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014 スキル発動
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翌日。
綺麗に植え付けられたブドウの苗木は整然と並んでいた。
大きく育てば壮観なブドウ畑になるのは間違いない。
その景色を望むには、本来なら5年ほどかかるのだが。
「そんなに待ってられるか!」
俺は一人で早朝のブドウ畑に来ていた。
人目を避けてある仕掛けを施すためだ。
畑に入り、全体を見渡して範囲を確認すると、近くの苗木にそっと触れた。
「ゲノム解析開始」
リュシーファに貰った能力を発動した。
はた目には苗木に触れているだけに見えるだろう。
しかし俺の前には全ての苗木の遺伝子配列が映し出されている。
同じ種の苗木だから遺伝子配列はほぼ同じなのだが、局部的な所で些末な差異が見受けられた。
「解析完了。次は、遺伝子の改造を開始。病気、害虫の耐性。成長速度の変更。果肉の成分、品質の向上、と」
スキルによって苗木の遺伝子情報が次々と改造される。
本来なら途方もない時間と莫大な労力をかけて品種改良すべきことを、短時間で、なおかつ自分好みに変更してしまうのだ。
とんでもない反則技だ。
それが俺の能力、ゲノムカスタマイズクリエイトだ。
遺伝子の改造と創造を行う能力、と説明すれば理解できるだろうか。
既存の遺伝子情報を改造、変更、上書きするのは当然のこと。
この能力の最大の利点は、遺伝子情報に無い情報を創造して付け足しできることだ。
遺伝子の改造、変更、上書きは基となる情報が無ければ行うことができない。
情報が無ければ、それすら行うことができないのだ。
しかし創造できれば何も問題ない。
なぜなら創造とは、無から有を生み出す力だからだ。
「次に、遺伝子情報の創造を開始。結実の回数を増加。栄養分の備蓄量の拡充。水と日光による栄養分の補填。あらゆる土壌への適応」
俺は全ての苗木の遺伝子情報を上書きした。
痩せた土地でも豊穣の実りをつける奇跡の苗木にしたのだ。
しかも成長速度はオクラ並みで、1ヶ月で90cmも成長する。
これなら2ヶ月で収穫できるだろう。
「あとは種の改造くらいかな?本当は種無しにしたいけど、いちいち苗木を買うのも面倒だし。遺伝子情報を変更するのも手間だし。……ん~、やっぱり種は採取できるようにしておこう」
俺は種子から栽培できるよう遺伝子情報を改造した。
ブドウといえば小さな種が数粒あるのが普通である。
それを一粒種に変更し、大きくすることで発芽力を爆発的に増大させる工夫をした。
イメージとしては梅干しの種がピッタリだろう。
「こんなものかな」
一通りの作業を終えて汗を拭った。
朝陽が昇り、奴隷達が作業のためブドウ畑に集まってきている。
今日もいい天気になりそうだ。
そう思って朝陽に照らされた畑を眺めていると、予期せぬ先客に気付いた奴隷達が驚き慌てて畑に駆けて来るのだった。
綺麗に植え付けられたブドウの苗木は整然と並んでいた。
大きく育てば壮観なブドウ畑になるのは間違いない。
その景色を望むには、本来なら5年ほどかかるのだが。
「そんなに待ってられるか!」
俺は一人で早朝のブドウ畑に来ていた。
人目を避けてある仕掛けを施すためだ。
畑に入り、全体を見渡して範囲を確認すると、近くの苗木にそっと触れた。
「ゲノム解析開始」
リュシーファに貰った能力を発動した。
はた目には苗木に触れているだけに見えるだろう。
しかし俺の前には全ての苗木の遺伝子配列が映し出されている。
同じ種の苗木だから遺伝子配列はほぼ同じなのだが、局部的な所で些末な差異が見受けられた。
「解析完了。次は、遺伝子の改造を開始。病気、害虫の耐性。成長速度の変更。果肉の成分、品質の向上、と」
スキルによって苗木の遺伝子情報が次々と改造される。
本来なら途方もない時間と莫大な労力をかけて品種改良すべきことを、短時間で、なおかつ自分好みに変更してしまうのだ。
とんでもない反則技だ。
それが俺の能力、ゲノムカスタマイズクリエイトだ。
遺伝子の改造と創造を行う能力、と説明すれば理解できるだろうか。
既存の遺伝子情報を改造、変更、上書きするのは当然のこと。
この能力の最大の利点は、遺伝子情報に無い情報を創造して付け足しできることだ。
遺伝子の改造、変更、上書きは基となる情報が無ければ行うことができない。
情報が無ければ、それすら行うことができないのだ。
しかし創造できれば何も問題ない。
なぜなら創造とは、無から有を生み出す力だからだ。
「次に、遺伝子情報の創造を開始。結実の回数を増加。栄養分の備蓄量の拡充。水と日光による栄養分の補填。あらゆる土壌への適応」
俺は全ての苗木の遺伝子情報を上書きした。
痩せた土地でも豊穣の実りをつける奇跡の苗木にしたのだ。
しかも成長速度はオクラ並みで、1ヶ月で90cmも成長する。
これなら2ヶ月で収穫できるだろう。
「あとは種の改造くらいかな?本当は種無しにしたいけど、いちいち苗木を買うのも面倒だし。遺伝子情報を変更するのも手間だし。……ん~、やっぱり種は採取できるようにしておこう」
俺は種子から栽培できるよう遺伝子情報を改造した。
ブドウといえば小さな種が数粒あるのが普通である。
それを一粒種に変更し、大きくすることで発芽力を爆発的に増大させる工夫をした。
イメージとしては梅干しの種がピッタリだろう。
「こんなものかな」
一通りの作業を終えて汗を拭った。
朝陽が昇り、奴隷達が作業のためブドウ畑に集まってきている。
今日もいい天気になりそうだ。
そう思って朝陽に照らされた畑を眺めていると、予期せぬ先客に気付いた奴隷達が驚き慌てて畑に駆けて来るのだった。
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