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「カエン?」
ほっぺにあったかいものが触れて、俺は顔を上げる。
母さまが、俺のほっぺを両手で挟んで、覗き込んでいた。
「どうしたの?疲れちゃった?」
「全然!ディエス国の女の子が来たら、中庭を案内してあげようと思ってたんだ。自慢の庭だから!」
「あ、それいいね!早く会いたいなあ」
「そうだね」
部屋の装飾はあまり変えられないけど、花をたくさん飾ってあげようかと話しながら、母さまと手を繋いで部屋を後にした。
そしてきっかり五日後に、日の国ディエスの王様一行が到着した。
王族は、普段は面会の部屋で客が来るのを待ってるものなんだけど、母さまがどうしても外で出迎えたいとわがままを言ったので、父さまは、苦笑して外で待つことを許した。
王様である父さまは、ホルガーとシアンと一緒に面会の部屋で待っている。
俺も母さまと一緒に正面玄関の広場で待っていると、二頭の馬を先頭に、門をくぐって馬車が入って来た。馬車の後にも荷車や数頭の馬に乗った人達が続いて入って来る。
先頭の馬に乗っていた二人が降りて、一人が馬車の扉を開ける。中から、金の刺繍の白いマントを羽織った黄色い髪の若い男が、同じ黄色い髪の女の子を抱いて降りて来た。
その若い男を見た途端に、母さまが嬉しそうに声を上げた。
「サッシャ!久しぶり!元気だった?」
「カナデ!五年ぶり…かな?カナデも元気そうでよかった」
「その子がリリーだね?サッシャによく似て可愛い」
「ありがとう。ほらリリー。俺の大切な友達のカナデだよ」
黄色い髪の男の人に抱かれた女の子が、小さな声で「こんにちは」と言った。
「ふふ、いい子。カエン、こっちにおいで」
母さまに呼ばれて、傍に行く。
母さまは、俺の頭を撫でて、「日の国ディエスのサッシャ王と、リリー王女だよ」と俺の顔を覗き込んだ。
俺は、二人の前に出て大きな声で挨拶をする。
「はじめまして。サッシャ王、リリー王女。炎の国エンの王子、カエンです」
サッシャ王は、目を丸くした後に、大きな声を出した。
「わあっ!すっごくしっかりして賢い子だね!しかもアルファム王にそっくりだ!」
「そうなんだよ。自慢の俺の息子だよ」
「わあっ!カナデもしっかり親バカしてるね」
「あのぅ、そろそろ城の中に入りませんか」と、リオが二人の話を止める。
「そうですね。こんな所で立ち話していると、他の方々にも迷惑です。サッシャ、リリー、中へ入らせて頂きましょう」
「わかったよ、ミケ」
ミケと呼ばれた男の人が、サッシャ王からリリー王女を受け取って抱き上げる。
ディエス国一行の先を歩きながら、俺は母さまの手を掴んで引っ張った。
「ねえ、カナ」
「ん?どうしたの?」
「あのミケって人、先頭の馬に乗ってたよね?家来だよね?なのになんで王様と親しそうなの?」
「ああ。ミケは、サッシャ王の夫だよ。リリーは、俺と同じようにサッシャ王が産んだの」
「へえっ」
あのリリーという女の子も、俺と同じ男と男の親から生まれたのかと、少し嬉しくなった。
ほっぺにあったかいものが触れて、俺は顔を上げる。
母さまが、俺のほっぺを両手で挟んで、覗き込んでいた。
「どうしたの?疲れちゃった?」
「全然!ディエス国の女の子が来たら、中庭を案内してあげようと思ってたんだ。自慢の庭だから!」
「あ、それいいね!早く会いたいなあ」
「そうだね」
部屋の装飾はあまり変えられないけど、花をたくさん飾ってあげようかと話しながら、母さまと手を繋いで部屋を後にした。
そしてきっかり五日後に、日の国ディエスの王様一行が到着した。
王族は、普段は面会の部屋で客が来るのを待ってるものなんだけど、母さまがどうしても外で出迎えたいとわがままを言ったので、父さまは、苦笑して外で待つことを許した。
王様である父さまは、ホルガーとシアンと一緒に面会の部屋で待っている。
俺も母さまと一緒に正面玄関の広場で待っていると、二頭の馬を先頭に、門をくぐって馬車が入って来た。馬車の後にも荷車や数頭の馬に乗った人達が続いて入って来る。
先頭の馬に乗っていた二人が降りて、一人が馬車の扉を開ける。中から、金の刺繍の白いマントを羽織った黄色い髪の若い男が、同じ黄色い髪の女の子を抱いて降りて来た。
その若い男を見た途端に、母さまが嬉しそうに声を上げた。
「サッシャ!久しぶり!元気だった?」
「カナデ!五年ぶり…かな?カナデも元気そうでよかった」
「その子がリリーだね?サッシャによく似て可愛い」
「ありがとう。ほらリリー。俺の大切な友達のカナデだよ」
黄色い髪の男の人に抱かれた女の子が、小さな声で「こんにちは」と言った。
「ふふ、いい子。カエン、こっちにおいで」
母さまに呼ばれて、傍に行く。
母さまは、俺の頭を撫でて、「日の国ディエスのサッシャ王と、リリー王女だよ」と俺の顔を覗き込んだ。
俺は、二人の前に出て大きな声で挨拶をする。
「はじめまして。サッシャ王、リリー王女。炎の国エンの王子、カエンです」
サッシャ王は、目を丸くした後に、大きな声を出した。
「わあっ!すっごくしっかりして賢い子だね!しかもアルファム王にそっくりだ!」
「そうなんだよ。自慢の俺の息子だよ」
「わあっ!カナデもしっかり親バカしてるね」
「あのぅ、そろそろ城の中に入りませんか」と、リオが二人の話を止める。
「そうですね。こんな所で立ち話していると、他の方々にも迷惑です。サッシャ、リリー、中へ入らせて頂きましょう」
「わかったよ、ミケ」
ミケと呼ばれた男の人が、サッシャ王からリリー王女を受け取って抱き上げる。
ディエス国一行の先を歩きながら、俺は母さまの手を掴んで引っ張った。
「ねえ、カナ」
「ん?どうしたの?」
「あのミケって人、先頭の馬に乗ってたよね?家来だよね?なのになんで王様と親しそうなの?」
「ああ。ミケは、サッシャ王の夫だよ。リリーは、俺と同じようにサッシャ王が産んだの」
「へえっ」
あのリリーという女の子も、俺と同じ男と男の親から生まれたのかと、少し嬉しくなった。
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