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番外編 芽吹き 79
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「うわあっ、こんな綺麗な所があったんだね!」
小高い丘から望む景色に、俺は感嘆の声を上げた。
アルファムがお忍びで連れて来てくれた場所は、城や街から数キロ離れた場所にある広々とした丘だ。
馬だと半日かかるらしいけど、飛翔馬に乗って、小一時間ほどで着いた。
視界を遮るものが何も無い丘一面に、ピンクの花が咲いている。
雲一つない青い空と辺り一面のピンクのコントラストが、とても美しい。
今は、季節でいうと冬の終わりに当たる。
だけど炎の国は南国で暖かいから、日本の四月くらいの気候になる。
朝晩は羽織る物が必要なくらい冷えるけど、日中はシャツ一枚で充分だ。
俺は、腕に抱いたカエンにも景色を見せて、「綺麗だね」と頬を擦り寄せた。
「気に入ったか?」
「うん!アル、連れて来てくれてありがとう」
隣に立つアルファムを見上げて、俺は笑顔でお礼を言う。
アルファムも笑って、俺にキスをする。
すると途端にカエンが唸り出した。
「ん?どうしたの?カエンもして欲しいの?」
そう言って、カエンの頬にキスをする。
カエンが、「あうー」と声を上げて喜ぶ。
「俺もしてやろう」とアルファムが反対側の頬にキスをすると、カエンが身体を反らして暴れた。
「こいつ…、本当に俺に似てきたな。油断してるとカナを取られかねない」
「二人共俺の大切な人だよ。ねえアル。あっちの方に行ってみてもいい?」
「ああ。もちろん俺もついて…」
「ふぎゃあっ」
俺の腕の中で暴れていたカエンが、ついに泣き出してしまった。
口元がむにゅむにゅと動いてるし、これはお腹が空いた泣き方だ。
乳を飲ませたいけど、見られるのは恥ずかしい。
「アル…カエンお腹が空いたみたい。先にあっちに行って飲ませるから、アルは後から来て」
「なぜだ?」
「…恥ずかしいからだよっ。それに、カエンが飲んでるのを見ると、アルは必ず飲もうとするじゃんっ。今日はさすがにだめだから!」
「…わかった。だが、見える場所にしろよ」
渋々という風に、アルファムが了承する。
俺はカエンを抱いてアルファムや皆からかなり離れた場所に行くと、皆から背を向けて腰を下ろした。
日焼け対策で羽織っていたマントを脱ぎ、シャツのボタンを外す。
カエンを抱き直して胸に近づけると、小さな口で吸い付いて、声を出しながら飲み始めた。
「ふふ、何話してるの?カエンは何しても可愛い」
ふごふごと言いながら、澄んだ緑色の瞳で俺を見る。
俺は顔を弛めてカエンを見て、艶々とした黒髪を優しく撫でる。
この世界で、黒髪は俺とカエンの二人だけだ。
そのことで、カエンは幸せな思いをするかもしれないし、辛い思いをするかもしれない。
でもきっと、乗り越えてくれる。
だって、とても強くて堂々としたアルファムの血を引いてるのだから。
小高い丘から望む景色に、俺は感嘆の声を上げた。
アルファムがお忍びで連れて来てくれた場所は、城や街から数キロ離れた場所にある広々とした丘だ。
馬だと半日かかるらしいけど、飛翔馬に乗って、小一時間ほどで着いた。
視界を遮るものが何も無い丘一面に、ピンクの花が咲いている。
雲一つない青い空と辺り一面のピンクのコントラストが、とても美しい。
今は、季節でいうと冬の終わりに当たる。
だけど炎の国は南国で暖かいから、日本の四月くらいの気候になる。
朝晩は羽織る物が必要なくらい冷えるけど、日中はシャツ一枚で充分だ。
俺は、腕に抱いたカエンにも景色を見せて、「綺麗だね」と頬を擦り寄せた。
「気に入ったか?」
「うん!アル、連れて来てくれてありがとう」
隣に立つアルファムを見上げて、俺は笑顔でお礼を言う。
アルファムも笑って、俺にキスをする。
すると途端にカエンが唸り出した。
「ん?どうしたの?カエンもして欲しいの?」
そう言って、カエンの頬にキスをする。
カエンが、「あうー」と声を上げて喜ぶ。
「俺もしてやろう」とアルファムが反対側の頬にキスをすると、カエンが身体を反らして暴れた。
「こいつ…、本当に俺に似てきたな。油断してるとカナを取られかねない」
「二人共俺の大切な人だよ。ねえアル。あっちの方に行ってみてもいい?」
「ああ。もちろん俺もついて…」
「ふぎゃあっ」
俺の腕の中で暴れていたカエンが、ついに泣き出してしまった。
口元がむにゅむにゅと動いてるし、これはお腹が空いた泣き方だ。
乳を飲ませたいけど、見られるのは恥ずかしい。
「アル…カエンお腹が空いたみたい。先にあっちに行って飲ませるから、アルは後から来て」
「なぜだ?」
「…恥ずかしいからだよっ。それに、カエンが飲んでるのを見ると、アルは必ず飲もうとするじゃんっ。今日はさすがにだめだから!」
「…わかった。だが、見える場所にしろよ」
渋々という風に、アルファムが了承する。
俺はカエンを抱いてアルファムや皆からかなり離れた場所に行くと、皆から背を向けて腰を下ろした。
日焼け対策で羽織っていたマントを脱ぎ、シャツのボタンを外す。
カエンを抱き直して胸に近づけると、小さな口で吸い付いて、声を出しながら飲み始めた。
「ふふ、何話してるの?カエンは何しても可愛い」
ふごふごと言いながら、澄んだ緑色の瞳で俺を見る。
俺は顔を弛めてカエンを見て、艶々とした黒髪を優しく撫でる。
この世界で、黒髪は俺とカエンの二人だけだ。
そのことで、カエンは幸せな思いをするかもしれないし、辛い思いをするかもしれない。
でもきっと、乗り越えてくれる。
だって、とても強くて堂々としたアルファムの血を引いてるのだから。
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