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本編

1】始まりは…(中) ※

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「サク…さん?」

 確かにボクの初めてを貰ってくれる人を探してはいたけど…。でも、目的は、あそこで同じ指向の人たちと話してみたかったんだ。ボクがオープンにしてないのもあるけど、同じ指向の人と会う事がなかったから。

 あそこは出会いもだけど、お話も出来るって書いてあったんだけど…。ネットのコミュニティ情報ってダメなの?

「サクに目をつけられたんだ。可哀想にね」

 呆然としてるボクの服がポイポイと脱がされていく。

「俺の事は、ダグとでも呼んでもらおうかな」

 オナニーとかで後ろは慣れてるつもりだけど、独りよがりの行為だからこれで合ってるって分からないし…生というか、人のは初めてなんです…。

「あ、ボ、ボク…」
 ちゃんと伝えてたかな。慌てた。粗相というか失礼があっては…。

 気づいたら全裸でベッドに転がされてた。
 酔いが少し覚めてきた気がする。
 筋肉質だと思ったダグがシャツを脱いで上半身が露わになって、胸筋が立派で腹筋もしっかり割れていた。

 憧れる身体。

 ボクはどう頑張っても日に焼けない白い肌で、筋肉もあまりつかなくて…。筋トレをやめてしまった過去があります。

「すごい筋肉ですね…」
 ぼんやりそんな事を言葉にしてた。伝えなきゃって思った事はどっかにいってた。まだ酔ってるみたい。

「襲われてる自覚ある?」

「襲われてるんですか?」

 ラブホテルに二人で入って、ダグさんがやってきて…。おや、これは言われてるように、襲われてる状態のようですね。酔ってるからでは済まされませんね。

「オレ、初モノ苦手だから、お前に譲るわ。いい頃合いで呼んで」

 サクが言い残して、バスルームに向かって行った。

「お前なぁ~。ま、俺は初モノは好物寄りけどさ。嫌いじゃないが、その度に呼び出すなよな。という事で、大人しく俺たちに喰われちゃいな」

 短く刈られた髪を掻き回してる。なんだか面倒をかけてしまってるようです。

「ボク、話して、みたかっただけで。…抱いて貰えるならとは思ったけど…」

「ん?」

 ダグさんが厳つい顔を柔らかくしてボクの言葉に耳を傾けてくれた。

「直接、同じ指向の方と会うのは初めてで…」

 大きな身体のダグさんがベッドに乗ってきた。

「キミ、小柄だし、顔もイイから。ああいう所は危ないよ」

「そうですか…」

 この人、悪い感じがしない。いい人な気がする。

「キミ、緊迫感ないなぁ。よし、恋人気分でいってみますかね?」

「?」
 首を傾げてしまった。襲われてるのに恋人?
 加害者と被害者の関係ではなくて、恋人同士?

「ナニその可愛い仕草ッ」
 デジャヴ。お二人はしっかりお友達ですね。同じ言葉を聞きました。

 ダグがボクの身体を触りながら、こめかみとか頬にキスをして、耳元で囁くように説明してくれます。

 ボクが小柄だから、ゆっくり慣らしていってくれるらしいです。その過程を恋人のように甘くしてやると言われました。

 やっぱりダグはいい人です。

 ビニールの音が聞こえるなと思ってたら、カリュッとプルタブが開く音がして、プシュと炭酸が抜ける音がした。
 ダグの身体がのしかかってきて、その陰から向こうを見れば、缶ビールを傾けてるサクが見えた。

 テーブルの上にコンビニの袋が置いてある。ダグが持ってきたみたい。

 サクの手にボクのお財布がある。学生証が引き出されてる。見られちゃった…。

「タクトって本名だ。巧妙の巧に人か。テクニシャンだったり?」

「ボク、本当に初めてだからぁッ」

 変な単語が出てきた。否定しておく。嘘ついてるって思われたらイヤだ。

「分かってるよ。タクトは俺だけを見てろって」
 低い声が抱きしめられてる身体に響き伝わって来る。耳にも心地いい…。

 大きな手がボクの脇腹を優しく撫でる。ゾクゾクして、ダグにキュッと縋りついた。大きな身体に手が回り切らなくて、なんだか切なくなってしまう。

「キスする?」

 コクンと頷いた。

 サクとは違う厚い唇が押し付けられて、肉厚の舌がお口いっぱいにしてくれてます。
 キスの合間に『可愛い』と囁かれて、身体の強張りが取れて、後孔に太くて節くれた指が挿入されてる状態をなんの疑問も湧く間もなく受け入れてました。

