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侍女兼便利屋
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「短い間でしたが、お世話になりました」
本日、無事に殿下の部屋から退院です。
指折り数えてみたら、ほぼ一週間はお世話になっていました。
殿下の部屋に持ち込んだ私物を手に、ルーナと共に頭を下げ殿下に感謝の意を伝えました。
「……本当に行っちゃうの?まだいてもいいのよ?」
前日、部屋を出ることを伝えたその瞬間からずっと引き止められております。
確かに、殿下のベッドは上等な物でしたので寝心地は抜群。あんなに熟睡出来たのはいつぶりでしょうか。
そして、部屋の大きさもルーナを飼うには適しておりました。
私の部屋では飛び回るには少々狭いのです。
それに……
──……殿下と夜中までお話するのも、それなりに楽しかったですね。
そうなんです。殿下は仕事が終わればすぐに部屋に戻ってきて、私と他愛のない話を夜遅くまで話すのが日常になっておりました。
「今日は、エルが──」やら「ライナーがね──」など、一日の出来事を話してくれました。
今まで殿下とはそこまで親しく話した事がなかったので、いい機会でした。
たまにエルさんも参加して、三人でお喋りもしました。
今日から再び、侍女と王子と言う立場に戻ります。
……何故か少々寂しいと感じた気がしまたが、きっと気のせいです……
◇◇◇
さて、あれから数日経ちました。
いつものように侍女の仕事をこなし、いつものように寝る。それが本来の私の日常です。
「マリー、何かつまらなそうな顔してるわね」
「えっ?」
そう仰っているのは、カリンです。
本日は、私に会いにわざわざ城まで足を運んで下さいました。
そして当然のように私の部屋に訪れ、私と一緒にお茶とエリックさんの用意してくれたクッキーを頂いております。
「男女も生気が感じられなくて、人形みたいになってるもんだらから、オスカーが怒鳴り散らしてたわよ」
ズズッとお茶を啜りながら、カリンが呆れたように仰りました。
「ねぇ、アイツと同室して何か進展があったの?」
カリンは目を輝かせていますが、カリンが望んでいる様な展開は、この先一生訪れませんよ?
「……何もありませんよ。あるとすれば、少々長めにお話をしたぐらいです」
本当の事を伝えると「えぇぇぇ!?」とカリンが分かりやすく残念がります。
「あいつ、本当意気地がないわ。普通、同じ部屋に好きな子がいたら手ぐらい出すものでしょ!?」
カリン、それはダメな男性の見本です。
簡単に手を出す男性に、ろくな方はおりませんよ?
──カリンが変な男性に引っ掛からないか心配です。
「もう、マリーもそんな顔してるなら、こんな狭い部屋に戻ってこなくても、アイツの部屋にいれば良かったじゃない」
それは出来ません。私は婚約者でも何でもない、ただの侍女です。
侍女が王子と同室と言うのは、世間一般的に有り得ません。
──カリンには、本当の事を伝えるべきでしょうか……
本当の事を伝えて、カリンは何と言うでしょうか。
騙していた事を叱責されるでしょうか。もう友達ではないと言われてしまうでしょうか……
私はカリンに嫌われてしまうことを恐ろしく感じました。
「マリー?どうしたの?やだ!?私の言った事気にしてる!?手を出されなかったぐらいで落ち込まないの!!あいつはいざとなったらやる奴よ!!大丈夫、次があるわ!!」
私の顔色を見たカリンが心配して声をかけてくれましたが、予想に反した言葉に思わず笑みがこぼれました。
「カリンは、やはりカリンですね」
「はぁ?何言ってんのよ?」
もう考えるのは止めです。私らしくありません。
「カリン、ありがとうございます」
──私とお友達になってくれて。
カリンは不思議そうに私を見ていましが、それでいいんです。これは私の自己満足ですから……
本日、無事に殿下の部屋から退院です。
指折り数えてみたら、ほぼ一週間はお世話になっていました。
殿下の部屋に持ち込んだ私物を手に、ルーナと共に頭を下げ殿下に感謝の意を伝えました。
「……本当に行っちゃうの?まだいてもいいのよ?」
前日、部屋を出ることを伝えたその瞬間からずっと引き止められております。
確かに、殿下のベッドは上等な物でしたので寝心地は抜群。あんなに熟睡出来たのはいつぶりでしょうか。
そして、部屋の大きさもルーナを飼うには適しておりました。
私の部屋では飛び回るには少々狭いのです。
それに……
──……殿下と夜中までお話するのも、それなりに楽しかったですね。
そうなんです。殿下は仕事が終わればすぐに部屋に戻ってきて、私と他愛のない話を夜遅くまで話すのが日常になっておりました。
「今日は、エルが──」やら「ライナーがね──」など、一日の出来事を話してくれました。
今まで殿下とはそこまで親しく話した事がなかったので、いい機会でした。
たまにエルさんも参加して、三人でお喋りもしました。
今日から再び、侍女と王子と言う立場に戻ります。
……何故か少々寂しいと感じた気がしまたが、きっと気のせいです……
◇◇◇
さて、あれから数日経ちました。
いつものように侍女の仕事をこなし、いつものように寝る。それが本来の私の日常です。
「マリー、何かつまらなそうな顔してるわね」
「えっ?」
そう仰っているのは、カリンです。
本日は、私に会いにわざわざ城まで足を運んで下さいました。
そして当然のように私の部屋に訪れ、私と一緒にお茶とエリックさんの用意してくれたクッキーを頂いております。
「男女も生気が感じられなくて、人形みたいになってるもんだらから、オスカーが怒鳴り散らしてたわよ」
ズズッとお茶を啜りながら、カリンが呆れたように仰りました。
「ねぇ、アイツと同室して何か進展があったの?」
カリンは目を輝かせていますが、カリンが望んでいる様な展開は、この先一生訪れませんよ?
「……何もありませんよ。あるとすれば、少々長めにお話をしたぐらいです」
本当の事を伝えると「えぇぇぇ!?」とカリンが分かりやすく残念がります。
「あいつ、本当意気地がないわ。普通、同じ部屋に好きな子がいたら手ぐらい出すものでしょ!?」
カリン、それはダメな男性の見本です。
簡単に手を出す男性に、ろくな方はおりませんよ?
──カリンが変な男性に引っ掛からないか心配です。
「もう、マリーもそんな顔してるなら、こんな狭い部屋に戻ってこなくても、アイツの部屋にいれば良かったじゃない」
それは出来ません。私は婚約者でも何でもない、ただの侍女です。
侍女が王子と同室と言うのは、世間一般的に有り得ません。
──カリンには、本当の事を伝えるべきでしょうか……
本当の事を伝えて、カリンは何と言うでしょうか。
騙していた事を叱責されるでしょうか。もう友達ではないと言われてしまうでしょうか……
私はカリンに嫌われてしまうことを恐ろしく感じました。
「マリー?どうしたの?やだ!?私の言った事気にしてる!?手を出されなかったぐらいで落ち込まないの!!あいつはいざとなったらやる奴よ!!大丈夫、次があるわ!!」
私の顔色を見たカリンが心配して声をかけてくれましたが、予想に反した言葉に思わず笑みがこぼれました。
「カリンは、やはりカリンですね」
「はぁ?何言ってんのよ?」
もう考えるのは止めです。私らしくありません。
「カリン、ありがとうございます」
──私とお友達になってくれて。
カリンは不思議そうに私を見ていましが、それでいいんです。これは私の自己満足ですから……
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