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番外編 芽吹き 33
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肩を震わせて頭を垂れるローラントに、俺はなんて声をかけていいのか戸惑う。
こんなこと聞いていいものかどうかと、迷いながら口を開いた。
「ローラント…俺は大丈夫だよ。だから元気出して、って言っても無理だよね…。あのさ、俺が今から言うことに正直に答えて欲しい。ローラントは、王位が欲しい?アルと俺の子が生まれれば、その子が王位継承権第一位になるんだってね。ローラントはこの子の次の第二位になる。それは嫌だと思う?」
「そんなこと思いもしないっ!」
俺の質問に、勢いよく顔を上げて、ローラントが叫んだ。
「僕は、十年前に母様が罪を犯した時から、王位を継ぐ気はない!兄上が僕を継承権第一位に据えてくれたけど、いつか断るつもりだった…っ。でもっ、いつかではなく、すぐに断っておけばよかったっ…。そうしてれば、母様もカナデを襲おうなどとしなかったのに…。カナデ、本当にごめんなさい…」
「…ローラントは、ずっと、苦しかったんだね…」
俺は、ソファーから立ち上がると、ローラントを抱きしめた。
ローラントの嗚咽と震える身体が、胸に痛い。
「ごめん…ごめんなさい…。母様が襲わせたことで、お腹の子が危険だったと聞いた…。カナデの体調も悪くなったって…。僕が、ちゃんと母様を見張ってればよかった…。僕のせいなんだ…。カナデは優しいから僕を怒らないだろうってわかってる。でもそれじゃあ、僕の気が済まないんだ。…兄上、王の后であるカナデを襲った罪は重い。普通なら死刑だ。母様を死刑にするなら、どうか僕にも同じ処罰を…」
「そうだな」
「だっ、だめだよ!アルっ」
身体は震えているのに、ローラントの表情は落ち着いて見える。
ローラントは、覚悟を持ってここへ来たのかもしれない。
アルファムも、何かを決意したような表情をしている。
アルファムが処罰を言い渡してしまったら、もう覆せない。
ーーああ、またアルファムに『おまえは甘過ぎる!」と怒られるだろうな。
だけど、平和な世界で育ってきた俺は、どうしても人を憎みきれない。
俺は、立ち上がるとアルファムにしがみついた。
「アル、俺も赤ちゃんも無事だったんだから、重い処罰はしないで。もしも赤ちゃんに何かあったなら、俺だって許さないよ?でも大丈夫だった。元気で今も俺のお腹を蹴ってるし。だからお願い。ベアトリクスさんとローラントを許してあげて」
「駄目だ」
至近距離で見上げたアルファムの緑色の目が、とても冷たく澄んでいた。
こんなこと聞いていいものかどうかと、迷いながら口を開いた。
「ローラント…俺は大丈夫だよ。だから元気出して、って言っても無理だよね…。あのさ、俺が今から言うことに正直に答えて欲しい。ローラントは、王位が欲しい?アルと俺の子が生まれれば、その子が王位継承権第一位になるんだってね。ローラントはこの子の次の第二位になる。それは嫌だと思う?」
「そんなこと思いもしないっ!」
俺の質問に、勢いよく顔を上げて、ローラントが叫んだ。
「僕は、十年前に母様が罪を犯した時から、王位を継ぐ気はない!兄上が僕を継承権第一位に据えてくれたけど、いつか断るつもりだった…っ。でもっ、いつかではなく、すぐに断っておけばよかったっ…。そうしてれば、母様もカナデを襲おうなどとしなかったのに…。カナデ、本当にごめんなさい…」
「…ローラントは、ずっと、苦しかったんだね…」
俺は、ソファーから立ち上がると、ローラントを抱きしめた。
ローラントの嗚咽と震える身体が、胸に痛い。
「ごめん…ごめんなさい…。母様が襲わせたことで、お腹の子が危険だったと聞いた…。カナデの体調も悪くなったって…。僕が、ちゃんと母様を見張ってればよかった…。僕のせいなんだ…。カナデは優しいから僕を怒らないだろうってわかってる。でもそれじゃあ、僕の気が済まないんだ。…兄上、王の后であるカナデを襲った罪は重い。普通なら死刑だ。母様を死刑にするなら、どうか僕にも同じ処罰を…」
「そうだな」
「だっ、だめだよ!アルっ」
身体は震えているのに、ローラントの表情は落ち着いて見える。
ローラントは、覚悟を持ってここへ来たのかもしれない。
アルファムも、何かを決意したような表情をしている。
アルファムが処罰を言い渡してしまったら、もう覆せない。
ーーああ、またアルファムに『おまえは甘過ぎる!」と怒られるだろうな。
だけど、平和な世界で育ってきた俺は、どうしても人を憎みきれない。
俺は、立ち上がるとアルファムにしがみついた。
「アル、俺も赤ちゃんも無事だったんだから、重い処罰はしないで。もしも赤ちゃんに何かあったなら、俺だって許さないよ?でも大丈夫だった。元気で今も俺のお腹を蹴ってるし。だからお願い。ベアトリクスさんとローラントを許してあげて」
「駄目だ」
至近距離で見上げたアルファムの緑色の目が、とても冷たく澄んでいた。
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