上 下
2 / 65

2. キャラクター作成

しおりを挟む
 翌日。私たちは、長期間意識がない状態になるための準備をして、あとはログインをするだけになった。
 ベッドに横になって起動ボタンを押す。

 WVROを起動すると、ゲームに自動ログインする。
 最新のVRギアでは、脳波生体認証がおこなわれていて、オンラインゲームにいちいちログイン操作は必要がない。
 そのため、複数アカウントを取得したりすることが不可能で不正防止効果があった。

 オープンベータとなっているが、混雑防止のため、現実時間の1時間あたり最大200人ずつ解放される仕様になっているらしい。
 私たちは実験のため、なんと第一陣から参加できる。
 とりあえず、ゲーム開始まで加速時間であと1時間ある。
 ゲーム内ではまだ遊べないが、公式サイト、説明書、web、公式掲示板閲覧、キャラクター作成、そして事前設定してある外部とのメッセージ交換のみ先行して行えるらしい。

 まずはPV風オープニング立体映像が流れ、豊かな大自然、中世ヨーロッパ風街並み、剣士とオークのバトルなどの映像が流れる。
 すごく綺麗な映像で、壮大な世界観っぽいということだけが分かった。
 それが終わると、青っぽいなにもない空間になった。
 そこに受付係みたいな格好の金髪エルフのお姉さんが一人ぽつんと立っている。

「ようこそ、Wonderland Virtual Reality Onlineへ」
「こんにちは」
「まずはキャラクターを作成してください。作成前でも説明書や外部サイト、ギア登録のメッセージなどは使えます」
「あ、っはい!」

 まずは種族らしい。
 ヒューマン、ドワーフ、エルフ、犬耳族、猫耳族から選択可能だ。
 なお、性別は基本的にはリアルのものが適用されるとのこと。

「可愛いみたいだから猫耳族でお願いします」
「了解しました」

「容姿をカスタマイズしてください」
「お任せで、可愛い感じでお願いします」

 初期の容姿は、リアルの姿かたちを若干ランダムでいじった物になっている。

「わかりました。若干可愛い目に変更します」

 目元なんかが前より可愛くなった。
 長くログインするので身長は自分のデータと同じなのを強く推奨されたのでそうした。
 髪の毛は金髪で、上に猫耳が付いている。

「尻尾はないんですね」
「はい。装備を着けるときに邪魔になるからだそうです。その代わり着け尻尾はゲーム内にありますので、ご利用ください」
「はい。分かりました」

 初期ステータスはない。設定値はあるが、このゲームでは表示されない。冒険した内容に合わせて自動で成長するという。

「初期装備を選択してください。初心者へのお勧めは片手剣、杖です」

 片手剣、大剣、ナイフ、槍、大盾、ナックル、弓、投擲とうてき石セット、杖、ロザリオ、鞭、ハンマーから選べるらしい。

「じゃあ杖で」
「了解しました。なお初期武器はあくまで初期装備で、後から武器の種類を変更しても何ら問題ありません。ただし武器ごとにスキルがあり使うと成長するため、変更すると新しい武器のスキルは一から始めなければなりません」
「わかりました」

 私は、運動はあんまり得意ではないし、せっかくなので攻撃は魔法職にする。でも本命は生産だ。
 説明書によるとこのゲームはスキル制になっている。
 取得・使用可能スキルに制限はないが、練度を上げないと良い結果が出せないので、大量にとっても、使用しなければ成長しない器用貧乏になるそうだ。

「初期装備を選んでください」

 革の軽鎧、革の重鎧、ローブ、布の服から選べる。

「ローブがいいかな」
「了解しました。続いてお名前を決めてください。カタカナのみ使用可能です」
「あえーと、何にしよかな」

 カタカナしか使えないのは、詐欺防止や音声入力上の問題があるかららしい。
 あと世界観のためもあるかもしれない。

「ミケにします」
「了解しました。重複チェック、問題ありません」

 猫だからミケ。安直だが覚えられやすいだろう。

「以上でキャラクター作成は終わりです。ログイン開始時間まで、暫くお待ちください」
「はーい」

 説明書を読んだり、掲示板を眺めていたらすぐ時間になった。

「ログイン可能になりました。開始地点を選択してください」

 北村、南村、西村、東村とある。
 これは、ゲームを始める前に事前に知らされていたので、打ち合わせをしてある。
 皆で集合するため同じところを選んだ。

「東村までお願いします」
「では、いってらっしゃいませ」

 視界が真っ暗になり浮遊感に包まれた。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

春空VRオンライン ~島から出ない採取生産職ののんびり体験記~

滝川 海老郎
SF
新作のフルダイブVRMMOが発売になる。 最初の舞台は「チュートリ島」という小島で正式リリースまではこの島で過ごすことになっていた。 島で釣りをしたり、スライム狩りをしたり、探険したり、干物のアルバイトをしたり、宝探しトレジャーハントをしたり、のんびり、のほほんと、過ごしていく。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

