74 / 101
第二部 陛下の命令
2
しおりを挟む
ティアが頷いた後、部屋は沈黙に包まれる。
とはいえグレンシスもバザロフも一通りの説明をしたので、これ以上、ティアにかける言葉が見つからなかった。
ただ一つわかるのは、ティアには考える時間が必要だということ。
「───……では、儂は一旦、城に戻るとしよう」
後のことは部下に任せることにしたバザロフは、そう言って立ち上がった。
ただ部下であるグレンシスをチラリと見て、「不健全性的行為は禁止」と目で訴える。
対してグレンシスは、素直に頷けば良いものを、無駄に真面目な性格が邪魔をして、曖昧に頷く。不健全の境界線がわからないので。
そうすれば沈黙とは違う変な空気が、二人の間に流れる。
「グレン、マダムローズから預かっていることを忘れるなよ」
グレンシスだけに聞こえる低い声でバザロフは、そう囁くと廊下に出る。
そして後を追うように、ティアとグレンシスはバザロフを玄関まで見送った。
何かあったらいつでも連絡しなさいという言葉を残してバザロフが去った後、ティアは玄関ホールで佇んでいる、これからどうすれば良いのかわからなくて。
具体的に言うと、王様と会う云々の前に、今宵一晩、自分がどこで過ごせば良いのかわからないのだ。
───けれど、それは僅かな間だった。
「ティア、部屋に戻ろう」
グレンシスは当然のようにそう言って、瞬きを繰り返すティアの手を取り、歩き始めた。
「……ここですか?」
「ああ。お前の部屋だからな」
躊躇いながら部屋に足を踏み入れたティアとは対象的に、グレンシスは至極当然といった感じで頷いた。
もちろんグレンシスが案内したのは、療養中、ティアが過ごした部屋。
なんとなくティアもここだとわかっていた。けれど、戸惑いが隠せない。
なぜなら、まるで昨日まで過ごしていたかのように綺麗に整えられているから。
そして部屋に入った途端、無意識に『ただいま』と呟いてしまいそうになったから。
否定したくてもできない懐かしい空気の中、グレンシスが毎日腰かけていた一人掛けの大きな椅子もそのままであることに気付く。
そして、その椅子のクッション部分は少し凹んでいる。
ついさっきまで誰かが座っていたかのように。
ここでティアは、まるでこれまでグレンシスに会っていなかった時間だけが斬り捨てられてしまったような不思議な感覚に包まれた。
もちろん、互いに別々の時間を過ごしたことは真実で。
そして、ロハン邸で過ごした時間を全てを過去にして、ティアは今後グレンシスと会うつもりが無かったことも本当で。
つまり、この展開について、自分の感情が追いついていないのだ。
でも今更、未練がましく引きずっている気持ちなんて、もう綺麗さっぱり消えてしまっているという顔なんてしても無意味だろう。
今、隣にいる騎士様は絶対に見抜く。いや、既に見抜いているはずだ。
「ところでティア、飯はまだか?」
部屋を見つめながら悶々と考えていたティアに、グレンシスが軽い口調で問いかけた。
「あ、はい。食べました」
色々考えたいことがあるティアは、面倒くさいので適当な嘘を吐く。ついでに言うと、胸もいっぱいなので、入る隙間はなさそうだ。
だが、すぐさまグレンシスの眉間に皺が寄った。
「嘘を付くな。どうせ食べたとしても、適当なものだろう。丁度いい、俺もまだだ。一緒に食べるぞ」
有無を言わさぬ口調に、ティアはぐぅっと小さく唸り声を上げた。
それは嘘を見透かされたことに対しての不満であったのだけれど、グレンシスには違う意味にとれた。
「ここにいるのは嫌か?」
「い、嫌じゃないです」
びっくりするほどグレンシスが悲しげな表情をしたので、ティアは慌てて首を横に振った。
「なら、今はそれで十分だ」
ほっとしたように肩の力を抜いたグレンシスは、ティアに一歩近づいた。
そして膝を折り、ティアと目を合わせる。
「突然のことで混乱していると思うし、あんな別れかたをしたんだ。お前が居心地悪さを感じるのは仕方ないと思っている。……ただ、ここはお前にとって、甘やかす場所だ。それを忘れないでくれ。それと、俺もひとつお前にワガママを言いたいんだが?」
「ど、どうぞ」
でも、頷くかどうかは内容による。
そんな意味を込めて目で訴えれば、グレンシスは真摯な表情で口を開く。
「どうにもならなくなったら、まず最初に俺を頼ってくれ。それが俺の願いだ」
それは誰かに甘えることが不得意なティアにとって、なかなか難しいお願い。けれど、全力で頷きたくなる自分がいるのも本当の気持ちだった。
