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第2章
番外編4 アルデのファンクラブ
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「つけられていますね、わたしたち」
ティスリがそう言うと、アルデも気づいていたようで頷きました。
「ああ、そうだな。けど殺気はないようだが……」
旅館からコロシアムへと向かう道中で、わたしたちは尾行に気づいていました。
わたしとアルデは、武術大会を順調に勝ち進んでいる真っ最中ですから、いよいよ領主がなりふり構わなくなってきたのかと思ったのですが、それにしては確かに殺気が感じられません。
というより殺気とは別種の、異様な視線を感じるのですが……
なのでわたしはアルデに言いました。
「面倒ですから、そこの路地を曲がって待ち伏せしましょう」
「了解だ」
街のメインストリートを歩いていたわたしたちは、店と店の間の狭い路地へと素早く足を踏み入れます。
尾行者からしたら、不意に消えたかのように見えたことでしょう。
そして路地に身を潜ませていると、向こうから、わたわたとした気配が近寄ってきました。
やはり刺客かしらと思ってわたしは魔法発現の心づもりをしていると──
「──は?」
路地へと飛び込んで来た人間は、刺客とは似ても似つかない格好をしていました。
まず女性が四人でした。
つぎにひらっひらのドレスを身にまとっていました。
そして手に持つものは、剣でもナイフでもなく花束などでした。
そんな女性たちが悲鳴に近い歓声を上げます。
「きゃーーーーー!」
「アルデ様!」
「ど、どうしましょう!? わたし、まだ心の準備が!」
「いいから落ち着いて! 落ち着くのよ!」
……アルデさま?
わたしがあっけに取られていると、女性達は話を進めてしまいます。
「アルデ様!」
「じ、実は! わたしたち!」
「アルデ様の──」
「──ファンクラブを結成したんです!」
ふぁんくらぶ……!?
ファンクラブとは、確か前にフォッテスさんが言っていた、アルデの情報を共有しあう組織のことですか!?
ま、まさか本当に実在していたとは……
呆然としていると、いつのまにか、アルデの隣にいたはずのわたしは押しのけられていて、アルデは女性に囲まれていました。
「アルデ様! この花束を受け取ってください!」
「お、おぅ……?」
「わたしは、真心を込めて焼いたクッキーを持ってきました!」
「あ、ありがとう……」
「こっちはブランド品のお財布です!」
「え? いや、でもちょっとそれは……」
「ほら言ったじゃない! あまり高価なものは嫌がられるって!」
「も、申し訳ありませんアルデ様!」
「お、おいおい泣くなよ……!? 分かったから! ありがたく頂戴するから!」
などと、アルデは女性らと談笑を始めました。アルデの主でセコンドで、今大会女子部門のダークホースとして名高くなったわたしをかんっっっぜんに捨て置いて。
「アルデ様! も、もしよろしければなのですが……この色紙にサインを頂けないでしょうか!?」
「サイン? えーっと……名前を書けばいいのか?」
「はいっ! あ、それと厚かましいのは重々承知なのですが、サインの横に『エレンちゃんへ』と書いて頂ければとても嬉しいのですが!」
「それくらいなら別にいいけど……」
そしてアルデは、鼻の下を伸ばしながら、そして女性達にキャーキャー言われながら、全員分のサインをしました。
「ありがとうございますアルデ様!」
「頂いたサインは家宝にします!」
「今度の試合も、ぜひがんばってくださいね!」
「わたしたち、応援してます!」
そして女性達は、やっぱりキャーキャー言いながら去って行きました。まるで嵐のように。
するとアルデは、頬を掻きながらわたしに言ってきました。
「いやぁ……驚いたな。まさかオレのサインを欲しがるなんてな」
そんなすっとぼけたことを言ってくるものだから、わたしは白けた気分で言いました。
「世の中には、変わり者や奇特な人がいると聞いていましたが、どうやら本当のようです」
それだけ言うと、わたしは足早に元来た道へと戻ります。
そのまま無言で雑踏の中を歩いていると、アルデが斜め後方から声を掛けてきました。
「お、お~い……ティスリさん……?」
「なんです」
「何を怒ってらっしゃるのでせう……?」
「別に怒ってなどいませんが」
「嘘つけ。今、あからさまに不機嫌だろーが」
「わたしの気分は上々です! 今日の青空のように一切の曇りもありません! で・す・が!」
わたしの隣に追いついてきたアルデをギロリと睨むと、わたしはセコンドとしてありがたいアドバイスをしてあげます。
「試合前だというのに、あんなに鼻の下を伸ばして!」
「そんなつもりは特になかったが?」
「つもりはなくても伸びてたのですよ! 無意識のうちに! そんなことでは、いくら対戦相手が弱いからといって、足元を掬われかねないのですからね!」
「分かった分かった、悪かったって。けどファンクラブなんて一時的なもんだろ」
「そうとも限りません! フォッテスさんによると、選手を追いかけて、各地の武術大会を転々とするファンもいるそうです。もしそんな人達に追いかけられたら面倒でしょう?」
「まぁそりゃそうだけど、オレに関しては、そういうことは起こりえないだろ」
「なんでそう言い切れるんですか!」
「いやだって、ティスリがいるし」
「………………はい?」
急に自分のことを言われ、わたしの思考はストップしてしまいます。なのにアルデは勝手に話を続けていました。
「それにオレは専業選手じゃないし、だから武術大会に出るのはこれっきりなわけで、追いかけようがないじゃん」
「であったとしても、単に付きまとってくるだけとか……」
「魔動車があるんだから、この都を出てしまえば追いつけるわけないだろ?」
「それは……そうですが」
「それに万が一にでも付きまとわれたって、オレとティスリなら問題にもならんだろ」
「アルデとわたし!?」
「どした? さっきから真っ赤だぞ」
「赤くなどなっていません!」
さっきから、アルデとわたしはいつも一心同体みたいなことを言い出すものだから──そんなことを言われたら誰だって慌てるというものです!
