20 / 59
18】美鈴さんは人気者?
しおりを挟む暗くて申し訳ないm(_ _)m
==============
「美鈴さーん」
美鈴さんのデスクの斜めの向かいから声が掛かる。
美鈴さんは画面から目を離さず、片手を上げて、存在アピールはしてる。
「手空いてる?」
手がフリフリ。
ムリだとアピール。
このやりとりは何度か見てる。
しかし、最近少し様子が違う。
段々と美鈴さんの休憩に立つ時間が短くなってる。
この前、肩がガチガチでマッサージしてあげたが、仕事机に頭痛薬が転がってた。
今が佳境なのだろう。
でも、他の人たちはいつもと同じ感じがする。決して暇な感じではないのだが…。
美鈴さんだけが徐々に何かに絡め取られて行くように身動きが取れなくなってるような……。
気のせい?
先日のベッドの中で『もっと激しく』と、はっきりとしたリクエストがあったのも引っかかる。いつもなら、ドロットロになってやっと舌足らずに要求してくるのに。オレもノリノリで要望通りの抱いたけど、何かが引っ掛かる。
確かあの後、糸が切れたみたいに寝落ちしたんだった。
何かが背中を激しく叩いてくる。
急げと頭の中を何かが駆け巡ってるが、何をどうすればいいんだッ。
オレはどうすればいいんだ…。
目の前に漠然としたモノが広がってる。得体がしれない何かが広がってるのに、オレは何も出来ずに、何も掴めてない。
焦りが湧いてくるが、これは違う。美鈴が恋人という身近な存在だから何かを見えないようにしてるんだろうか。
話をする事しかできない。
部署の人達と話すと必ず出てくるのが、『先輩』と言う存在だ。
彼がここを回していたようだ。
家庭の事情かで支社に異動になったらしい。もっといてくれると思われてたようだ。急な異動だったのだろう。
皆、彼に鍛えられたと言ってる。
特に美鈴さんが目を掛けられてたとか。
「手空いてる?」
親指が立った。OKという事らしい。
えっ?
「送るね~」
空いてる訳ないだろッ?!
なんでOK出してんだよ!
胸がざわつく。
休憩に立った美鈴さんに合わせて、オレも席を立った。彼にも聞き取りがしてるが、どうにも口数が少ない。仕事の事はあまり喋ってくれない。会社に対する愚痴も少ない。要望もないようだし…。困った。
いつもの無糖のコーヒーじゃなくて、甘いコーヒーをチョイスしてる。
煙草を出すも吸う様子はなく、コーヒーを飲みつつ外を見てる。
驚かさなように静かに「美鈴さん」と声を掛けるのと煙草と一緒に出してたシートを手元を見ずに錠剤を手に押し出してるのが同時だった。
「それ、何?」
錠剤は口に放り込まれ、コーヒーで流し込まれた。
「あー、司くん。コレ? 眠気覚まし」
クピクピと残りのコーヒーを流し込み、すぐに席を立った。
え?煙草は?
自動販売機で何かを買って、ふらっと出て行った。
窓辺のいつもの席に煙草セットが残っていた。
忘れて行った……。
辞めてくれたのだろうか。
忘れ物を掴みポケットに突っ込んだ。
================
感想やいいねを頂けたら嬉しいです。
↓下の方にスタンプや匿名でメッセージ送れるの設置してあるので、使ってみて下さい
https://wavebox.me/wave/8cppcyzowrohwqmz/
10
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
デコボコな僕ら
天渡清華
BL
スター文具入社2年目の宮本樹は、小柄・顔に自信がない・交際経験なしでコンプレックスだらけ。高身長・イケメン・実家がセレブ(?)でその上優しい同期の大沼清文に内定式で一目惚れしたが、コンプレックスゆえに仲のいい同期以上になれずにいた。
そんな2人がグズグズしながらもくっつくまでのお話です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる