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グロッサ国
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本日、私はゴリさんから謹慎という名の休暇を言い渡されました。
その為、休養中のルイスさんと共に部屋に監禁状態です。
ゴリさんはレナード様の護衛に行く前、ルイスさんに「マリーの監視頼んだぞ」と一言仰って行きました。
それもそのはず、私が大人しく部屋に監禁される様な人間ではないからです。
……と、言う訳で、偵察にでも行ってきますか。
「──……ねぇ、ちょっと、どこ行く気?」
窓に足をかけ、外に飛び降りようとした所で、番犬のルイスさんに止められました。
「…………………チョット、オハナヲツミニ?」
「それ絶対嘘だよね!!普通窓から出てかないし!!流石に俺でも分かるよ!?」
仕方ないじゃないですか、ドアはゴリさんの指示で外側から鍵が掛けられているので、窓から出るしかありません。
「もお~、勘弁してよ。俺がゴリさんに怒られんだよ~?」
文句を言いながら私の服を掴み、窓から引きずり降ろされました。
「頼むから今日は大人しくしててよ~」と、ルイスさんに懇願されてしまいました。
──困りましたね。
私としては使用人の調査を進めたいところなんですが……
そんな事を考えていると、部屋のドアをノックする音が聞こえました。
現れたのはジェムさんです。
本日、ゴリさんとヤンさんがレナード様の護衛に就いている為、手持ち無沙汰でここにやって来た様です。
「あぁ~!!丁度いい所に!!ジェムもマリーを止めてよ!!マリーすぐ脱走しようとすんだもん」
ルイスさん、それは誤解です。脱走しようとしたのは、今のところ一度のみです。
ルイスさんの話を聞いたジェムさんは「ははっ」と軽く笑い、ソファーに腰掛けましたが、どうも様子がおかしいです。
「ジェムさん、どうかしたんですか?」
「……うん。ちょっと、気になる事が有るんだよね……」
私が尋ねると、ジェムさんは神妙な顔をしながら仰りました。
「──……これは俺の推測なんだけど、当主を狙ってるのって執事の奴じゃないかって」
ふむ。なるほど、ジェムさんは犯人がリチャードさんだと言いたいのですね。
では、そう結論を出した経緯を説明してもらいましょうか?
「ほら、俺一応公爵だったでしょ?だから、執事と主人の間柄って少しは分かるんだけど……ここの執事、どうも主人をあまり良く思ってないみたい」
あぁ、ジェムさんは元公爵家のご子息でしたね。
しかし、何故リチャードさんがレナード様を良く思っていないと思われるのでしょう?
「俺ら当主の護衛に付いたろ?その時、色々公務内容を見たんだけど、明らかに収益が見込めない所に投資してたり、何もない枯れた土地を買ったり、金の使い方がおかしいんだよ。流石にちょっと声を掛けてみたら、ここの執事に勧められてやってるみたいなんだよね」
ほお。リチャードさんが、そんな事を……
「──でもさぁ、ここの当主だって一応公爵名乗ってんだから馬鹿じゃないんだろ?わざと騙されたフリしてるとかは?」
ルイスさんがジェムさんに声をかけました。
すると、ジェムさんは首を横に振り「それは、ないよ」と一言。
「──なんて言うか、執事の事を信頼しきってるって感じ?」
あぁ、なるほど。
まぁ、普通であれば信頼し合う事はいい事なんですが、この件に関しては何とも言えない感じですね。
「……これは、調査が必要ですね……」
「は?」
私の言葉にルイスさんがいち早く反応しました。
「ちょっと、マリーは謹慎中だよ!?」
「大丈夫です。この場にゴリさんはおりません。ルイスさんとジェムさんが黙っていてくれれば、バレる事はありません」
私は立ち上がりながら伝えると、ルイスさんが慌てて止めてきましたが、黙ってればいいんです。
「──ゴリさんが戻る前には戻ってきます」
そう一言伝え、素早く窓から外へ飛び降りました。
背後から「あ゛~~~!!!逃げられたァァァ!!!」と言うルイスさんの叫び声が聞こえましたが、そんなものに構ってる暇はありません。
──さて、リチャードさんは何処でしょう?
