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28. 露店とテンタクル

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 一応森を攻略したので、次は平原だよね。
 ということで、11日目。

 今日もトラニー君に露店を任せる。
 本日の品物リストはこちら。

 星形の木工ペンダント   x5@5,000セシル
 ウサギ絵の木のペンダント x8@4,000セシル
 5級ポーション(渋み控えめ)x40@800セシル
 5級MPポーション     x10@900セシル

 MPポーションを売るのは初めてだ。ただし私のはランクが3で、MP回復量が60だ。
 雑貨屋のはランク2でMP回復量が50なので、100セシル高くしてみた。
 回復量あたりの値段では私のMPポーションのほうがお得である。

 渋み控えめはこの前と同じ値段だ。
 これは以前22個販売したけれど、すぐに売れて、掲示板とかの公開情報にはまだなっていない。

 単に掲示板やwikiに書く習慣がない人もいれば、情報を公開すると、入手が困難になる可能性があって、人によってポリシーは異なるのだ。
 新情報を公開したがる人がいる一方、目立つ行動は控える人もいる。
 ゲーム外の掲示板というものも存在しているけれど、昔は流行っていた匿名掲示板が政治や法律上の圧力などにより閉鎖された後は、ユーザーが複数サイトに分離したり、匿名ではなくログイン方式が主流となったりして、あまり流行っていないのが現状だ。
 また、このゲーム内は6倍速なので、外部のサーバーと通信すると応答時間が6倍になり、レスポンスが悪くてイライラするので、利用が限定的なのだ。
 例えば本来なら1秒で表示されるサイトが6秒かかるとなると、かなり長く感じると思う。

 公式情報によれば、現在の方位ごとの村に振り分ける方法は、将来のユーザー数をみながら、4つを2つに減らすか、はじめからデルタ町を初期町にするか検討しており、変更される可能性もあるそうだ。

 他の露店で、空き瓶、薬草類を購入すればいいと思ったけど、現実世界で夜中だからか、見かけなかった。
 どこからでもアクセス可能な公式マーケットみたいなのがあれば、楽なんだけど、リアル指向のこのゲームでは、現時点では実装されていない。

 代わりに、オンラインメンテナンス、通称オンメンテでゲーム内時間の今朝に、NPCが広場の隅に、本当の意味でのゲーム内掲示板を設置していった。
 村の露店での売り買い情報やパーティー員募集などをその場所のみで公開できるようになった。
 普通ならペンと紙などが必要そうだが、特別にホログラムシステムで書き込み可能だ。
 読むのは普通に紙になって貼ってあるので、立ち止まって読めばよい。
 これには、ユーザー名は匿名で書けるらしく、規約違反でなければ気軽に使える。

 広場の中で、白い布を被った布装備の女性が2名いて、最初NPCだと思った。
 話してみると、復活した人や町に戻ってくる人を無料で癒してくれるプレイヤーだった。
 通称「辻ヒール」というロールプレイらしい。
 おしゃべりをしながら、戻ってくる人を観察して、ヒールの見返りに未公開情報の収集にあたっているとか。
 ゲームが進んでくると色々なことをする人が増えてきて面白いね。

 朝から平原に繰り出している。
 もちろん、ウサギさん帽子を装備して、平原を移動中だ。
 いままでは、村から見える範囲程度の距離で戦闘していた。

 村から少し離れると、新しい敵がでてくる。
 触手系モンスター「テンタクル」。陸に住むタコだ。
 Lv1でデルタ町に行くとこいつにやられるという。

 こいつの問題点は、気持ち悪いという1点につきる。
 痛覚などの制限はあるが、触手が絡みついてくる感覚は普通にあるのだそうだ。
 特に女性から評判が悪かった。
 以上掲示板スレからの情報だ。

 なるほど、茶色いウサギ、プリン混在地帯を抜けたら、プリン地帯になり、さらに進むとテンタクル生息地だった。
 大きいので、離れていても、うごめいているタコが視認できる。

「わー。なにあれ、タコだ。でも大きいなぁ~」
「たこ焼きとか懐かしいですわね。美味しそうですわね」
「あー。あれ食べるの?」

 様子見として、離れた状態で、私がマジックボールを叩き込む。
 弾かれた感じはしないので、効いてるのだろう。
 こちらを敵と認識したようだ。
 続いてアイスブリーズを叩き込む。

 次は接近戦だ。

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