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グロッサ国

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「いざっ!!」と、一歩踏み込みこもうとした時、覆面の方が何者かに押し倒されました。

よく見ると、それはヤンさん。

「──……ヤンさん、横取りとは趣味が悪いですよ?」

「…………」

『隣でドタバタやられちゃ寝てられん』と、言われました。
ヤンさんの部屋はお隣でしたか……

「──チッ!!何人仲間がいんだ!?」

腹面を被っているのでよく分かりませんが、焦っている事には間違いないでしょう。

まあ、ヤンさんが来たのでこの方はヤンさんに任せ、私はルイスさんの手当をしますか。

私がヤンさん達に背を向けると、ドンッ!!と大きな音がし、振り向くとヤンさんが倒れてました。

「──……全く、セプテム何ヘマしてんのよ?」

「……すまん、セクス。助かった」

見ると壁には大穴が開き、中々にセクシーな装いの方が、ヤンさんから覆面の方を奪還しておりました。
いや、それより……

──何ですか、あの胸!?あんなの牛でしか見たことありませんよ!!

後ろからルイスさんの「……うわ……気失わなくて良かった……」と言う声が聞こえました。

「ふふっ。今夜はここまで。お楽しみはまた今度ね」

と、ルイスさんにウィンクと共に艶やかな笑みを見せると、すぐに外へと飛び降りました。
その笑顔に、ルイスさんの顔が真っ赤です。

私はすぐにルーナに指示を出し、後を追ってもらいます。
ルーナが向かったのを確認し、ヤンさんの元へ。

──良かった。ヤンさんは、気を失っているだけの様です。
きっと、破られた壁の破片が頭に当たったのでしょう。

お次は顔を真っ赤にして、未だ惚けているルイスさんです。

「……撃たれましたか?」

私が問いかけると「かすり傷だよ」との返事が返ってきました。
しかし腹部を拝見すれば、かすり傷では無いことは一目瞭然。
出血量からして、臓器は無事の様ですね。

──不幸中の幸いとはこの事です。

「……す、すみません。この方は、私を庇って、こんな傷を……」

ゲルダさんが顔を真っ青にし、今にも泣きそうな顔でルイスさんに謝っております。

「大丈夫ですよ。命に別状は無いですし、銃弾ぐらい避けれないルイスさんも悪いのです」

「いや、それどんな超人!?──……っ痛……」

「ほら、大声を出すから傷口に響くんです。怪我人は大人しくしていて下さい」

ルイスさんを部屋へ運ぼうとした時、ドタドタドタドタ……とこちらに向かってくる足音が聞こえてきました。

──あぁ~、この足音は……

「マリー!!!ルイス!!!無事か!?」

やはりゴリさんでしたか……

ゴリさんは部屋のドアを勢いよく開けると、中の様子をぐるっと見渡し、すぐに状況を察しルイスさんの元へやって来ました。

「……大丈夫……じゃ、なそうだな。すぐに医者を手配しよう。──そっちは、どうだ!?」

「ヤンは、気を失ってるだけだよ-」

ゴリさんが声を掛けた方を見ると、ティムさんとシモーネさん、ジェムさんもおりました。
ジェムさんはヤンさんの様子を見て、この世の終わりかと言う顔をしておりましたが、気を失っているだけだと分かると、その場にへたり込んでしまいました。

とりあえずルイスさんの手当が先だと言うことで、ルイスさんはゴリさんに任して、私達は部屋の片付けに追われました。
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