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リノス予選 波乱の2回戦
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ターニュの2回戦の相手は、不穏な気配のA級魔法使いギギルモボズ。冒険者ギルドに属さない、リノスの街の地下にある闇マーケットの住人。左の顔に入れた毒々しい蛇の刺青が悪趣味だ。
医務室で試合が始まるのを見ながら、嫌な胸騒ぎが僕の中に渦巻いている。
試合開始のドラが鳴り響いて、2人が予選の舞台で対峙した。ターニュが剣を手に構え、ギギルモボズが魔獣か動物の骨で作られた不気味な杖をターニュに向けた。
「体力がないエルフの剣士ターニュか。すぐに永遠に休ませてやるよ。医療サポートの回復が間に合わないくらいの致命傷を与えてやろう」
「夜の闇の住人が賞金目当てに昼間から甲斐甲斐しいわね。
青空の下が似合わないわよ。
その顔に描かれた趣味の悪い蛇をひっぺがしてやるわ」
「借金で首が回らなくてな。5000万パルが手に入れば、借金を返して、そのあと若い女を買いにいけるってもんだ。
ここで負ければ、どうせ俺は、死ぬしかないのさ」
ターニュが剣を振りかざし、ギギルモボズに向かって鋭く突進する。ギギルモボズは素早く身をかわし、杖から放たれる氷の魔法でターニュを牽制する。
「構わない!」
ターニュは剣を振って、ギギルモボズの氷の攻撃をすべで斬り砕く。その間に、ターニュは瞬時に跳躍して、頭上からギギルモボズに接近する。
「ふん、そんなものか。」
ギギルモボズが杖から空中のターニュに向けて光の魔法を放つ。ターニュが剣で光の魔法を反射させて、ギギルモボズに撃ち返す。怯んだギギルモボズに、そのままターニュが斬りかかる。ギギルモボズが素早く後退して攻撃をかわす。
一瞬に行われた素早い攻防に思わず息を呑む。
「いつまで体力が持つかね」
ギギルモボズが言うと同時に、彼女の杖から放たれた雷の魔法がターニュに向かって飛んでくる。しかし、ターニュが剣を使ってその攻撃を弾き、再びギギルモボズに向かって突進する。
「これで決着だ!」
ターニュが剣を振り下ろし、ギギルモボズの方に向かって斬りかかる。ギギルモボズは必死に氷の防壁を張るが、ターニュの剣がそれを貫き、ギギルモボズの胸に突き刺さる。
「くっ……ここまで強いとは」
剣に貫かれたギギルモボズがつぶやくと同時に、ターニュが剣をギギルモボズの身体から引き抜く。大量の血がギギルモボズから溢れ出した。
ドサッ
ギギルモボスの身体が人形のように地面に倒れた。
観客席からはどよめきが上がり、ターニュの勝利が確定したかに見えた。
しかし、その時、ギギルモボズの体から強力な魔力が放たれ、ターニュはその影響を受けて舞台の端まで吹き飛ばされる。
「うわっ!」
ターニュが叫びながら暴風のような魔力に飛ばされないように堪える。
観客席からは驚愕の声が上がり、悲鳴とともに観客が逃げ出し始めた。魔力に当てられた観客の何人かがその場で倒れる。
ゴロゴロッ
急に雷雲が闘技場の上空を覆い尽くした。
なんだ?普通じゃない!
ターニュの顔色が真っ青になって、苦しそうに膝まづいた。
「ターニュ!大丈夫か!?」
僕は、叫びながら医務室から飛び出して、舞台に側でターニュの様子を確認する。
ターニュが苦しみながらも意識を取り戻し、立ち上がる。
「……くっ、なんだこの暴走したような毒々しい魔力は」
ターニュが再びギギルモボズと向き合う。
剣で貫かれて致命傷を負ったはずのギギルモボズが、不気味な笑みを浮かべながら、魔力の渦の中心に浮いている。
「呪ってやる。。。どうせ死ぬなら!呪いをくれてやる!
