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侍女兼便利屋
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私は殿下に抱きしめられたまま、離してもらえません。
いえ、離そうとしません。
そうこうしている内に暗闇に目が完全に慣れ、遠くまで見渡せるまでになりました。
どうやら会場に残っているのは、私と殿下、エルさんと刺客の方のみになりましたね。
──おっと、ルーナを忘れてはいけません。
チラッと窓の外を見れば、騎士団の方々が会場の周りを固めています。これでは、刺客の方は逃げきれないでしょう。
「──くそっ!!」
刺客の方も気付いたようです。
すると、ヤケになったのでしょうか、物凄い勢いで此方に向かってきました。
「殿下!!!」
エルさんが慌てて追いかけて来るのが見えます。
私も殿下を庇おうとしますが、この方、離れません!!!
──このままでは、まずいです!!エルさんは間に合いません!!
殿下の腕を必死に解こうともがきますが、ビクともしません。こんな時、女性と男性の力の差を実感させられます。
「二人共々死ねや!!!」
せめて、殿下だけでも守ります!!!
この際、仕方ないと思い殿下には気を失ってもらおうと、鳩尾目掛けて拳を打ち込みましたが、殿下はそれを平手で止めました。
「えっ?」
キーーン!!!
呆けてる私の肩を抱き庇いながら、刺客の方の剣を殿下の剣が受け止めました。
「……ちょっと、いい所なんだから邪魔しないでくれる?」
「──なっ!?」
刺客の方はまさか、受け止めらるとは思っていなかったようで、驚いています。私もその一人です。
「ふふっ、驚いた?これでも私、一応男の子なのよ?大事な子一人ぐらい守れなきゃね」
月明かりに照らされた殿下のお顔はとても美しく、その微笑みに私はドキッとしてしまいました。
──な、なんですかこのドキッは!?顔が熱いです!!病気でしょうか!?
そんな事を思っていると殿下はスッと立ち上がり、刺客の方と向き合っています。
「エル!!こいつを拘束しなさい!!」
殿下の声にエルさんがすぐに動きますが、刺客の方もそう簡単には捕まりませんよね。
「──くそっ!!一旦引く!!次会った時覚えておけよ!!」
捨て台詞を吐き捨て、外へと逃げていきました。その後をエルさんが慌てて追います。
外では騎士の方々も追っているようで、団長様の怒鳴り声が響き渡っております。
そして会場に残っているのは私と殿下、ルーナのみです。
「マリー、大丈夫?」
未だにしゃがみこんでいる私と同じ目線に座り、殿下が優しい声で問います。
「……殿下、すみません。折角ご用意して頂いたドレスを破ってしまいました」
そう伝えると、殿下は私の脚の方を見るなり顔を赤らめ、目を手で覆ってしまいました。
……あぁ、すみません。生脚を見せるのは、はしたなかったですね。
殿下は上着を脱ぎ、私の脚に掛けて下さいました。
そのまま、再び抱きしめられました。
「ドレスなんて、いつでも買ってあげるわよ。でもね、命だけは大切にしてちょうだい。私がどんな気持ちで貴方を探したと思ってるの!?」
どうやら、殿下は本気で心配してくださったご様子。
殿下に心配させてしまうとは、使用人として失格ですね。
「さあ、早いとこ、ここから出ましょう」
「──っつ!!!」
殿下が立ち上がり私の手を引いた瞬間、足首に痛みが走りました。
私の声に気付いた殿下が慌てて「どこか怪我したの!?」と詰め寄って来ましたので、渋々足を挫いた事を白状しましたら、殿下の顔が青ざめるのが暗闇でも分かりました。
「なんで早く言わないのよ--!?」と怒鳴られながら、殿下に素早く抱き抱えられ、会場を後にしました。
流石に殿下の手を煩わせる訳にはいかず、何度も「降ろして下さい」と懇願しましたが、その都度「黙らっしゃい!!」の一言で片付けられました。
殿下に抱き抱えられながら城の中を歩くと言うことは、目撃者が多数出ると言う事でして、次の日から「殿下の婚約者は実在した!!」と使用人の間で話が持ち切りでした。
いえ、離そうとしません。
そうこうしている内に暗闇に目が完全に慣れ、遠くまで見渡せるまでになりました。
どうやら会場に残っているのは、私と殿下、エルさんと刺客の方のみになりましたね。
──おっと、ルーナを忘れてはいけません。
チラッと窓の外を見れば、騎士団の方々が会場の周りを固めています。これでは、刺客の方は逃げきれないでしょう。
「──くそっ!!」
刺客の方も気付いたようです。
すると、ヤケになったのでしょうか、物凄い勢いで此方に向かってきました。
「殿下!!!」
エルさんが慌てて追いかけて来るのが見えます。
私も殿下を庇おうとしますが、この方、離れません!!!