ティアはもう気付いている。
勝手に始めた恋が、既に形を変えてしまっていることを。そしてもう自分が戻れない位置に立っていることを。
だからティアは勇気を出してグレンシスの袖を掴んで、小さなお願いをしてみる。
「桃の宝石箱……メゾンプレザンに置いてきたままで……でも、あれは、ここに置きたいんです」
いじらしいティアの甘えに、グレンシスはバザロフから忠告を受けた事など、一瞬吹き飛んでしまった。
「くそっ……お前、それを今言うか?」
呆れた口調に驚いて見上げれば、ほんのりと頬を赤くしたグレンシスと目が合った。
「この部屋で何をしたかわかってて、そういうことを言うんだな?」
「……」
あっ、と声を上げなかったティアは大変、利口であった。
そりゃあティアだって覚えている。
はしたなくもグレンシスの指に唇を当てたことも、吐息交じりに囁かれた言葉も、重なった影の形すら。
そしてどうやら自分は知らず知らずのうちに、グレンシスの心の中にある何かを刺激してしまったことに気づく。
今更ながら、二人の気持ちが想いあっていることも。
もちろんティアは、そっとグレンシスから視線をずらして距離を取る。
「───……クマに感謝しとけ」
「へ?」
間抜けな声を上げたと同時に、頭のてっぺんに柔らかい何かが落ちてくる。
びっくりして顔を上げれば、いつの間にかグレンシスがすぐ傍にいた。どうして?と聞きたくなるくらい優しい笑みを浮かべて。
だがすぐにグレンシスは、恥ずかしくも歯痒くも感じる表情に変えて、ぷいっと横を向く。
「俺は縫いぐるみに見られながら、どうこうするような趣味は持ってないからな」
今、グレンシスはちょっとだけ、自分を偽った。
クマがいようがいまいが、そこそこのことはした過去を持っているのに。
そしてそのことをティアに気付かれる前に、慌てて口を開いた。
「俺は着替えてくる。お前は、適当にくつろいでいろ。ただし、寝るなよ」
急に横柄な口調に変えて、グレンシスは足早に部屋を出て行った。
一人部屋に残されたティアは、色々考えなければならないことがあった。
……けれど、一先ずベッドによじ登り、心なしかドヤ顔を決めた大小のクマをぎゅぅっと抱きしめて感謝の念を贈った。
そして、今日決めたことは翌朝になっても気持ちが変わらなければ、グレンシスに伝えよう───そう思って、全てを翌朝の自分に託すことにした。
とはいえグレンシスもバザロフも一通りの説明をしたので、これ以上、ティアにかける言葉が見つからなかった。
ただ一つわかるのは、ティアには考える時間が必要だということ。
「───……では、儂は一旦、城に戻るとしよう」
後のことは部下に任せることにしたバザロフは、そう言って立ち上がった。
ただ部下であるグレンシスをチラリと見て、「不健全性的行為は禁止」と目で訴える。
対してグレンシスは、素直に頷けば良いものを、無駄に真面目な性格が邪魔をして、曖昧に頷く。不健全の境界線がわからないので。
そうすれば沈黙とは違う変な空気が、二人の間に流れる。
「グレン、マダムローズから預かっていることを忘れるなよ」
グレンシスだけに聞こえる低い声でバザロフは、そう囁くと廊下に出る。
そして後を追うように、ティアとグレンシスはバザロフを玄関まで見送った。
何かあったらいつでも連絡しなさいという言葉を残してバザロフが去った後、ティアは玄関ホールで佇んでいる、これからどうすれば良いのかわからなくて。
具体的に言うと、王様と会う云々の前に、今宵一晩、自分がどこで過ごせば良いのかわからないのだ。
───けれど、それは僅かな間だった。
「ティア、部屋に戻ろう」
グレンシスは当然のようにそう言って、瞬きを繰り返すティアの手を取り、歩き始めた。
「……ここですか?」
「ああ。お前の部屋だからな」
躊躇いながら部屋に足を踏み入れたティアとは対象的に、グレンシスは至極当然といった感じで頷いた。
もちろんグレンシスが案内したのは、療養中、ティアが過ごした部屋。
なんとなくティアもここだとわかっていた。けれど、戸惑いが隠せない。
なぜなら、まるで昨日まで過ごしていたかのように綺麗に整えられているから。
そして部屋に入った途端、無意識に『ただいま』と呟いてしまいそうになったから。
否定したくてもできない懐かしい空気の中、グレンシスが毎日腰かけていた一人掛けの大きな椅子もそのままであることに気付く。
そして、その椅子のクッション部分は少し凹んでいる。