きぇぃぃぃぃぃぃ」
ギギルモボズが気持ち悪い悲鳴を上げると、更に強力な魔力が放たれた。
首には凶々しいデザインのネックレスが光り輝いている。
真っ黒な分厚い雲が覆う上空から紫と黒の雷が無数に発生して、観客席をも破壊し始めた。
「あれは、禁忌の魔獣化の魔道具。呪いの魔道具使って暴走したみたいね。金の亡者め。
どうしてこんな命を無駄遣いするようなことを!」
観客席が悲鳴に包まれる。
避難誘導が支持されて、観客がパニックになりながら会場から出ていく。
「非常事態だ。僕も加勢するよ」
ターニュを守るためにバトルギギルモボズに立ち向かう。
ターニュとの共闘。
「こい!」
アイアンゴーレムを呼び出して、魔獣化したギギルモボズに対抗する。
「ゴボルゥウゥゥ」
闘技場に広がる緊張感がピークに達し、魔獣化ギギルモボズがおどろおどろしい咆哮で空気を震わせた。
「ギギルモボズ、お前のやり方は許せないわ!」
ターニュが剣を構え、ギギルモボズに向かって突進する。
しかし、ギギルモボズが黒い煙になって、すぐ右に場所に転移した。杖から紫と黒の雷を放つ。
上空からの落雷も激しくなる一方だ。
ゴロゴロッ
「ゴボルゥウゥゥ!ゴボルゥウゥゥ!」
ギギルモボズが歪んだ笑みを浮かべながら放った雷がターニュに襲い掛かる。
しかし、ターニュが素早い身のこなしで雷を避ける。
ターニュの体力が限界だ。どうにかしないと。
ゴロゴロッ
観客席の屋根に雷が直撃して、屋根半分崩れ落ちた。
出来立ての闘技場がもうボロボロだ。
「どうしてこんなことに……!」
「うぉぉぉ!!!」
ターニュが叫びながら剣を振り下ろす。
しかし、ギギルモボズが魔力を爆発させ、ターニュの攻撃を跳ね返す。
「ギギルモボズ、これで終わりだ!」
アイアンゴーレムを操り、ギギルモボズに向かって突進させる。
ゴーレムの鉄の拳がギギルモボズに猛烈な一撃を与えるが、驚くほど軽快に身をかわし、杖から更なる雷を放つ。
舞台が混沌とした紫と黒の光と爆音に包まれ、ギギルモボズの魔力がさらに強まっていく。
「ゴボルゥウゥゥ」
「ピッケル、どうする!?」
ターニュが悲鳴のように僕に問いかける。
どうするって言ったって。。。
ギギルモボズの強力な魔力に対抗する術がない。
巨大な紫と黒の雷が舞台全体を覆い尽くしていく。
「ゴボルゥウゥゥ」
「ターニュ、ここは一旦後退だ!」
ゴーレムを操りながら舞台の外へ向かって飛び出した。
ターニュも迷わず、ギギルモボズの強力な魔法から逃れるために舞台を離れる。
「こんなこと……このままでは……」
ターニュが息を切らしながら呟く。
ギギルモボズの魔力がさらに増していく光景が目に映る。
「ゴボルゥウゥゥ」
「僕たちにはどうすればいいんだ……」
困惑するしかない。
突然、前方にギギルモボズが姿を現す。
ギギルモボズの顔には冷酷な笑みが浮かび、周囲に張り巡らされた魔力が僕らを包み込む。
「ゴボルゥウゥゥ」
「逃げるのは無駄だ、ターニュ。今ここで、決着をつけるしかない」
ギギルモボズが気味悪く笑う。
「グキャキャキャ!!!」
ギギルモボズの杖から更なる雷の魔法が放たれる。
絶望的な状況だ。
「ピッケル、ギギルモボズの魔法を防ぐ方法はある?」
ターニュが早口で尋ねる。
少し考え込んでから、頭を振りながら答える。
