共に捕獲へと参ります。
しかし、素早い動きで躱されました。
「まあ、落ち着こうやん。僕は未完成なそれを回収しに来ただけやん。……それに、僕、結構強いやん?」
二ィィと不気味に笑う顔にゾクッと背筋が凍りました。
──この方……この表情……もしかして……
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