ついさっきまで誰かが座っていたかのように。
ここでティアは、まるでこれまでグレンシスに会っていなかった時間だけが斬り捨てられてしまったような不思議な感覚に包まれた。
もちろん、互いに別々の時間を過ごしたことは真実で。
そして、ロハン邸で過ごした時間を全てを過去にして、ティアは今後グレンシスと会うつもりが無かったことも本当で。
つまり、この展開について、自分の感情が追いついていないのだ。
でも今更、未練がましく引きずっている気持ちなんて、もう綺麗さっぱり消えてしまっているという顔なんてしても無意味だろう。
今、隣にいる騎士様は絶対に見抜く。いや、既に見抜いているはずだ。
「ところでティア、飯はまだか?」
部屋を見つめながら悶々と考えていたティアに、グレンシスが軽い口調で問いかけた。
「あ、はい。食べました」
色々考えたいことがあるティアは、面倒くさいので適当な嘘を吐く。ついでに言うと、胸もいっぱいなので、入る隙間はなさそうだ。
だが、すぐさまグレンシスの眉間に皺が寄った。
「嘘を付くな。どうせ食べたとしても、適当なものだろう。丁度いい、俺もまだだ。一緒に食べるぞ」
有無を言わさぬ口調に、ティアはぐぅっと小さく唸り声を上げた。
それは嘘を見透かされたことに対しての不満であったのだけれど、グレンシスには違う意味にとれた。
「ここにいるのは嫌か?」
「い、嫌じゃないです」
びっくりするほどグレンシスが悲しげな表情をしたので、ティアは慌てて首を横に振った。
「なら、今はそれで十分だ」
ほっとしたように肩の力を抜いたグレンシスは、ティアに一歩近づいた。
そして膝を折り、ティアと目を合わせる。
「突然のことで混乱していると思うし、あんな別れかたをしたんだ。お前が居心地悪さを感じるのは仕方ないと思っている。……ただ、ここはお前にとって、甘やかす場所だ。それを忘れないでくれ。それと、俺もひとつお前にワガママを言いたいんだが?」
「ど、どうぞ」
でも、頷くかどうかは内容による。
そんな意味を込めて目で訴えれば、グレンシスは真摯な表情で口を開く。
「どうにもならなくなったら、まず最初に俺を頼ってくれ。それが俺の願いだ」
それは誰かに甘えることが不得意なティアにとって、なかなか難しいお願い。けれど、全力で頷きたくなる自分がいるのも本当の気持ちだった。
ティアはもう気付いている。
勝手に始めた恋が、既に形を変えてしまっていることを。そしてもう自分が戻れない位置に立っていることを。
だからティアは勇気を出してグレンシスの袖を掴んで、小さなお願いをしてみる。
「桃の宝石箱……メゾンプレザンに置いてきたままで……でも、あれは、ここに置きたいんです」
いじらしいティアの甘えに、グレンシスはバザロフから忠告を受けた事など、一瞬吹き飛んでしまった。
「くそっ……お前、それを今言うか?」
呆れた口調に驚いて見上げれば、ほんのりと頬を赤くしたグレンシスと目が合った。
「この部屋で何をしたかわかってて、そういうことを言うんだな?」
「……」
あっ、と声を上げなかったティアは大変、利口であった。
そりゃあティアだって覚えている。
はしたなくもグレンシスの指に唇を当てたことも、吐息交じりに囁かれた言葉も、重なった影の形すら。
そしてどうやら自分は知らず知らずのうちに、グレンシスの心の中にある何かを刺激してしまったことに気づく。
今更ながら、二人の気持ちが想いあっていることも。
もちろんティアは、そっとグレンシスから視線をずらして距離を取る。
「───……クマに感謝しとけ」
「へ?」
間抜けな声を上げたと同時に、頭のてっぺんに柔らかい何かが落ちてくる。
びっくりして顔を上げれば、いつの間にかグレンシスがすぐ傍にいた。どうして?と聞きたくなるくらい優しい笑みを浮かべて。
だがすぐにグレンシスは、恥ずかしくも歯痒くも感じる表情に変えて、ぷいっと横を向く。
「俺は縫いぐるみに見られながら、どうこうするような趣味は持ってないからな」
今、グレンシスはちょっとだけ、自分を偽った。
クマがいようがいまいが、そこそこのことはした過去を持っているのに。
そしてそのことをティアに気付かれる前に、慌てて口を開いた。
「俺は着替えてくる。お前は、適当にくつろいでいろ。ただし、寝るなよ」
急に横柄な口調に変えて、グレンシスは足早に部屋を出て行った。
一人部屋に残されたティアは、色々考えなければならないことがあった。
……けれど、一先ずベッドによじ登り、心なしかドヤ顔を決めた大小のクマをぎゅぅっと抱きしめて感謝の念を贈った。
