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侍女兼便利屋
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「きゃーーーーー!!!!」
「おい!!何が起きた!!?」
「誰か──ぐはっ!!!」
「いやーーーー!!!」
会場は一瞬にして阿鼻叫喚となりました。
私はカリンを抱きしめ、細心の注意を払います。
急に暗闇になったので、目がまだ慣れていません。今ここで動くのは危険だと判断しました。
辺りの声を聞いていると、何者かが忍び込んだのがわかります。
「マリー!!どこなの!?マリー!!!」
様々な叫び声の中、殿下の声が聞こえました。
いつもは「マリアンネ」と名を呼んでいて、愛称で呼ばれたことは一度もありません。
……殿下はしっかりしたお方です。使用人として私を見る為、愛称では呼ばなかったのでしょう。
でも、今は違います。
しかも、今の私は「リアン」です。それを忘れる程、慌てているのでしょう。
──……殺気!!!?
キンッ!!
私は慌ててカリンを背後に隠し、太腿に付けた小刀を取り出し殺気を向けた方の剣を受け止めました。
「……貴様が王太子の婚約者か?」
「──違いますが?」
鍔迫り合いになりなってる最中、刺客の方が私に問いかけてきました。
どうやら、この方の目的は婚約者のようですね。
「おかしな事を言うな。さっき婚約者だと国王に紹介してたろ?」
「ええ、仕事ですから」
「……は?」
刺客の方は戸惑っていますが、戸惑ってくれてたお陰で大分目が慣れました。
──これならいけます!!!
すぐに私は刺客の方の剣を振り落とし、カリンから距離を取る為、その場から急いで離れます。
案の定、刺客の方はすぐに私を追ってきました。
できるだけ遠くにと思って走りましたが、履きなれなれないヒールで足を捻ってしまいました。
──こんな時に!!
しかし、痛がっている暇はありません。
私は更に動きやすいように、ドレスのスカートを膝丈まで裂きました。殿下には悪いと思いましたが、今はそんな事言っる場合ではありません。後でしっかり謝ります!!
「──っ!!!」
飛び掛ってきた刺客の方が馬乗りになり、押し倒されました。
「貴様が婚約者だろうと婚約者じゃなかろうと、この際どちらでもいい。国王に婚約者と報告した時点でお前は婚約者だと判断した」
やはり、殿下のお願いは聞くものではありませんね。
ろくなことがありません。
「安心しろ、一発で仕留めてやる!!!」
そう言うなり、剣の刃を私の首目掛けて振り下ろしましたが、ここで簡単に死ぬ訳にいきません。
馬乗りになっている刺客の方の足の間を刃が刺さる前にすり抜け、しゃがみながら回し蹴りしようと片足に力を入れたら、先程挫いた足が痛み本来の力が出せませんでした。
「……お前、ただの婚約者じゃないな?」
ええ、ただの侍女です。
……このやり取り、最近多くないですか?女性が弱いと決めつけるのはいけませんよ。
「マリー!!!どこ!?」
殿下!?こちらに来ては、いけません!!
殿下の声はこちらに間違いなく向かっています。
このままでは殿下も巻き添えです!!
そんな事を一瞬思ってしまった為、私に隙が出来てしまいました。
「──死ね!!!」
──しまった!!!
今更間に合わないと思い、目を瞑り腕で顔を覆っていましたが、一向に痛くありません。
そろりと目を開けば、目の前に黒い大きな影。
「マリー、大丈夫!?」
「エルさん!?」
間一髪の所で、エルさんに助けられました。
流石、影の方。暗闇をものともしませんね。
「──……ちっ!!隠密の者か!?」
「まあ、そうだね。僕が来たからには、お前逃げれないよ?」
「覚悟しな」とエルさんが言うなり、刺客の方に向かっていきました。
あちらこちらに剣交わる音が響きわたり、未だ会場の外に出れていない方々の、悲鳴が響いています。
──……エルさんが来たならもう安心ですね。
私はその場にしゃがみこみ、事が済むのを待つことにしました。挫いた足が痛み、動けないのです。
キュルルル!!
「おや?」
ルーナの鳴き声?
「マリー!!!!」
暗闇の中現れたのは、殿下と殿下の肩に乗ったルーナ。
なるほど、ルーナにここまで道案内してもらったのでしょうね。
と言うか、いつルーナを手なずけたんでしょうか?
殿下は私を見つけるなり、力一杯抱きしめてきました。
抱きしめた手は若干震えていました。
こんな侍女の為に危険を犯すとは、一国の主として有るまじき行為です。
──……ですが、感謝は致します。
私は感謝の意を込めて、殿下を抱きしめ返しました。
キュル!!
