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恋の奮闘

8】プロのストーカーになるッ!(前) 微※

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今週は無理かもと思ったのですが、なんとか投稿( ̄▽ ̄;)


===========
 
 
 んー、ダグさんに避けられてる。
 うん、これは避けられてます。

 朝のメッセージは欠かさず送ってます。それには、ちょっとタイムラグはありますが、お返事はいただいております。

『おはよう』のクマさんのスタンプッ!
 朝の活力です。

 いずれボクの想いを受け取って貰えると信じて、好き好きメッセージを送ってます。1日1回です。
 あっ、もしかして、当たり前になってしまってるのでしょうか。作戦の変更を考えねばならないでしょうか…。

 以前、『分かってる』と返された事がありましたね。由々しき事態だと、後日気づきました。危うくスルーするところでした。危ない危ない。

 ここ正念場。転換期。慎重に押して行きましょう。
 ゆっくり、しっかり、確実に、ボクの存在をしっかり認識していただいて、好きになってもらうのです。
 かと言って、これ以上のメッセージ送信は、再ブロックの危機です。

 困りました。

 ダグさんから相談の助言は貰えてませんので、ボク自身が考える必要がある訳で。相談に乗ってくれるって言ったのに~。
 ああ、難問です。

 単位を取るより難しいです。

 そうです!
 会いに行きましょう。それがいいです。

 お留守です。
 お仕事でしょうね。
 また今度。

 バイト帰りに寄ってみたら、入れ違いに車が…。なんてタイミングでしょう。

 会えたと思ったら、お仕事に向かわれるとか。サクにお金を一気に返したので、お仕事を増やしたのでしょうか。いつもなら休日だった日もこんな感じで。ゆっくりお茶も出来ません。
 予定がとか言って、仕事着でお出掛けです。

 電話が入る時もあります。カレンダーと睨めっこで対応してます。ボクは黙って見つめてます。ちょっとでもお会い出来たのだから、我慢です。
 デートなんてもってのほか。我慢です。押しどころを考えねば。

 放置もいいところです。
 ダグさん成分が足りません。
 やっと大学の方が区切りがいいのに、ダグさんにギュッとしてもらってませんッ!

 そして、メッセージの微妙に変化して来てる遅延と違和感。

 んー、結論としては、避けられてるッとしか言えません。確信がある訳ではありませんが。

 最近は、サークル活動にも参加してます。ダグが周りと関われって言うから実践してます。
 先輩や教授に壁に追い込まれたりしてますが、するりと腕の囲みから抜け出てます。どうして大きい人が通せんぼなんかするんですかね…。大人なのに。

 今日は、他サークルとの交流飲み会に参加です。美味しいお酒に巡り会えるかもしれません。

 ボクがふらふらしてるのが心配なのか、先輩がボクの肩を掴んで密着してきます。
 ちょっと汗とコロンの匂いが鼻につきます。なんだかさっきから先輩の体温が高いです。具合が悪いなら来なくていいのに。

「先輩、熱がありますか? 息も荒いし、帰ります?」

 心配になってきて、至近距離のお顔を見つめて、どうします?と首を傾げてお伺い。

 鼻と口を押さえて下を向いてしまいました。
 やっぱり具合が悪いんだ。

「送りますよ?」

「お願いしようかなッ」
 ボクの提案に元気なお声でお返事。んー、ひとりで帰れそうですね。

「元気そうですね」
 そばにいた幹事さんに押し付けて、絡まる腕をするりと抜け、みんなと合流です。

 居酒屋さんに入ろうとした時、通りの向こうに見知った人影を二つ。
 大きなクマさんとシュッとしたスタイリッシュなイケメンさん。
 楽しそうに肩寄せ合って談笑しながら煌びやかな方へ。

