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番外編 芽吹き 7
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翌日の午後、中庭で本を読んでいると、リオが俺を呼びに来た。
「カナデ、アルファム様が呼んでる。部屋に戻るよ」
「アルが?わかった」
俺は、読んでいた本を閉じると、リオの後に続いて城の中へ入る。
リオを追いかけるように歩くけど、リオの足が速くてどんどん離されていく。
「リオっ、待って!」
「え?あ、ごめん…」
リオが足を止めて振り向いた。
小走りに走る俺を見て、頭を掻きながら謝る。
「もうっ、速いよっ。急いでるの?」
「いや、別に急いではないんだけど…。何か気が急いて…」
「なんで?ていうか、アルの用事ってなに?」
「まあ…それは、アルファム様の口から聞いて。ほら、カナデが先に歩いて」
傍に来た俺の背中を、リオが軽く押す。
俺は、押されるままに、リオの前を歩き出した。
重厚な扉の前に着いて、声をかけようとして「あれ?」と首を傾げる。
「カナデ?どうしたの?早く入りなよ」
「うん…。リオ、ここ、アルの部屋だよね?」
「当たり前だろ?」
「でも、扉が違ってない?」
「そうだよ。扉を特別仕様に変えたんだよ」
「特別仕様?」
「そう。それもアルファム様から聞いて。アルファム様!カナデが戻って来ましたよ!」
リオがそう叫ぶと、白地に赤や金で装飾が施された扉を開けた。
中に入って扉を閉めると、扉がぽわりと白く光る。
「あれ?何か光った…」
「カナ、後で説明する。俺の傍に来い」
「はい…」
アルファムの傍へ行き、差し出されたアルファムの掌に手を乗せると、その手を引かれて抱き寄せられた。
机を囲むように、アルファムと俺、シアン、ホルガーが並んで立っている。
リオもホルガーの隣に立つと、シアンが話し出した。
「では、説明します。この中に子胞薬が入ってます。先程、秘密裏に俺の元へ届きました」
シアンが、両手で持てる大きさの鉄の箱を、机の上に置く。
そして、鍵穴に鍵を差し込んで開けると、中から皮の袋を出した。
皮の袋を持ち上げて紐を解き、机の上に中身を出す。
まるで正露丸のような丸い粒が数個、ころころと転がり出た。
「カナデ様、これが子胞薬です。一日一粒、五日間、毎日寝る前に飲んでください。飲み終わって十日後から、今度は毎日アルファム様の子種を腹の中に注いでもらって下さい」
「こっ、子種…っ」
「毎日か…。カナの身体が心配だな」
「え…?」
アルファムが、心配そうに俺の顔を覗き込んでくるけど、ちょっと待って!
今だって、二日に一回はしてるぞ!
しかも一回が滅茶苦茶しつこい!
だから、一晩に何回も俺の中に吐き出す回数を減らして、平均的に毎日やればいいんじゃないの…?と思う。
「大丈夫です。この薬を飲んで腹の中に袋が出来れば、雄を受け入れる柔軟な身体に変化します。何度性交しても、身体に負担はかかりません」
「え?うそ…」
抱き潰された翌日は、あんなに身体が痛いんだよ?
それが、そんな小さな薬をちょっと飲むだけで、大丈夫になるもんなの?
俺が不安に思っていると、「それはよい。カナの中にたっぷりと子種を注いでやろう」と恥ずかしげもなくアルファムが言った。
「カナデ、アルファム様が呼んでる。部屋に戻るよ」
「アルが?わかった」
俺は、読んでいた本を閉じると、リオの後に続いて城の中へ入る。
リオを追いかけるように歩くけど、リオの足が速くてどんどん離されていく。
「リオっ、待って!」
「え?あ、ごめん…」
リオが足を止めて振り向いた。
小走りに走る俺を見て、頭を掻きながら謝る。
「もうっ、速いよっ。急いでるの?」
「いや、別に急いではないんだけど…。何か気が急いて…」
「なんで?ていうか、アルの用事ってなに?」
「まあ…それは、アルファム様の口から聞いて。ほら、カナデが先に歩いて」
傍に来た俺の背中を、リオが軽く押す。
俺は、押されるままに、リオの前を歩き出した。
重厚な扉の前に着いて、声をかけようとして「あれ?」と首を傾げる。
「カナデ?どうしたの?早く入りなよ」
「うん…。リオ、ここ、アルの部屋だよね?」
「当たり前だろ?」
「でも、扉が違ってない?」
「そうだよ。扉を特別仕様に変えたんだよ」
「特別仕様?」
「そう。それもアルファム様から聞いて。アルファム様!カナデが戻って来ましたよ!」
リオがそう叫ぶと、白地に赤や金で装飾が施された扉を開けた。
中に入って扉を閉めると、扉がぽわりと白く光る。
「あれ?何か光った…」
「カナ、後で説明する。俺の傍に来い」
「はい…」
アルファムの傍へ行き、差し出されたアルファムの掌に手を乗せると、その手を引かれて抱き寄せられた。
机を囲むように、アルファムと俺、シアン、ホルガーが並んで立っている。
リオもホルガーの隣に立つと、シアンが話し出した。
「では、説明します。この中に子胞薬が入ってます。先程、秘密裏に俺の元へ届きました」
シアンが、両手で持てる大きさの鉄の箱を、机の上に置く。
そして、鍵穴に鍵を差し込んで開けると、中から皮の袋を出した。
皮の袋を持ち上げて紐を解き、机の上に中身を出す。
まるで正露丸のような丸い粒が数個、ころころと転がり出た。
「カナデ様、これが子胞薬です。一日一粒、五日間、毎日寝る前に飲んでください。飲み終わって十日後から、今度は毎日アルファム様の子種を腹の中に注いでもらって下さい」
「こっ、子種…っ」
「毎日か…。カナの身体が心配だな」
「え…?」
アルファムが、心配そうに俺の顔を覗き込んでくるけど、ちょっと待って!
今だって、二日に一回はしてるぞ!
しかも一回が滅茶苦茶しつこい!
だから、一晩に何回も俺の中に吐き出す回数を減らして、平均的に毎日やればいいんじゃないの…?と思う。
「大丈夫です。この薬を飲んで腹の中に袋が出来れば、雄を受け入れる柔軟な身体に変化します。何度性交しても、身体に負担はかかりません」
「え?うそ…」
抱き潰された翌日は、あんなに身体が痛いんだよ?
それが、そんな小さな薬をちょっと飲むだけで、大丈夫になるもんなの?
俺が不安に思っていると、「それはよい。カナの中にたっぷりと子種を注いでやろう」と恥ずかしげもなくアルファムが言った。
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