ルーナも私に頬擦りをして、その存在を確かめているようでした。
「おい!!何が起きた!!?」
「誰か──ぐはっ!!!」
「いやーーーー!!!」
会場は一瞬にして阿鼻叫喚となりました。
私はカリンを抱きしめ、細心の注意を払います。
急に暗闇になったので、目がまだ慣れていません。今ここで動くのは危険だと判断しました。
辺りの声を聞いていると、何者かが忍び込んだのがわかります。
「マリー!!どこなの!?マリー!!!」
様々な叫び声の中、殿下の声が聞こえました。
いつもは「マリアンネ」と名を呼んでいて、愛称で呼ばれたことは一度もありません。
……殿下はしっかりしたお方です。使用人として私を見る為、愛称では呼ばなかったのでしょう。
でも、今は違います。
しかも、今の私は「リアン」です。それを忘れる程、慌てているのでしょう。
──……殺気!!!?
キンッ!!
私は慌ててカリンを背後に隠し、太腿に付けた小刀を取り出し殺気を向けた方の剣を受け止めました。
「……貴様が王太子の婚約者か?」
「──違いますが?」
鍔迫り合いになりなってる最中、刺客の方が私に問いかけてきました。
どうやら、この方の目的は婚約者のようですね。
「おかしな事を言うな。さっき婚約者だと国王に紹介してたろ?」
「ええ、仕事ですから」
「……は?」
刺客の方は戸惑っていますが、戸惑ってくれてたお陰で大分目が慣れました。
──これならいけます!!!
すぐに私は刺客の方の剣を振り落とし、カリンから距離を取る為、その場から急いで離れます。
案の定、刺客の方はすぐに私を追ってきました。
できるだけ遠くにと思って走りましたが、履きなれなれないヒールで足を捻ってしまいました。
──こんな時に!!
しかし、痛がっている暇はありません。
私は更に動きやすいように、ドレスのスカートを膝丈まで裂きました。殿下には悪いと思いましたが、今はそんな事言っる場合ではありません。後でしっかり謝ります!!
「──っ!!!」
飛び掛ってきた刺客の方が馬乗りになり、押し倒されました。
「貴様が婚約者だろうと婚約者じゃなかろうと、この際どちらでもいい。国王に婚約者と報告した時点でお前は婚約者だと判断した」
やはり、殿下のお願いは聞くものではありませんね。
ろくなことがありません。
「安心しろ、一発で仕留めてやる!!!」
そう言うなり、剣の刃を私の首目掛けて振り下ろしましたが、ここで簡単に死ぬ訳にいきません。
馬乗りになっている刺客の方の足の間を刃が刺さる前にすり抜け、しゃがみながら回し蹴りしようと片足に力を入れたら、先程挫いた足が痛み本来の力が出せませんでした。
「……お前、ただの婚約者じゃないな?」
ええ、ただの侍女です。
……このやり取り、最近多くないですか?女性が弱いと決めつけるのはいけませんよ。
「マリー!!!どこ!?」
殿下!?こちらに来ては、いけません!!
殿下の声はこちらに間違いなく向かっています。
このままでは殿下も巻き添えです!!
そんな事を一瞬思ってしまった為、私に隙が出来てしまいました。
「──死ね!!!」
──しまった!!!
今更間に合わないと思い、目を瞑り腕で顔を覆っていましたが、一向に痛くありません。
そろりと目を開けば、目の前に黒い大きな影。
「マリー、大丈夫!?」
「エルさん!?」
間一髪の所で、エルさんに助けられました。
流石、影の方。暗闇をものともしませんね。
「──……ちっ!!隠密の者か!?」
「まあ、そうだね。僕が来たからには、お前逃げれないよ?」
「覚悟しな」とエルさんが言うなり、刺客の方に向かっていきました。
あちらこちらに剣交わる音が響きわたり、未だ会場の外に出れていない方々の、悲鳴が響いています。
──……エルさんが来たならもう安心ですね。
私はその場にしゃがみこみ、事が済むのを待つことにしました。挫いた足が痛み、動けないのです。
キュルルル!!
「おや?」
ルーナの鳴き声?
「マリー!!!!」
暗闇の中現れたのは、殿下と殿下の肩に乗ったルーナ。
なるほど、ルーナにここまで道案内してもらったのでしょうね。
と言うか、いつルーナを手なずけたんでしょうか?
殿下は私を見つけるなり、力一杯抱きしめてきました。
抱きしめた手は若干震えていました。
こんな侍女の為に危険を犯すとは、一国の主として有るまじき行為です。
──……ですが、感謝は致します。
私は感謝の意を込めて、殿下を抱きしめ返しました。
キュル!!
ルーナも私に頬擦りをして、その存在を確かめているようでした。
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