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留守居を預る「をとめ」
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貞女不更二夫
或る寒村に世界三大の美人なりとて謳はるゝ「クレオパトラ」「楊貴妃」「小野小町」に比肩すべき窈窕 たる佳人にして、沈魚落雁閉月羞花との呼聲高き「をとめ」のありとかや。
名は知られず。然りと雖も口傳にて傳へらる。ここは假に「をとめ」と號く。
「をとめ」は少くして「もののふ」に娶らる。此は所謂閨閥
に「もののふ」をして加はらしめむとするの意図ある政略結婚なりしも両名の仲は甚だ良好なりとの呼聲高しとかや。
「もののふ」主君より令一下、故に戰の庭に出づ。「もののふ」配下を率ゐて出でしかば、城を守るはをんならのみとなる。「もののふ」の城を空くるときに敵卑怯にして來襲せば、「をとめ」側仕へ等を率ゐて城を守らむとし、以て「もののふ」の帰還するまで耐へ抜く。
「もののふ」の戰働を支ふるは偏にその好逑 たる「をとめ」の獻身よるらむ。武士たるの夫は、爲に手傷を負はせられぬること多し。「をとめ」はこれを懇ろにし以てこれを慰む。
武士は一旦緩急あれば、輒ち戰場に赴く、その間家を守るは「をとめ」なり。
薙刀を以て城を守る。
もしその「をとめ」の内助の功なくんば、もものふ戰働を建つること能はざるは、え疑はじ
或る寒村に世界三大の美人なりとて謳はるゝ「クレオパトラ」「楊貴妃」「小野小町」に比肩すべき窈窕 たる佳人にして、沈魚落雁閉月羞花との呼聲高き「をとめ」のありとかや。
名は知られず。然りと雖も口傳にて傳へらる。ここは假に「をとめ」と號く。
「をとめ」は少くして「もののふ」に娶らる。此は所謂閨閥
に「もののふ」をして加はらしめむとするの意図ある政略結婚なりしも両名の仲は甚だ良好なりとの呼聲高しとかや。
「もののふ」主君より令一下、故に戰の庭に出づ。「もののふ」配下を率ゐて出でしかば、城を守るはをんならのみとなる。「もののふ」の城を空くるときに敵卑怯にして來襲せば、「をとめ」側仕へ等を率ゐて城を守らむとし、以て「もののふ」の帰還するまで耐へ抜く。
「もののふ」の戰働を支ふるは偏にその好逑 たる「をとめ」の獻身よるらむ。武士たるの夫は、爲に手傷を負はせられぬること多し。「をとめ」はこれを懇ろにし以てこれを慰む。
武士は一旦緩急あれば、輒ち戰場に赴く、その間家を守るは「をとめ」なり。
薙刀を以て城を守る。
もしその「をとめ」の内助の功なくんば、もものふ戰働を建つること能はざるは、え疑はじ
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