しかしアルデは、わたしの気も知らずに話を締めくくってしまいました。
「ま、そういうわけだから。ファンクラブのことは気にすんなって」
「はぁもう……分かりましたよ……」
その後、わたしたちはしばらく無言でコロシアムまで歩きます。
やがてコロシアムが見えてきて、その周辺公園に入ったときに、わたしはそれとなく聞きました。
「ところで……わたしがいるから、とはどういう意味ですか?」
「ん? えっと……なんの話?」
「今し方、あなたが口にしたでしょう!? わたしがいるから、ファンクラブにはつけ回されないって!」
「ああ、そのことか」
三歩ですべてを忘れる鳥頭のアルデは、ぽんっと手を打ちます。
「いやだって、オレたちって、ハタから見ると夫婦か婚約者に見えるんだろ。大会中は指輪してないけど、指輪をしてればあのコ達も諦めるだろうと思って」
「…………そういうことですか」
わたしにとっての指輪が男避けであるように、アルデにとっても女避けになるというわけですか。
「まったく。紛らわしい言い方を……わたしはてっきり……」
「てっきり、なんだよ?」
アルデの声に我に返ったわたしは、「なんでもありません!」と言ってから、それ以上蒸し返されないよう畳みかけます。
「っていうかだったら、指輪は試合直前まで付けてなさい。わたしのように」
「いやでも、外すのを忘れて出場してしまいそうでなぁ。そしたら反則負けじゃん」
「はぁ……ほんと鳥頭ですね、あなたは。じゃあもういいです。大会中は我慢してあげます」
「我慢って、なんの?」
「知りませんよ!」
わたしだって、何に腹を立てているのか分からないのですから!
ただアルデが、ああやって女性にチヤホヤされるのは無性に不愉快なだけで──
「──あ、だったら!」
そしてわたしは、すぐさま妙案を思いつきました。
「アルデのファンクラブは、男性限定にしましょう!」
「………………は?」
「そもそも、武術大会の観客の大半は男性なのです! ならば男性をメインターゲットにしたほうが盛り上がるに決まっています!」
「ま、待てティスリ!?」
「ならばこうしてはいられません。すぐさま公式のファンクラブを作り、アルデの応援をしてもらいましょう。特典として、わたしが剣術の解説でもしましょう。プレゼント受付は事務局を組織してそこに一任すればいいですね」
「プレゼント!? 男からの手作りクッキーなんていらんぞ!?」
「へぇ? それはまた、どぉしてです?」
素晴らしい案だというのに、さっきからぜんぜん気乗りしていないアルデを、わたしはジトーーーッと睨めつけました。
「さっきは、受け取ったでしょう? その手作りクッキー」
「それは相手が女性だから──ハッ!?」
「ほら! やっぱり鼻の下を伸ばしていたじゃないですか! 馬脚を露わすとはまさにこのこと!!」
「違うそうじゃない! オレはノーマルなんだから、そういうのは勘弁なんだよ!?」
「いいえ! ならばむしろ絶対勘弁しません!」
「なんでだよ!?」
「武術好きで屈強な男性から構成された骨太のファンクラブを作ってあげましょう! 試合後、アルデはその男性陣に取り囲まれて、歓談でも食事でもしてなさい! そうすればあんな女性たちは寄りつけませんから!!」
「本気かティスリ!? お前だと、あっという間に組織してしまいそうで怖いんだが!」
「本気に決まってるじゃないですか、半日で作って差し上げます! では、今日はセコンドとして付き合えませんが──」
「頼む! 本当に勘弁してくれぇぇぇ!!」
大会前だというのに、アルデの情けない声は、コロシアム場外に響き渡ったのでした。
(第二章番外編おしまい。第三章につづく)
ティスリがそう言うと、アルデも気づいていたようで頷きました。
「ああ、そうだな。けど殺気はないようだが……」
旅館からコロシアムへと向かう道中で、わたしたちは尾行に気づいていました。
わたしとアルデは、武術大会を順調に勝ち進んでいる真っ最中ですから、いよいよ領主がなりふり構わなくなってきたのかと思ったのですが、それにしては確かに殺気が感じられません。
というより殺気とは別種の、異様な視線を感じるのですが……
なのでわたしはアルデに言いました。
「面倒ですから、そこの路地を曲がって待ち伏せしましょう」
「了解だ」
街のメインストリートを歩いていたわたしたちは、店と店の間の狭い路地へと素早く足を踏み入れます。
尾行者からしたら、不意に消えたかのように見えたことでしょう。
そして路地に身を潜ませていると、向こうから、わたわたとした気配が近寄ってきました。
やはり刺客かしらと思ってわたしは魔法発現の心づもりをしていると──
「──は?」
路地へと飛び込んで来た人間は、刺客とは似ても似つかない格好をしていました。
まず女性が四人でした。