「ギギルモボズの魔法が強力すぎる。
でも、それに対抗する方法があるかもしれない。
うまくいくか分からないけど、試してみてもいい?」
「できるかどうかじゃない。やってみることよ。ダメなら他の方法を考えればいいわ!」
「よし!」
「ゴボルゥウゥゥ」
ギギルモボズが雷の魔法を僕に向けて放つ。
アイアンゴーレムが身を挺して僕を守る。
ゴロゴロッ
雷が鉄に誘導されてアイアンゴーレムに直撃した。
「ギギルモボズがこのまま暴れ続ければ、多くの人が危険にさらされるわ」
ターニュの言葉に僕も頷く。
再びゴーレムを操りながらギギルモボズに立ち向かう。
「さあ、ギギルモボズ。実験をはじめよう」
「ゴボルゥウゥゥ」
ギギルモボズの杖から更なる魔法が放たれ、無観客の闘技場がエネルギーの渦に包まれる。
「これでどうだ!」
レゴレで上半身が鉄、下半身が土のゴーレムを作り出す。
5メートルほどの大きさの鉄と土のゴーレムが巨大な体を振り回し、目の前のギギルモボズに迫る。
飛び散る雷が鉄と土のゴーレムに集中する。
予想通り、鉄と土のゴーレムが避雷針として機能したみたいだ。
その巨体が魔法の雷を引き寄せ、エネルギーを吸収し始める。
そして下半身の土の部分から地面に雷を放出する。
「よし!実験成功!
鉄と土のゴーレムがエネルギーを吸収している間に攻撃を仕掛けよう!」
ターニュは頷き、杖を手にギギルモボズに向かって突進する。
同時に、アイアンゴーレムがその巨大な拳を振り振り上げてギギルモボズに迫る。
ギギルモボズが杖から放たれる雷の魔法を更に増幅させる。
「ゴボルゥウゥゥ」
「飛べ!足からゾゾファイガス!」
鉄と土のゴーレムが両腕を頭上に伸ばして、足からゾゾファイガスを噴射してロケットのように飛ぶ。
鉄と土のゴーレムが避雷針としての機能して、雷は僕らに当たらない。
ターニュがギギルモボズの杖をその右手ごと剣で切断する。
「はっ!!!」
ザンッ
「ゴボルゥウゥゥ」
その隙に、アイアンゴーレムが近づきギギルモボズを追い込んで、後ろからもう一体の土のゴーレムが両手でギギルモボズを捕まえた。
ギギルモボズが腕を切り落とされた痛みに顔を歪めながら、もがく。
「ゴボルゥウゥゥ」
アイアンゴーレムが土のゴーレムに掴まれたギギルモボズに向かっていく。
ギギルモボズを掴む土のゴーレムの手を鉄のゴーレムのラリアットが破壊する。
ズガガッ
粉砕された土のゴーレムの手もろともギギルモボズがぶっ飛ばされた。
「ゴボルゥ。。。。」
ギギルモボズが絶望の声を上げながら、地面に倒れて力尽きる。
白く石化して、バラバラと砂になってしまった。
ドドーーン
鉄と土のゴーレムも魔力を使い果たして、地面に墜落した。バラバラと崩れて、土煙を上げる
アイアンゴーレムも土のゴーレムも動きを停止して、人形のように座り込んで動きを止めた。
「はぁ、はぁ」
ターニュが疲れ果てて、膝から崩れ落ちる。
「キュア!!!」
ターニュが僕の差し出した手を掴んだよろよろと立ち上がった。
「はぁ、はぁ。なによ。まさか魔獣と戦うことになるなんて」
「なんとか倒せたね」
無事にとは言えないな。
闘技場が落雷に破壊されてボロボロだ。怪我人も大勢でた。
倒れて運び出された人は、治癒できただろうか。
