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奏の想い 10
「顔色が悪い。今日は元気だからといって、一度に動き過ぎたのではないか?」
「んー、そうかも。でも楽しかったからいいや」
「ほら、早く休め」
アルファムは、部屋に入るなり、テキパキと俺と自分の着替えを済ませ、俺をベッドに乗せた。
自身も上がってくると、俺を抱き寄せて寝転んだ。
俺は、アルファムの胸に顔を寄せて、大きく匂いを吸い込む。
「…ふふ、いい匂い。アルの匂い、大好き」
「そうか?カナの方がいい匂いがするぞ」
「俺の匂いってアルの匂いじゃない?いつも一緒にいるから…」
「ふむ、そうか。ならば俺からこんないい匂いがするとは思えないから、俺にカナの匂いが移ったのだな」
「えー…そうかな…」
俺の髪の毛に鼻を埋めて、アルファムがくんくんと匂いを嗅いでいる。
髪の毛とか首とかは、一番加齢臭がしてそうで嫌だと、慌ててアルファムの鼻を手で押さえた。
「ちょっ、やめて」
「なぜ?いい匂いがするぞ」
「…もう、アルってたまに変なことするよね」
「そうか?もしそうならおまえが悪い」
「なんで?」
「おまえが愛し過ぎるからだ」
「アル…」
アルファムが、俺の手首を掴んで、愛おしそうに自分の頬に当てる。
そのあまりにも優しい顔を見て、俺の胸が苦しくなった。
ーーアル…ごめん。俺はアルを置いて行っちゃう。本当にごめん。もし逆の立場だったら、俺はきっと耐えられないから、これで良かったと勝手なことを思ってる。こんなにも深く俺を愛してくれているアルが、俺を失ったらどんなに悲しむだろうと思うと、辛いよ…。俺だって本当は、もっとアルと一緒にいたかった。でも、どうしようもないんだ。アルと過ごした炎の国での日々は、濃厚でとても幸福だった。充分過ぎる幸せな人生なのに、欲求はとめどなく溢れてくるんだなぁ。アルにはたくさん与えてもらったのに、俺は欲張りだ。…俺は、アルに何を与えてあげられただろうか…。
「カナ?寝たのか?」
「…ううん。ねえアル、アルは俺といて幸せだった?俺はアルを幸せに出来てた?」
「何を当たり前のことを。俺は、おまえと出会ってからは、幸せの毎日だ。おまえは、俺に人を愛して愛される喜びを教えてくれた。そして命をかけてカエンを産んでくれた。心から感謝している」
「そっか、良かった…。アル、愛してるよ、おやすみなさい…」
「ああ。カナ…愛してるぞ。おやすみ」
あれ?と思いながら、眠気に負けて、俺は目を閉じた。
アルファムの声が、とても震えているように聞こえたけど、気のせいだったのかな…。
「顔色が悪い。今日は元気だからといって、一度に動き過ぎたのではないか?」
「んー、そうかも。でも楽しかったからいいや」
「ほら、早く休め」
アルファムは、部屋に入るなり、テキパキと俺と自分の着替えを済ませ、俺をベッドに乗せた。
自身も上がってくると、俺を抱き寄せて寝転んだ。
俺は、アルファムの胸に顔を寄せて、大きく匂いを吸い込む。
「…ふふ、いい匂い。アルの匂い、大好き」
「そうか?カナの方がいい匂いがするぞ」
「俺の匂いってアルの匂いじゃない?いつも一緒にいるから…」
「ふむ、そうか。ならば俺からこんないい匂いがするとは思えないから、俺にカナの匂いが移ったのだな」
「えー…そうかな…」
俺の髪の毛に鼻を埋めて、アルファムがくんくんと匂いを嗅いでいる。
髪の毛とか首とかは、一番加齢臭がしてそうで嫌だと、慌ててアルファムの鼻を手で押さえた。
「ちょっ、やめて」
「なぜ?いい匂いがするぞ」
「…もう、アルってたまに変なことするよね」
「そうか?もしそうならおまえが悪い」
「なんで?」
「おまえが愛し過ぎるからだ」
「アル…」
アルファムが、俺の手首を掴んで、愛おしそうに自分の頬に当てる。
そのあまりにも優しい顔を見て、俺の胸が苦しくなった。
ーーアル…ごめん。俺はアルを置いて行っちゃう。本当にごめん。もし逆の立場だったら、俺はきっと耐えられないから、これで良かったと勝手なことを思ってる。こんなにも深く俺を愛してくれているアルが、俺を失ったらどんなに悲しむだろうと思うと、辛いよ…。俺だって本当は、もっとアルと一緒にいたかった。でも、どうしようもないんだ。アルと過ごした炎の国での日々は、濃厚でとても幸福だった。充分過ぎる幸せな人生なのに、欲求はとめどなく溢れてくるんだなぁ。アルにはたくさん与えてもらったのに、俺は欲張りだ。…俺は、アルに何を与えてあげられただろうか…。
「カナ?寝たのか?」
「…ううん。ねえアル、アルは俺といて幸せだった?俺はアルを幸せに出来てた?」
「何を当たり前のことを。俺は、おまえと出会ってからは、幸せの毎日だ。おまえは、俺に人を愛して愛される喜びを教えてくれた。そして命をかけてカエンを産んでくれた。心から感謝している」
「そっか、良かった…。アル、愛してるよ、おやすみなさい…」
「ああ。カナ…愛してるぞ。おやすみ」
あれ?と思いながら、眠気に負けて、俺は目を閉じた。
アルファムの声が、とても震えているように聞こえたけど、気のせいだったのかな…。
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