つぎにひらっひらのドレスを身にまとっていました。
そして手に持つものは、剣でもナイフでもなく花束などでした。
そんな女性たちが悲鳴に近い歓声を上げます。
「きゃーーーーー!」
「アルデ様!」
「ど、どうしましょう!? わたし、まだ心の準備が!」
「いいから落ち着いて! 落ち着くのよ!」
……アルデさま?
わたしがあっけに取られていると、女性達は話を進めてしまいます。
「アルデ様!」
「じ、実は! わたしたち!」
「アルデ様の──」
「──ファンクラブを結成したんです!」
ふぁんくらぶ……!?
ファンクラブとは、確か前にフォッテスさんが言っていた、アルデの情報を共有しあう組織のことですか!?
ま、まさか本当に実在していたとは……
呆然としていると、いつのまにか、アルデの隣にいたはずのわたしは押しのけられていて、アルデは女性に囲まれていました。
「アルデ様! この花束を受け取ってください!」
「お、おぅ……?」
「わたしは、真心を込めて焼いたクッキーを持ってきました!」
「あ、ありがとう……」
「こっちはブランド品のお財布です!」
「え? いや、でもちょっとそれは……」
「ほら言ったじゃない! あまり高価なものは嫌がられるって!」
「も、申し訳ありませんアルデ様!」
「お、おいおい泣くなよ……!? 分かったから! ありがたく頂戴するから!」
などと、アルデは女性らと談笑を始めました。アルデの主でセコンドで、今大会女子部門のダークホースとして名高くなったわたしをかんっっっぜんに捨て置いて。
「アルデ様! も、もしよろしければなのですが……この色紙にサインを頂けないでしょうか!?」
「サイン? えーっと……名前を書けばいいのか?」
「はいっ! あ、それと厚かましいのは重々承知なのですが、サインの横に『エレンちゃんへ』と書いて頂ければとても嬉しいのですが!」
「それくらいなら別にいいけど……」
そしてアルデは、鼻の下を伸ばしながら、そして女性達にキャーキャー言われながら、全員分のサインをしました。
「ありがとうございますアルデ様!」
「頂いたサインは家宝にします!」
「今度の試合も、ぜひがんばってくださいね!」
「わたしたち、応援してます!」
そして女性達は、やっぱりキャーキャー言いながら去って行きました。まるで嵐のように。
するとアルデは、頬を掻きながらわたしに言ってきました。
「いやぁ……驚いたな。まさかオレのサインを欲しがるなんてな」
そんなすっとぼけたことを言ってくるものだから、わたしは白けた気分で言いました。
「世の中には、変わり者や奇特な人がいると聞いていましたが、どうやら本当のようです」
それだけ言うと、わたしは足早に元来た道へと戻ります。
そのまま無言で雑踏の中を歩いていると、アルデが斜め後方から声を掛けてきました。
「お、お~い……ティスリさん……?」
「なんです」
「何を怒ってらっしゃるのでせう……?」
「別に怒ってなどいませんが」
「嘘つけ。今、あからさまに不機嫌だろーが」
「わたしの気分は上々です! 今日の青空のように一切の曇りもありません! で・す・が!」
わたしの隣に追いついてきたアルデをギロリと睨むと、わたしはセコンドとしてありがたいアドバイスをしてあげます。
「試合前だというのに、あんなに鼻の下を伸ばして!」
「そんなつもりは特になかったが?」
「つもりはなくても伸びてたのですよ! 無意識のうちに! そんなことでは、いくら対戦相手が弱いからといって、足元を掬われかねないのですからね!」
「分かった分かった、悪かったって。けどファンクラブなんて一時的なもんだろ」
「そうとも限りません! フォッテスさんによると、選手を追いかけて、各地の武術大会を転々とするファンもいるそうです。もしそんな人達に追いかけられたら面倒でしょう?」
「まぁそりゃそうだけど、オレに関しては、そういうことは起こりえないだろ」
「なんでそう言い切れるんですか!」
「いやだって、ティスリがいるし」
「………………はい?」
急に自分のことを言われ、わたしの思考はストップしてしまいます。なのにアルデは勝手に話を続けていました。
「それにオレは専業選手じゃないし、だから武術大会に出るのはこれっきりなわけで、追いかけようがないじゃん」
「であったとしても、単に付きまとってくるだけとか……」
「魔動車があるんだから、この都を出てしまえば追いつけるわけないだろ?」
「それは……そうですが」
「それに万が一にでも付きまとわれたって、オレとティスリなら問題にもならんだろ」
「アルデとわたし!?」
「どした? さっきから真っ赤だぞ」
「赤くなどなっていません!」
さっきから、アルデとわたしはいつも一心同体みたいなことを言い出すものだから──そんなことを言われたら誰だって慌てるというものです!
