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絶体絶命 2
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俺の身体が、再びかたかたと小さく震え出す。きっとこれは、髪の毛も服も靴も全部濡れたから、寒くて震えてるんだ。
そう自分に言い聞かせて心を奮い立たせようとするけど、やっぱり怖い。それにどうやら今回は、本当にピンチみたいだ…。
ふっ、と俺に降り注ぐ雨が止む。顔を上げると、真白さんが持つ傘で雨が遮られていた。
「せっかく足を手当てしてあげたのにゴメンね?僕さ、鉄に借りがあるから返さないと駄目なんだ。せめて、苦しむ時間が短くて済むようにしてあげる……」
彼の言葉が耳に入って来るけど、そのまま通り過ぎて行く。
ーーばあちゃんが教えてくれたあの言葉…。ばあちゃん、どうか俺を助けて。
俺は、細く長い息を吐く。
目を伏せ、記憶を頼りに指を組み口を開いた。
俺の肩を掴み、ゆっくりと真白さんが首に吸い付く。一瞬、チクっとした痛みを感じて身体が揺れた。噛まれたのかと怯んだけど、構わず言葉を呟き続ける。
ふと、真白さんの動きが止まった。のろのろと俺から顔を離して俺を見つめる。そして、俺の呟きに耳を傾けた途端、傘を放り投げて飛び退いた。
「おい…それって…。ち、ちょっと待て…っ」
「真白、何してるんだ。早くやれよ…」
「いや、だって今この子…」
俺はゆっくりと顔を上げて、言い争う二人を見た。
訝しげに俺を見ていた鉄さんが、目を見開き慌て出す様子がわかった。
もしかして、ほんとに効いてたりする?ねぇ、ばあちゃん…。
「おまえ…な、にやって…っ。なんでそんなものを知ってる。だっておまえは椹木…、いや…でも…」
「……カ」
全て言い終え、最後に指をぱちんと鳴らす。俺は、はあっーと息を吐いて肩の力を抜いた。
ーーよし、とりあえず言った。はぁ…疲れた。
恐る恐る二人を窺うと…。
「あ、あれ?」
雨の音だけが響く静寂の中、鉄さんと真白さんが、驚いた顔で俺を見つめていた。
あまりの反応の無さに、やっぱり唯の気休めだったのかと肩を落とす。
「お、おまえ…」
ーーあ~、あれは呆れて固まってるんだな…。なんか俺、厨二病みたいじゃん…。
「な、何っ…?」
俺は恥ずかしさを隠すように、少し怒って答える。
「おまえ、何をしたっ!なんでおまえにこんな事が出来るんだっ。くそっ」
「え、えっ?どういう事?」
「え~、椹木くん、やるねぇ。僕ら、身体が痺れて動けないんだけど…。ねぇ今のって…、あっ、ヤバいっ。今ので僕の結界が破られて、狐と…天狗が向かって来てる!」
どうやら顔は動かせるようで、雨が降り注ぐ空を見上げて、真白さんが叫んだ。真白さんの声に振り向いた鉄さんの手から、傘がぽろりと落ちる。
「はあっ?今来られるとマズいじゃないかっ」
「そうだね…動けないもんね。僕らフルボッコかな…」
「……ろがねさまっ…」
どこかから声が聞こえて来たと思ったら、俺と二人の間に黒いスーツを着た天狗が降りてきた。
「織部っ、ちょうどいい所にっ。僕と真白を連れて早くここを離れろ」
「…はい。お姿が見えないので心配しました」
織部さんは二人を軽々と両脇に抱えると、ちらりと俺を見て、素早くこの場を飛んで離れた。
三人の姿が煙る雨の中に見えなくなって、緊張の糸がぷつんと切れた俺は、その場にずるずると座り込んだ。
そう自分に言い聞かせて心を奮い立たせようとするけど、やっぱり怖い。それにどうやら今回は、本当にピンチみたいだ…。
ふっ、と俺に降り注ぐ雨が止む。顔を上げると、真白さんが持つ傘で雨が遮られていた。
「せっかく足を手当てしてあげたのにゴメンね?僕さ、鉄に借りがあるから返さないと駄目なんだ。せめて、苦しむ時間が短くて済むようにしてあげる……」
彼の言葉が耳に入って来るけど、そのまま通り過ぎて行く。
ーーばあちゃんが教えてくれたあの言葉…。ばあちゃん、どうか俺を助けて。
俺は、細く長い息を吐く。
目を伏せ、記憶を頼りに指を組み口を開いた。
俺の肩を掴み、ゆっくりと真白さんが首に吸い付く。一瞬、チクっとした痛みを感じて身体が揺れた。噛まれたのかと怯んだけど、構わず言葉を呟き続ける。
ふと、真白さんの動きが止まった。のろのろと俺から顔を離して俺を見つめる。そして、俺の呟きに耳を傾けた途端、傘を放り投げて飛び退いた。
「おい…それって…。ち、ちょっと待て…っ」
「真白、何してるんだ。早くやれよ…」
「いや、だって今この子…」
俺はゆっくりと顔を上げて、言い争う二人を見た。
訝しげに俺を見ていた鉄さんが、目を見開き慌て出す様子がわかった。
もしかして、ほんとに効いてたりする?ねぇ、ばあちゃん…。
「おまえ…な、にやって…っ。なんでそんなものを知ってる。だっておまえは椹木…、いや…でも…」
「……カ」
全て言い終え、最後に指をぱちんと鳴らす。俺は、はあっーと息を吐いて肩の力を抜いた。
ーーよし、とりあえず言った。はぁ…疲れた。
恐る恐る二人を窺うと…。
「あ、あれ?」
雨の音だけが響く静寂の中、鉄さんと真白さんが、驚いた顔で俺を見つめていた。
あまりの反応の無さに、やっぱり唯の気休めだったのかと肩を落とす。
「お、おまえ…」
ーーあ~、あれは呆れて固まってるんだな…。なんか俺、厨二病みたいじゃん…。
「な、何っ…?」
俺は恥ずかしさを隠すように、少し怒って答える。
「おまえ、何をしたっ!なんでおまえにこんな事が出来るんだっ。くそっ」
「え、えっ?どういう事?」
「え~、椹木くん、やるねぇ。僕ら、身体が痺れて動けないんだけど…。ねぇ今のって…、あっ、ヤバいっ。今ので僕の結界が破られて、狐と…天狗が向かって来てる!」
どうやら顔は動かせるようで、雨が降り注ぐ空を見上げて、真白さんが叫んだ。真白さんの声に振り向いた鉄さんの手から、傘がぽろりと落ちる。
「はあっ?今来られるとマズいじゃないかっ」
「そうだね…動けないもんね。僕らフルボッコかな…」
「……ろがねさまっ…」
どこかから声が聞こえて来たと思ったら、俺と二人の間に黒いスーツを着た天狗が降りてきた。
「織部っ、ちょうどいい所にっ。僕と真白を連れて早くここを離れろ」
「…はい。お姿が見えないので心配しました」
織部さんは二人を軽々と両脇に抱えると、ちらりと俺を見て、素早くこの場を飛んで離れた。
三人の姿が煙る雨の中に見えなくなって、緊張の糸がぷつんと切れた俺は、その場にずるずると座り込んだ。
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