本能のままに

揚羽

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復活の時

四面楚歌

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その日、全国へ向けて一通の文が送られた。


備中高松城外 羽柴秀吉本陣

「秀吉様、京より文が。」

「何?京からだと?まさか明智から来たのか?」

秀吉が文を開け中身を一読する。すると読み進めていくうちに秀吉の顔がみるみる青くなっていった。

「秀吉様、どうなされたのですか?」

「か、官兵衛…これを見てみよ…」

「こ、これは…」

その文にはこう書かれていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

御内書

旧織田家臣に告ぐ

今すぐ家臣内の戦闘を取りやめよ

その後の対応は追って書状を出す

室町幕府第15代将軍 足利義昭

明智光秀

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「くそ!してやられた!毛利はいつの間に義昭を京へ送っていたのだ!」

「これに我らが従わなければ朝敵となり全ての大名と戦うことになりますな。」

「あぁ、明智から来たのは気に食わぬが致し方ないか。」

「えぇ、それにこれを送ってきたということは毛利との講話を仲介してくれるでしょう。」

「今はこれに従うのが良いか…ただ、今はな…」

そしてこの文は北陸にいる柴田勝家の元にも送られていた。



北ノ庄城

「くそっ!あの明智めが~~!」

「勝家様!落ち着いてください!」

「利家!落ち着いていられるか!我らは明智討伐の大義名分を失ったのだぞ!」

「ですが!流石に城内で刀を振り回すのはおやめくださ、うわっ!危ないですぞ!」

利家はやっと暴れ馬のような勝家を座らせ、軍議を始めた。

「勝家様、まだ我らが負けと決まったわけではございませんぞ。」

「成政、なぜそう思う。」

「まだ明智は畿内を治めてから数週間。謀反人にはそう簡単に兵は集まりません。おそらく明智も合戦をしたくないからこのような文を送ってきたのでしょう。そして話し合いとなれば我らにも勝機があります。我らにはあの方がいらっしゃるのですから。」

「おぉ、そうであったな。我らにはあの方がいらっしゃる。そうと決まれば早速お呼びするのだ!」

「はっ!」

数日後、京よりまた織田家重臣に向けて文が出された。

「この問題は戦ではなく会議で決めるべきだ。ならば会場はあそこしかあるまい。」

「織田家始まりの地、清洲へ」




─織田信長一行─

「やっと伊賀か、やはり紀州からは遠いな。」

「信長様、お気を付けください。まだ伊賀は安定しておりません。」

「あぁ、蘭丸よ分かって、」

「そこの一行!覚悟っ!」

「なっ!」



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