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2.初めは出来心。 ※
しおりを挟む魔道具。
魔力を通しやすいく貯めやすい石と機械的機構、そして魔法陣を組み込む事で動く道具である。
大きな物では冷蔵庫や洗濯機など家事に革命を起こすようなモノがあるが、俺が作っているのは、玩具のたぐいである。
オルゴールなど洒落た物も作った事もあったが、本職が作った方がいいのが出来る。
俺が作るのは、主にバザーに出すぐらいの物である。
そして、自分の為の大人の玩具。
後ろに使う物である。
必要に迫られて?と言いいますか…。
初めは、ちょっとした出来心。
それまでの自慰は普通に前を扱いて行っていたが。ちょっと噂に聞いた事を試したくなった。男には後ろで気持ちいい場所がある。
そして、後ろを触ってみたら気持ち良くて…。初めてでドンピシャ位置を当ててしまった。
指から始まり、徐々にエスカレートして、ハリ型を使って自慰に耽ってしまっていた。
ハリ型を自分で動かすのもなんだかパターン化してきて、勝手に動いてくれるのが欲しくなって、更なる出来心がブツを作ってしまったのである。
捗る自慰。今では立派な童貞アナニスト。
こんな無愛想に近づいてくる女もいない。娼館に行くにも田舎だ。役場勤めの両親の手前行きづらい。
そんなこんなで、こうなりました。
今日も消音防壁を展開してベッドでウフォウフォしておりました。
満足して眠りに落ちたのは、すっかり夜が支配する時間だった。
***
『これをこうして…こうしたら…』
A地点からB地点に物を移動させる実験をしていた。
嵩張る物を配達するのにどうにか楽は出来ないかと思って、既存の転送魔法を改造していた。
出来れば、薬草などを収穫した物を転送してカラの入れ物を再び手元に欲しい。
自分も移動したらいいのだが、魔力も魔術もそこそこの自分が往復となると、疲れてしまう。
物の入れ替えのような事が出来たら楽なのにと思っただけで、深い意味はなかった。
なかったのだ。
チンチンチンチン…!
集中していたようだ。
ビクッとして、魔法陣に魔力を通してしまった。しかも加減などない。わぁッと驚いた声同様の大量の魔力がドバッと。
工房を包んだ。
発動時の発光に目を閉じてしまっていた。
ゆっくり開き、カウンターのベルの上に置いた手を握った。
カウンター? ベル?
そうださっきベルの音で…。
俺は工房の作業台で椅子に座ってたはずだが…。
周りを見渡す。
工房である。
だが、なんだか目線の高さが…。
手がすらっとしている。煤で汚れて爪の間も真っ黒。
この手は見慣れた手ではあるが、向きが…。
俺に付いてる?
「おい、コレどうなってんだ?」
奥から俺が出てきた。
「俺?」
「オレ?」
発したキリ固まった。
それからは、能天気な幼なじみのお陰で、入れ替わり人生を楽しむ事にした。
相位転送を完成させるまでである。
工房を休みにして作業に入った。
俺の身体になって、楽しそうに仕事をしていたが、流石に周りが騒ついてきたので入れ替わって、本来の身体で仕事をした。
昼は鍛冶屋で仕事、夜は幼なじみの家で魔法陣の改良を続けた。
一度発動させた魔法陣である。完成させるのにさほど時間は掛からなかった。とは言え、働きづくめで身体は慣れているだろうが、気疲れで、2、3日とは行かず、1ヶ月近くが経ってしまっていた。
さすがに草臥れたので、目処が立った最後の1週間は、鍛冶屋の仕事は休んだ。
「よう、出来たか? あんまり暇で料理の腕が上がっちまった」
エプロン姿で工房の扉を開けた幼なじみは、自分の姿をした俺をにこやかに招き入れた。
俺ってあんな風に笑えるのか…。
何か考え深げに眺めてしまい、工房の中が綺麗になってるのに気づくのが遅れた。
小綺麗に整理整頓された商品棚に、部屋のあちこち。掃除も行き届いている。
ガサツそうな幼なじみがハウスキーパーとしての腕もあるのだと感心して、謝辞を述べた。
「鍛冶仕事は整理整頓に掃除が基本だ。怪我のもとだからな」
胸を張って言ってるが、怪我だらけで、俺のところに頻繁にくる男が言っても説得力に欠けるが、事実綺麗にしてくれてるので、反論はしない。
入れ替わりを解消して、各々の仕事に戻った。
◇◇◇
大変面白い体験が出来た。
言って回りたいが、信じてくれそうに無いので、二人の秘密にした。
しかし、今晩からどうしよう。
実は、あちらで、アイツの身体で、実に気持ちのいい事を体験してしまった。
初めは暇に任せて、あちこち掃除していただけだった。
創作料理も楽しんだ。
そうこうしてる内に、夜になるとなんだか尻がムズムズして困った。
寝室で玩具を見つけて合点がいってからは、好奇心に火がついた。
オレもそこそこの魔力を持っている。エッチ系の魔法もそこそこ知ってたりする。
試す事が今まで無かっただけである。
洗浄魔法と玩具と一緒に見つけたローションを使って、孔に指を入れてみた。
「おほぉッ」と思わず声が出てしまった。
コレは柔らかくて、指を難なく飲み込んで、中はしっとりと絡みついて適度に指を締め付けてくる。
指を増やして、入れてみた。
気持ちいぃい…。
締め付けてくる肉を掻き分けて、中を擦り探る。すぐに「ひゃふぅんッ」と刺激が走る場所に指が触れた。
そこからが怒涛の快感だった。
指が勝手に動く。
「おぅふ、あふぅ、うふぅん、あふぅ…」
その日は、指で何度も射精する程の快感に腰が立たなくなるかと思う程で、朝日が眩しかった。
それからは玩具も使っての自慰を存分に味わった。
なかなかに官能的な日々だった。
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