──このままでは、まずいです!!エルさんは間に合いません!!
殿下の腕を必死に解こうともがきますが、ビクともしません。こんな時、女性と男性の力の差を実感させられます。
「二人共々死ねや!!!」
せめて、殿下だけでも守ります!!!
この際、仕方ないと思い殿下には気を失ってもらおうと、鳩尾目掛けて拳を打ち込みましたが、殿下はそれを平手で止めました。
「えっ?」
キーーン!!!
呆けてる私の肩を抱き庇いながら、刺客の方の剣を殿下の剣が受け止めました。
「……ちょっと、いい所なんだから邪魔しないでくれる?」
「──なっ!?」
刺客の方はまさか、受け止めらるとは思っていなかったようで、驚いています。私もその一人です。
「ふふっ、驚いた?これでも私、一応男の子なのよ?大事な子一人ぐらい守れなきゃね」
月明かりに照らされた殿下のお顔はとても美しく、その微笑みに私はドキッとしてしまいました。
──な、なんですかこのドキッは!?顔が熱いです!!病気でしょうか!?
そんな事を思っていると殿下はスッと立ち上がり、刺客の方と向き合っています。
「エル!!こいつを拘束しなさい!!」
殿下の声にエルさんがすぐに動きますが、刺客の方もそう簡単には捕まりませんよね。
「──くそっ!!一旦引く!!次会った時覚えておけよ!!」
捨て台詞を吐き捨て、外へと逃げていきました。その後をエルさんが慌てて追います。
外では騎士の方々も追っているようで、団長様の怒鳴り声が響き渡っております。
そして会場に残っているのは私と殿下、ルーナのみです。
「マリー、大丈夫?」
未だにしゃがみこんでいる私と同じ目線に座り、殿下が優しい声で問います。
「……殿下、すみません。折角ご用意して頂いたドレスを破ってしまいました」
そう伝えると、殿下は私の脚の方を見るなり顔を赤らめ、目を手で覆ってしまいました。
……あぁ、すみません。生脚を見せるのは、はしたなかったですね。
殿下は上着を脱ぎ、私の脚に掛けて下さいました。
そのまま、再び抱きしめられました。
「ドレスなんて、いつでも買ってあげるわよ。でもね、命だけは大切にしてちょうだい。私がどんな気持ちで貴方を探したと思ってるの!?」
どうやら、殿下は本気で心配してくださったご様子。
殿下に心配させてしまうとは、使用人として失格ですね。
「さあ、早いとこ、ここから出ましょう」
「──っつ!!!」
殿下が立ち上がり私の手を引いた瞬間、足首に痛みが走りました。
私の声に気付いた殿下が慌てて「どこか怪我したの!?」と詰め寄って来ましたので、渋々足を挫いた事を白状しましたら、殿下の顔が青ざめるのが暗闇でも分かりました。
「なんで早く言わないのよ--!?」と怒鳴られながら、殿下に素早く抱き抱えられ、会場を後にしました。
流石に殿下の手を煩わせる訳にはいかず、何度も「降ろして下さい」と懇願しましたが、その都度「黙らっしゃい!!」の一言で片付けられました。
殿下に抱き抱えられながら城の中を歩くと言うことは、目撃者が多数出ると言う事でして、次の日から「殿下の婚約者は実在した!!」と使用人の間で話が持ち切りでした。
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