しかしアルデは、わたしの気も知らずに話を締めくくってしまいました。
「ま、そういうわけだから。ファンクラブのことは気にすんなって」
「はぁもう……分かりましたよ……」
その後、わたしたちはしばらく無言でコロシアムまで歩きます。
やがてコロシアムが見えてきて、その周辺公園に入ったときに、わたしはそれとなく聞きました。
「ところで……わたしがいるから、とはどういう意味ですか?」
「ん? えっと……なんの話?」
「今し方、あなたが口にしたでしょう!? わたしがいるから、ファンクラブにはつけ回されないって!」
「ああ、そのことか」
三歩ですべてを忘れる鳥頭のアルデは、ぽんっと手を打ちます。
「いやだって、オレたちって、ハタから見ると夫婦か婚約者に見えるんだろ。大会中は指輪してないけど、指輪をしてればあのコ達も諦めるだろうと思って」
「…………そういうことですか」
わたしにとっての指輪が男避けであるように、アルデにとっても女避けになるというわけですか。
「まったく。紛らわしい言い方を……わたしはてっきり……」
「てっきり、なんだよ?」
アルデの声に我に返ったわたしは、「なんでもありません!」と言ってから、それ以上蒸し返されないよう畳みかけます。
「っていうかだったら、指輪は試合直前まで付けてなさい。わたしのように」
「いやでも、外すのを忘れて出場してしまいそうでなぁ。そしたら反則負けじゃん」
「はぁ……ほんと鳥頭ですね、あなたは。じゃあもういいです。大会中は我慢してあげます」
「我慢って、なんの?」
「知りませんよ!」
わたしだって、何に腹を立てているのか分からないのですから!
ただアルデが、ああやって女性にチヤホヤされるのは無性に不愉快なだけで──
「──あ、だったら!」
そしてわたしは、すぐさま妙案を思いつきました。
「アルデのファンクラブは、男性限定にしましょう!」
「………………は?」
「そもそも、武術大会の観客の大半は男性なのです! ならば男性をメインターゲットにしたほうが盛り上がるに決まっています!」
「ま、待てティスリ!?」
「ならばこうしてはいられません。すぐさま公式のファンクラブを作り、アルデの応援をしてもらいましょう。特典として、わたしが剣術の解説でもしましょう。プレゼント受付は事務局を組織してそこに一任すればいいですね」
「プレゼント!? 男からの手作りクッキーなんていらんぞ!?」
「へぇ? それはまた、どぉしてです?」
素晴らしい案だというのに、さっきからぜんぜん気乗りしていないアルデを、わたしはジトーーーッと睨めつけました。
「さっきは、受け取ったでしょう? その手作りクッキー」
「それは相手が女性だから──ハッ!?」
「ほら! やっぱり鼻の下を伸ばしていたじゃないですか! 馬脚を露わすとはまさにこのこと!!」
「違うそうじゃない! オレはノーマルなんだから、そういうのは勘弁なんだよ!?」
「いいえ! ならばむしろ絶対勘弁しません!」
「なんでだよ!?」
「武術好きで屈強な男性から構成された骨太のファンクラブを作ってあげましょう! 試合後、アルデはその男性陣に取り囲まれて、歓談でも食事でもしてなさい! そうすればあんな女性たちは寄りつけませんから!!」
「本気かティスリ!? お前だと、あっという間に組織してしまいそうで怖いんだが!」
「本気に決まってるじゃないですか、半日で作って差し上げます! では、今日はセコンドとして付き合えませんが──」
「頼む! 本当に勘弁してくれぇぇぇ!!」
大会前だというのに、アルデの情けない声は、コロシアム場外に響き渡ったのでした。
(第二章番外編おしまい。第三章につづく)
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