 蠢く指がオナニーとは違う疼きを起こしてくれて、鼻にかかる声が漏れてしまって、手で口を押さえようとしては、手を退けられて唇が口を塞いで、苦しくて、唇が離れる度に息継ぎをしようと開く口からと大きな喘ぎが出てしまうのです。

「タクト、もっと聞かせて…」とバリトンボイスが耳に吹き込まれて、腰が揺れて後ろの孔がキュンキュンしてしまいます。

 ボク、初めてなんです…。

 こんな感じてしまってもいいんでしょうか。オナニーのスペシャリストみたいに思われないでしょうか。恥ずかしいです。

「ほら、俺に聞かせろ。もっと気持ち良くなりたいだろ?」

 気持ち良く…なりたいです。
 コクコク頷き、全身の強張りが完全に抜けて、湧き起こる感覚の波に乗った。

「あふぅ…はぁ…」

 乗ったら、自然と声が押し出されてきて、頭がふわふわして来る。
 
 後ろに入ってる指が増えた。
 お腹側の気持ちいいところを刺激されて、脚が跳ねるように折れ曲がって持ち上がり、お尻がダグの指に突き出すようにしちゃった。

 お尻が揺れて、おねだりしてるみたい。ダグの指を深く咥え込んだと感じて、自分の状態に気づき、急激に恥ずかしくなって、口を噤んで両手で顔を覆った。

 考えれば、この格好も随分と恥ずかしい。

 ああ、どうしよう…。

 指で捏ねられてた乳首を温かいもので覆われた。

「ひゃンッ」

 変な声が出て、覆ってた手を乳首を覆ったものに手を伸ばした。ダグの短い髪が掌を刺激する。頭に手を乗せた状態で全身がプルプルと震える。乳首が肉厚の舌で刺激されて、止まって欲しくて、頭を抱えてしまう。

 口と舌で刺激されてる乳首と反対側の乳首は指で弾かれてる。
 ビクビクンと身体が跳ねて、ぅはぁあ~ッと鼻に掛かる声が発せられる。

 後ろの孔が緩んだのだろうか。声とほぼ同時に指がまた増えた。
 中でバラバラに動いて、刺激が予測ができなくて、声が止まらない。

 縮めた脚はダグの身体で閉じれなくて、彼の身体に絡めて、この快感に悶えて耐えていた。

 ローションがたっぷりと使われたのだろうか。クチュグチュと音が鳴ってる。卑猥な気がする。
 身体が熱くなる。汗が吹き出して来る。

 首に唇を感じていた。乳首から離れてた。唾液に濡れた乳首が外気に晒されて、寂しい。
 チリッ鎖骨付近の首に痛みが走るが、痺れるその感覚が新鮮で気持ちいい。

「いつも使ってると比べてどう?」
 ダグの髪の感触を指に感じ、うなじの刈り上げた感触を掌で撫でてるとその手を掴まれ、下に導かれた。

 いつの間にか閉じてしまってた瞼を開けて、導かれる手の方を見た。

「大きい…。ボクの持ってるのよりちょっと太くて、長い。それにそんなに張り出しないよ」

 つるりとした亀頭が気になって指を這わせる。オナニーで使ってる物と比べようもない生々しさ。スリット。鈴口。ボクにもあるけど、別物のようだ。こんなにまじまじと人のを見る事なんてないから…。しかも勃起してるんだよ。

 くるくると指を動かしてると、鈴口が濡れてきた。割れ目に指を往復させる。益々濡れてきて、指を離すと糸を引いた。




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