真っ黒な分厚い雲が消え去って、舞台に明るい日差しが再び差し込む。
医務室で試合が始まるのを見ながら、嫌な胸騒ぎが僕の中に渦巻いている。
試合開始のドラが鳴り響いて、2人が予選の舞台で対峙した。ターニュが剣を手に構え、ギギルモボズが魔獣か動物の骨で作られた不気味な杖をターニュに向けた。
「体力がないエルフの剣士ターニュか。すぐに永遠に休ませてやるよ。医療サポートの回復が間に合わないくらいの致命傷を与えてやろう」
「夜の闇の住人が賞金目当てに昼間から甲斐甲斐しいわね。
青空の下が似合わないわよ。
その顔に描かれた趣味の悪い蛇をひっぺがしてやるわ」
「借金で首が回らなくてな。5000万パルが手に入れば、借金を返して、そのあと若い女を買いにいけるってもんだ。
ここで負ければ、どうせ俺は、死ぬしかないのさ」
ターニュが剣を振りかざし、ギギルモボズに向かって鋭く突進する。ギギルモボズは素早く身をかわし、杖から放たれる氷の魔法でターニュを牽制する。
「構わない!」
ターニュは剣を振って、ギギルモボズの氷の攻撃をすべで斬り砕く。その間に、ターニュは瞬時に跳躍して、頭上からギギルモボズに接近する。
「ふん、そんなものか。」
ギギルモボズが杖から空中のターニュに向けて光の魔法を放つ。ターニュが剣で光の魔法を反射させて、ギギルモボズに撃ち返す。怯んだギギルモボズに、そのままターニュが斬りかかる。ギギルモボズが素早く後退して攻撃をかわす。
一瞬に行われた素早い攻防に思わず息を呑む。
「いつまで体力が持つかね」
ギギルモボズが言うと同時に、彼女の杖から放たれた雷の魔法がターニュに向かって飛んでくる。しかし、ターニュが剣を使ってその攻撃を弾き、再びギギルモボズに向かって突進する。
「これで決着だ!」
ターニュが剣を振り下ろし、ギギルモボズの方に向かって斬りかかる。ギギルモボズは必死に氷の防壁を張るが、ターニュの剣がそれを貫き、ギギルモボズの胸に突き刺さる。
「くっ……ここまで強いとは」
剣に貫かれたギギルモボズがつぶやくと同時に、ターニュが剣をギギルモボズの身体から引き抜く。大量の血がギギルモボズから溢れ出した。
ドサッ
ギギルモボスの身体が人形のように地面に倒れた。
観客席からはどよめきが上がり、ターニュの勝利が確定したかに見えた。
しかし、その時、ギギルモボズの体から強力な魔力が放たれ、ターニュはその影響を受けて舞台の端まで吹き飛ばされる。
「うわっ!」
ターニュが叫びながら暴風のような魔力に飛ばされないように堪える。
観客席からは驚愕の声が上がり、悲鳴とともに観客が逃げ出し始めた。魔力に当てられた観客の何人かがその場で倒れる。
ゴロゴロッ
急に雷雲が闘技場の上空を覆い尽くした。
なんだ?普通じゃない!
ターニュの顔色が真っ青になって、苦しそうに膝まづいた。
「ターニュ!大丈夫か!?」
僕は、叫びながら医務室から飛び出して、舞台に側でターニュの様子を確認する。
ターニュが苦しみながらも意識を取り戻し、立ち上がる。
「……くっ、なんだこの暴走したような毒々しい魔力は」
ターニュが再びギギルモボズと向き合う。
剣で貫かれて致命傷を負ったはずのギギルモボズが、不気味な笑みを浮かべながら、魔力の渦の中心に浮いている。
「呪ってやる。。。どうせ死ぬなら!呪いをくれてやる!