私の召喚獣が、どう考えてもファンタジーじゃないんですけど? 〜もふもふ? いいえ……カッチカチです!〜

空クジラ
SF
 愛犬の死をキッカケに、最新VRMMOをはじめた女子高生 犬飼 鈴 (いぬかい すず)は、ゲーム内でも最弱お荷物と名高い不遇職『召喚士』を選んでしまった。  右も左も分からぬまま、始まるチュートリアル……だが戦いの最中、召喚スキルを使った鈴に奇跡が起こる。  ご主人様のピンチに、死んだはずの愛犬コタロウが召喚されたのだ! 「この声? まさかコタロウ! ……なの?」 「ワン」  召喚された愛犬は、明らかにファンタジーをぶっちぎる姿に変わり果てていた。  これはどこからどう見ても犬ではないが、ご主人様を守るために転生した犬(?)と、お荷物職業とバカにされながらも、いつの間にか世界を救っていた主人公との、愛と笑いとツッコミの……ほのぼの物語である。  注意:この物語にモフモフ要素はありません。カッチカチ要素満載です! 口に物を入れながらお読みにならないよう、ご注意ください。  この小説は『小説家になろう』『カクヨム』にも投稿しています。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

インフィニティ・オンライン~ネタ職「商人」を選んだもふもふワンコは金の力(銭投げ)で無双する~

黄舞
SF
 無数にあるゲームの中でもβ版の完成度、自由度の高さから瞬く間に話題を総ナメにした「インフィニティ・オンライン」。  貧乏学生だった商山人志はゲームの中だけでも大金持ちになることを夢みてネタ職「商人」を選んでしまう。  攻撃スキルはゲーム内通貨を投げつける「銭投げ」だけ。  他の戦闘職のように強力なスキルや生産職のように戦闘に役立つアイテムや武具を作るスキルも無い。  見た目はせっかくゲームだからと選んだもふもふワンコの獣人姿。  これもモンスターと間違えられやすいため、PK回避で選ぶやつは少ない!  そんな中、人志は半ばやけくそ気味にこう言い放った。 「くそっ! 完全に騙された!! もういっその事お前らがバカにした『商人』で天下取ってやんよ!! 金の力を思い知れ!!」 一度完結させて頂きましたが、勝手ながら2章を始めさせていただきました 毎日更新は難しく、最長一週間に一回の更新頻度になると思います また、1章でも試みた、読者参加型の物語としたいと思っています 具体的にはあとがき等で都度告知を行いますので奮ってご参加いただけたらと思います イベントの有無によらず、ゲーム内(物語内)のシステムなどにご指摘を頂けましたら、運営チームの判断により緊急メンテナンスを実施させていただくことも考えています 皆様が楽しんで頂けるゲーム作りに邁進していきますので、変わらぬご愛顧をよろしくお願いしますm(*_ _)m 吉日 運営チーム 大変申し訳ありませんが、諸事情により、キリが一応いいということでここで再度完結にさせていただきます。

言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空
SF
社畜?社会人4年目に突入する紗蘭は、合計10連勤達成中のある日、VRMMOの世界にダイブする。 ゲームの世界でくらいは、ほのぼのライフをエンジョイしたいと願った彼女。 女神様の前でステータス決定している最中に 「言霊の力が活かせるジョブがいい」 とお願いした。すると彼女には「言霊エンチャンター」という謎のジョブが!? 彼女の行く末は、夢見たほのぼのライフか、それとも……。 これは、現代とVRMMOの世界を行き来するとある社畜?の物語。 (当分、毎日21時10分更新予定。基本ほのぼの日常しかありません。ダラダラ日常が過ぎていく、そんな感じの小説がお好きな方にぜひ。戦闘その他血沸き肉躍るファンタジーお求めの方にはおそらく合わないかも)

後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~

夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。 多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』 一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。 主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!! 小説家になろうからの転載です。

処理中です...