その為、休養中のルイスさんと共に部屋に監禁状態です。
ゴリさんはレナード様の護衛に行く前、ルイスさんに「マリーの監視頼んだぞ」と一言仰って行きました。
それもそのはず、私が大人しく部屋に監禁される様な人間ではないからです。
……と、言う訳で、偵察にでも行ってきますか。
「──……ねぇ、ちょっと、どこ行く気?」
窓に足をかけ、外に飛び降りようとした所で、番犬のルイスさんに止められました。
「…………………チョット、オハナヲツミニ?」
「それ絶対嘘だよね!!普通窓から出てかないし!!流石に俺でも分かるよ!?」
仕方ないじゃないですか、ドアはゴリさんの指示で外側から鍵が掛けられているので、窓から出るしかありません。
「もお~、勘弁してよ。俺がゴリさんに怒られんだよ~?」
文句を言いながら私の服を掴み、窓から引きずり降ろされました。
「頼むから今日は大人しくしててよ~」と、ルイスさんに懇願されてしまいました。
──困りましたね。
私としては使用人の調査を進めたいところなんですが……
そんな事を考えていると、部屋のドアをノックする音が聞こえました。
現れたのはジェムさんです。
本日、ゴリさんとヤンさんがレナード様の護衛に就いている為、手持ち無沙汰でここにやって来た様です。
「あぁ~!!丁度いい所に!!ジェムもマリーを止めてよ!!マリーすぐ脱走しようとすんだもん」
ルイスさん、それは誤解です。脱走しようとしたのは、今のところ一度のみです。
ルイスさんの話を聞いたジェムさんは「ははっ」と軽く笑い、ソファーに腰掛けましたが、どうも様子がおかしいです。
「ジェムさん、どうかしたんですか?」
「……うん。ちょっと、気になる事が有るんだよね……」
私が尋ねると、ジェムさんは神妙な顔をしながら仰りました。
「──……これは俺の推測なんだけど、当主を狙ってるのって執事の奴じゃないかって」
ふむ。なるほど、ジェムさんは犯人がリチャードさんだと言いたいのですね。
では、そう結論を出した経緯を説明してもらいましょうか?
「ほら、俺一応公爵だったでしょ?だから、執事と主人の間柄って少しは分かるんだけど……ここの執事、どうも主人をあまり良く思ってないみたい」
あぁ、ジェムさんは元公爵家のご子息でしたね。
しかし、何故リチャードさんがレナード様を良く思っていないと思われるのでしょう?
「俺ら当主の護衛に付いたろ?その時、色々公務内容を見たんだけど、明らかに収益が見込めない所に投資してたり、何もない枯れた土地を買ったり、金の使い方がおかしいんだよ。流石にちょっと声を掛けてみたら、ここの執事に勧められてやってるみたいなんだよね」
ほお。リチャードさんが、そんな事を……
「──でもさぁ、ここの当主だって一応公爵名乗ってんだから馬鹿じゃないんだろ?わざと騙されたフリしてるとかは?」
ルイスさんがジェムさんに声をかけました。
すると、ジェムさんは首を横に振り「それは、ないよ」と一言。
「──なんて言うか、執事の事を信頼しきってるって感じ?」
あぁ、なるほど。
まぁ、普通であれば信頼し合う事はいい事なんですが、この件に関しては何とも言えない感じですね。
「……これは、調査が必要ですね……」
「は?」
私の言葉にルイスさんがいち早く反応しました。
「ちょっと、マリーは謹慎中だよ!?」
「大丈夫です。この場にゴリさんはおりません。ルイスさんとジェムさんが黙っていてくれれば、バレる事はありません」
私は立ち上がりながら伝えると、ルイスさんが慌てて止めてきましたが、黙ってればいいんです。
「──ゴリさんが戻る前には戻ってきます」
そう一言伝え、素早く窓から外へ飛び降りました。
背後から「あ゛~~~!!!逃げられたァァァ!!!」と言うルイスさんの叫び声が聞こえましたが、そんなものに構ってる暇はありません。
──さて、リチャードさんは何処でしょう?
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