きぇぃぃぃぃぃぃ」
ギギルモボズが気持ち悪い悲鳴を上げると、更に強力な魔力が放たれた。
首には凶々しいデザインのネックレスが光り輝いている。
真っ黒な分厚い雲が覆う上空から紫と黒の雷が無数に発生して、観客席をも破壊し始めた。
「あれは、禁忌の魔獣化の魔道具。呪いの魔道具使って暴走したみたいね。金の亡者め。
どうしてこんな命を無駄遣いするようなことを!」
観客席が悲鳴に包まれる。
避難誘導が支持されて、観客がパニックになりながら会場から出ていく。
「非常事態だ。僕も加勢するよ」
ターニュを守るためにバトルギギルモボズに立ち向かう。
ターニュとの共闘。
「こい!」
アイアンゴーレムを呼び出して、魔獣化したギギルモボズに対抗する。
「ゴボルゥウゥゥ」
闘技場に広がる緊張感がピークに達し、魔獣化ギギルモボズがおどろおどろしい咆哮で空気を震わせた。
「ギギルモボズ、お前のやり方は許せないわ!」
ターニュが剣を構え、ギギルモボズに向かって突進する。
しかし、ギギルモボズが黒い煙になって、すぐ右に場所に転移した。杖から紫と黒の雷を放つ。
上空からの落雷も激しくなる一方だ。
ゴロゴロッ
「ゴボルゥウゥゥ!ゴボルゥウゥゥ!」
ギギルモボズが歪んだ笑みを浮かべながら放った雷がターニュに襲い掛かる。
しかし、ターニュが素早い身のこなしで雷を避ける。
ターニュの体力が限界だ。どうにかしないと。
ゴロゴロッ
観客席の屋根に雷が直撃して、屋根半分崩れ落ちた。
出来立ての闘技場がもうボロボロだ。
「どうしてこんなことに……!」
「うぉぉぉ!!!」
ターニュが叫びながら剣を振り下ろす。
しかし、ギギルモボズが魔力を爆発させ、ターニュの攻撃を跳ね返す。
「ギギルモボズ、これで終わりだ!」
アイアンゴーレムを操り、ギギルモボズに向かって突進させる。
ゴーレムの鉄の拳がギギルモボズに猛烈な一撃を与えるが、驚くほど軽快に身をかわし、杖から更なる雷を放つ。
舞台が混沌とした紫と黒の光と爆音に包まれ、ギギルモボズの魔力がさらに強まっていく。
「ゴボルゥウゥゥ」
「ピッケル、どうする!?」
ターニュが悲鳴のように僕に問いかける。
どうするって言ったって。。。
ギギルモボズの強力な魔力に対抗する術がない。
巨大な紫と黒の雷が舞台全体を覆い尽くしていく。
「ゴボルゥウゥゥ」
「ターニュ、ここは一旦後退だ!」
ゴーレムを操りながら舞台の外へ向かって飛び出した。
ターニュも迷わず、ギギルモボズの強力な魔法から逃れるために舞台を離れる。
「こんなこと……このままでは……」
ターニュが息を切らしながら呟く。
ギギルモボズの魔力がさらに増していく光景が目に映る。
「ゴボルゥウゥゥ」
「僕たちにはどうすればいいんだ……」
困惑するしかない。
突然、前方にギギルモボズが姿を現す。
ギギルモボズの顔には冷酷な笑みが浮かび、周囲に張り巡らされた魔力が僕らを包み込む。
「ゴボルゥウゥゥ」
「逃げるのは無駄だ、ターニュ。今ここで、決着をつけるしかない」
ギギルモボズが気味悪く笑う。
「グキャキャキャ!!!」
ギギルモボズの杖から更なる雷の魔法が放たれる。
絶望的な状況だ。
「ピッケル、ギギルモボズの魔法を防ぐ方法はある?」
ターニュが早口で尋ねる。
少し考え込んでから、頭を振りながら答える。
「ギギルモボズの魔法が強力すぎる。
でも、それに対抗する方法があるかもしれない。