 あちら方面は大人な空間。香水とお酒と喧騒。ボクには、ご縁のないエリアです。イケメンさんとは行った事はありますけどね。その界隈の別の通りのバー止まりですけど。

 社会人になってお金があっても縁はないでしょう。だって、ボクはゲイで、お姉さんたちには興味はないので。

「タクトぉ~、行くよ~」
 サークルメンバーから声が掛かりました。
 ボクがどうも足が…外に、向いてたようで…。

「ちょっと遅れるッ」

 止める声を背に駆けてました。
 二人をつけてました。遠くに点のような二人。楽しそうです。ダグさんはいつもの仏頂面だけど、周りがぽわぽわしてる気がする。笑ってる気がする。楽しそう…。
 ボクは、影が薄いので、尾行は上手だと思います。

 なんだかもやもやします。二人は仲良しさんであって、あっちの関係ではないと思うです。
 お二人をお相手してた時の雰囲気を思う出して、考察。うん、同志って感じで、繋がり(?)がある感じではなかったです。

 オナニーを見せ合ったりとかあるかもですけど。だって、ボクを挟んで腰振りあってるんですよ…。
 はっ! ボクはなんていやらしい事を考えるんですかぁ! 恥ずかしい。もう…。
 パタパタと顔に手で風を送ります。

 仲良しさんなだけなんです。分かってるのに…。このもやもやはなんなのでしょう。ダグの気持ちもスッキリして良かったと思ってるのに。

 遠くのお店前が華やかになってます。お店の前におねぇさん達が出てきました。お客さんのお見送りに出てるようです。
 バラバラと帰りかけて、ボクのターゲットに気づいて声を掛けてます。サクのお知り合いでしょうか。

 ボクのダグの腕にマーメイドドレスがお似合いのグラマラスな女性が腕を絡ませて、密着ッ!
 お胸をぎゅーっとッ!
 ボクの胸は…ちっぱいです…。ぐすん。

 ボクの足は動かなくなってました。
 物陰から遠くの彼らを見てるだけ。
 …それだけです。

 ダグさんってゲイでいいんだよね…。サクも…。もしかして、お二人は、両方の方なのでしょうか。彼らは、トップだし、お相手は、どちらでも、可なのでしょうか…。

 あうぅぅうううう…。

 頭の中がぐちゃぐちゃです。
 裸のダグとサクが抱き合ってたり、サクがお姉さんに変わって、キスして…ボクとダグがキスして、あの立派なアレを…アレは太くて、お口に入れるの大変で、いっぱいになって…。不意に、お腹の奥がズクンとしました。

 ん?

 ダグには気持ち良くなって欲しいだけで、ボクを使ってくれていいので、ボクの後ろ…。急激な寒気に震えが走った。
 ふにゃ?! なんなのですか?!

 えーと、ボ、ボクは…ッ!
 そう、そうです。今、えっちな事を考えたんです。たぶん。それだと、ボクは、したいだけみたいじゃないですかッ! さっきから、ボクは、どうしたんですか?! 心臓がバクバクです。変な汗も出てきて…。困ります。
 ほっぺたを両手で挟んでグリグリです。もう!しっかりして下さい。
 だ、断じてそんな事は…事は…ないッのです!

 調査です!
 そう、調査が必要ですッ。

 ダグの事をもっと知る必要があります。
 本人に訊いたら、はぐらかされたり、ボクがちゃんと訊けなかったり、つまり、『好き好き大好きッ』って言ってるだけになってしまうのがなんとなく見えます。

 だって、ダグを目の前にしたら、気持ちが溢れて、抱きついてしまいますぅぅうううう。
 きゃぁぁああああ、恥ずかしいッ。

 ダメです。
 だから、ボクは、決心しました。
 ストーカーになります。こっそり付き纏って、調べるのです。
 プロのストーカーになってみせます!!!

 拳を握りしめ決意してるところに、サークルメンバーからの電話です。
 早く来いとの事。来なくても会費は徴収すると言われてしまいました。

 行きます!




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