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本編
あまり話】蝕むモノ(前) 微※
しおりを挟むちょっとエッチ度が低いです。序章のようなそうじゃないような、そんなお話。えへへ( ̄▽ ̄;)
===============
『もし、外に出る事があったら、東の国には行くな。
近々、そっちに行こうかと思う。ダロンの手伝いに行く。魔獣狩りだ。殆ど駆逐した。安心しろ。
サムエル』
日付忘れてやがる。
サインは別になくても『伝書鳥』は誰かは見れば分かる。箇条書きだし。文字デカいし。
サムエルらしい。我知らず笑ってた。
森から来るのかな?
土産とか気の利いたのは期待しない方がいいな。
本やこちらでままならない物資は聖教会の支部からこちらに融通してもらってる。対価は魔晶石。
良質な物が出る鉱脈を見つけれたのは好都合だった。
そのまま渡しても良かったが、要望で何もしてない無垢なのと、穢れ封じの魔法陣を組み込んだ物を提供している。
師匠の助言でなんとか形に出来た穢れ封じ。魔晶石自体に付与してるから、球体に加工しても構わない代物になった。あとは、聖教会と師匠の研究所で好きにやってるだろう。もっといい感じに改良してもらいたい。
公国側の干渉地には、聖教会の支部がやってきた。支部の代表はアリスンだ。
師匠とアリスンが、君臨してる。ここは安泰だな。
そうそう、アリスンのリクエストのも応えないと。
試作の魔法陣を組んでみるが上手く纏まらない。難しい。転送魔法陣の簡易化って。
文献資料は色々送ってくれてるから、なんとかなりそうな気はするんだが…。
便利でしょ?って言ってたけど、目的は分かってる。遠距離のダロンとの往路を開いて欲しいって事だ。
んー、どうしたものか…。
外界に出る日も近い気はする。
瘴気も落ち着いてきたし、それのあれこれは、まぁ、こっちに伏せておこう。恥ずいッ!
身体が熱くなてきた。困った…。
サムエルからの手紙を再び手にする。
東の国…オレの故郷だな…。もう行く事はないよ。
「クンティン、終業時刻だぞぉ~」
いつからいたんだ。時計を見たら、今、針がその時刻を示した。
「エヴァン、リューリに押し付けてないよね?」
「してないぞ。俺はちゃんと終わらせてきたのだ」
胸を張ってる。嘘は言ってないみたいだが。
なんだか腹が立つので、手を広げて、名前を呼んだ。
抱っこしろッのポーズ。
顔が、全身が熱い。恥ずかしいから早くしてくれ。
「クンティンは、甘えん坊だなぁ~」
エヴァンが嬉しそうに抱きついてくる。抱っこして運べだったんだが、キスは要らんし、服の隙間に手を入れるのもなしだ。頭と手をペシペシと叩いた。
足を挫いてなければ、こんな恥ずかしい事をお願いしなくていいのに…。
しかも、身体に負担も掛けられないので、えっちも出来ない。
んんんーーーーーーーッ!
オレをヒョイと抱き抱えると、机の上のサムエルの手紙を手にした。
見られて困る物はないが、オレ宛の手紙だぞ?
「『東の国』というのは、お前の故郷であろう? 行けないのか?」
以前、世界情勢の話をした時にそんな話をしたな…。よく覚えてる。単語が目に止まって、思わず手に取ったようだ。
「まぁね、指名手配犯なんでね。もう時効になってるかと思ったんだけど…」
勇者のパーティーの一員になった事で知った事だった。
王様はポーターってのも人種の大きく違う異国人てのも気に食わなかったようで、身辺調査をすると言い出したとかだったな。結果は何も出なかった。王様の思う成果は出なかったようで、笑い飛ばしていた。
アリスンは、何やってんだかとぼやいてが、後ろ暗い事はないので放置していたのが良かったようだ。
それが、旅立った直後、東の国から王のところに親書が届いたとか。
『指名手配犯クンティンの身柄を引き渡して欲しい』という要求だったとか。
出国したから知らんと返したらしい。いい加減な王様らしい。見返りでも有れば話は別だったかも知れんが。
勇者一行ってので写真が世界中に流れたらしいから、それが引っかかったようだ。有名になるのは面倒だな。
でも、オレって犯罪者だったんだ。何やらかしたんだろう…。
まだ時効にもなってない犯罪って国家的な何かか? 国外に出てるから止まってるだけか? そもそも国外に出た事知られてなかったのでは? 帰る気もないから別にどうでもいいや。それにオレって死んだ事になってるのに、どうなってるんだか。
「そうか…」
「帰ったところでいい思い出も無いし、オレの居場所はココだからな」
エヴァンの胸を叩いてやった。
蕩ける顔で微笑んでやがる。これはキスだな。長くなるなぁ…。夕食には間に合うだろうか…。
リューリが睨んでる。
オレの所為じゃないから、盛ってるコイツだから。ちょっとオレも…だけど…。
キスだけでクラクラしちゃったよ、恐るべし魔王。
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