うまくいくか分からないけど、試してみてもいい?」
「できるかどうかじゃない。やってみることよ。ダメなら他の方法を考えればいいわ!」
「よし!」
「ゴボルゥウゥゥ」
ギギルモボズが雷の魔法を僕に向けて放つ。
アイアンゴーレムが身を挺して僕を守る。
ゴロゴロッ
雷が鉄に誘導されてアイアンゴーレムに直撃した。
「ギギルモボズがこのまま暴れ続ければ、多くの人が危険にさらされるわ」
ターニュの言葉に僕も頷く。
再びゴーレムを操りながらギギルモボズに立ち向かう。
「さあ、ギギルモボズ。実験をはじめよう」
「ゴボルゥウゥゥ」
ギギルモボズの杖から更なる魔法が放たれ、無観客の闘技場がエネルギーの渦に包まれる。
「これでどうだ!」
レゴレで上半身が鉄、下半身が土のゴーレムを作り出す。
5メートルほどの大きさの鉄と土のゴーレムが巨大な体を振り回し、目の前のギギルモボズに迫る。
飛び散る雷が鉄と土のゴーレムに集中する。
予想通り、鉄と土のゴーレムが避雷針として機能したみたいだ。
その巨体が魔法の雷を引き寄せ、エネルギーを吸収し始める。
そして下半身の土の部分から地面に雷を放出する。
「よし!実験成功!
鉄と土のゴーレムがエネルギーを吸収している間に攻撃を仕掛けよう!」
ターニュは頷き、杖を手にギギルモボズに向かって突進する。
同時に、アイアンゴーレムがその巨大な拳を振り振り上げてギギルモボズに迫る。
ギギルモボズが杖から放たれる雷の魔法を更に増幅させる。
「ゴボルゥウゥゥ」
「飛べ!足からゾゾファイガス!」
鉄と土のゴーレムが両腕を頭上に伸ばして、足からゾゾファイガスを噴射してロケットのように飛ぶ。
鉄と土のゴーレムが避雷針としての機能して、雷は僕らに当たらない。
ターニュがギギルモボズの杖をその右手ごと剣で切断する。
「はっ!!!」
ザンッ
「ゴボルゥウゥゥ」
その隙に、アイアンゴーレムが近づきギギルモボズを追い込んで、後ろからもう一体の土のゴーレムが両手でギギルモボズを捕まえた。
ギギルモボズが腕を切り落とされた痛みに顔を歪めながら、もがく。
「ゴボルゥウゥゥ」
アイアンゴーレムが土のゴーレムに掴まれたギギルモボズに向かっていく。
ギギルモボズを掴む土のゴーレムの手を鉄のゴーレムのラリアットが破壊する。
ズガガッ
粉砕された土のゴーレムの手もろともギギルモボズがぶっ飛ばされた。
「ゴボルゥ。。。。」
ギギルモボズが絶望の声を上げながら、地面に倒れて力尽きる。
白く石化して、バラバラと砂になってしまった。
ドドーーン
鉄と土のゴーレムも魔力を使い果たして、地面に墜落した。バラバラと崩れて、土煙を上げる
アイアンゴーレムも土のゴーレムも動きを停止して、人形のように座り込んで動きを止めた。
「はぁ、はぁ」
ターニュが疲れ果てて、膝から崩れ落ちる。
「キュア!!!」
ターニュが僕の差し出した手を掴んだよろよろと立ち上がった。
「はぁ、はぁ。なによ。まさか魔獣と戦うことになるなんて」
「なんとか倒せたね」
無事にとは言えないな。
闘技場が落雷に破壊されてボロボロだ。怪我人も大勢でた。
倒れて運び出された人は、治癒できただろうか。
真っ黒な分厚い雲が消え去って、舞台に明るい日差しが再び差し込む。
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