そして、今日決めたことは翌朝になっても気持ちが変わらなければ、グレンシスに伝えよう───そう思って、全てを翌朝の自分に託すことにした。
1
お気に入りに追加
3,044
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
結婚式当日に花婿に逃げられたら、何故だか強面軍人の溺愛が待っていました。
当麻月菜
恋愛
平民だけれど裕福な家庭で育ったシャンディアナ・フォルト(通称シャンティ)は、あり得ないことに結婚式当日に花婿に逃げられてしまった。
それだけでも青天の霹靂なのだが、今度はイケメン軍人(ギルフォード・ディラス)に連れ去られ……偽装夫婦を演じる羽目になってしまったのだ。
信じられないことに、彼もまた結婚式当日に花嫁に逃げられてしまったということで。
少しの同情と、かなりの脅迫から始まったこの偽装結婚の日々は、思っていたような淡々とした日々ではなく、ドタバタとドキドキの連続。
そしてシャンティの心の中にはある想いが芽生えて……。
※★があるお話は主人公以外の視点でのお話となります。
※他のサイトにも重複投稿しています。
【外伝・完結】神獣の花嫁〜さだめられし出逢い〜
一茅苑呼
恋愛
『神獣の花嫁シリーズ』第二作目です。
前作『〜かの者に捧ぐ〜』をお読みいただかなくとも楽しんでいただけるかと思いますが、お読みいただければさらに面白い! はずです。
☆☆☆☆☆
❖美穂(みほ)
赤い神獣の花嫁として召喚された女子高校生。
両親を早くに亡くし、現在は叔母の家に居候している。
短気で飽きっぽい。群れるのが嫌いなので、クラスの中でも浮いた存在だった。
❖赤虎(せきこ)・茜(あかね)
下総(しもうさ)ノ国の赤い神獣。通称『セキ』。
女装いと女の口調で話すが、視野が広く博識。
黙っていれば、文句なしの美青年(美穂の第一印象)。
※表紙絵は前作の主人公・咲耶とハクです。
黒冴様https://estar.jp/users/106303235に描いていただきました。
───あらすじ───
生きているんだ、あたし──。
陽ノ元という世界に、神獣の花嫁として召喚された美穂。
積極的に「死にたい」とは思わなかったが、消極的に「死んでもいい」と考えていた。
両親と祖父母を亡くし、引き取られた先の叔母夫婦の家も──学校も。
美穂の居場所では、なかった。
「アタシ? アタシは……んー、【アンタ次第で生きるオトコ】、よ」
───居場所のなかった少女が、新たに生きる世界とは。
隣国の貢ぎ物にされた出来損ない令嬢は、北の最果てで大公様と甘美な夢を見る
当麻月菜
恋愛
【煮ようが、焼こうが、妻にしようが、妾にしようが、使用人として使おうが、どうぞお好きに】
リンヒニア国の侯爵家令嬢ユリシアは、ダンス一つ満足に踊れない出来損ない令嬢。そんな彼女は雑な書簡と共に、隣国の大公グレーゲルの貢物ものにされることになった。
マルグルス国の国王陛下の甥であるグレーゲルの二つ名は”血濡れの大公”───気分次第で首をすっぱり切り落とす残忍非道なヤバイ奴。付け加えると、どうも一途に愛する女性がいるようで。
というなんか色々問題がありそうなグレーゲル大公閣下の支配下で生き抜く為には、存在を消して大人しく過ごすのみ。
しかし、ある日グレーゲルに呼ばれこう告げられる。
「君を正妻として迎えることに決めた」
「……はぁ?」
政略結婚でも恋をして、愛し愛されることを望む大公様と、なぜか自分がお飾り妻だと思い込む侯爵令嬢の、北の最果てで繰り広げられるすったもんだの恋物語。
※以前書いたものを改タイトル、加筆修正して投稿しています。
※他のサイトにも重複投稿しています。
アクセサリー
真麻一花
恋愛
キスは挨拶、セックスは遊び……。
そんな男の行動一つに、泣いて浮かれて、バカみたい。
実咲は付き合っている彼の浮気を見てしまった。
もう別れるしかない、そう覚悟を決めるが、雅貴を好きな気持ちが実咲の決心を揺るがせる。
こんな男に振り回されたくない。
別れを切り出した実咲に、雅貴の返した反応は、意外な物だった。
小説家になろうにも投稿してあります。
紡織師アネモネは、恋する騎士の心に留まれない
当麻月菜
恋愛
人が持つ記憶や、叶えられなかった願いや祈りをそっくりそのまま他人の心に伝えることができる不思議な術を使うアネモネは、一人立ちしてまだ1年とちょっとの新米紡織師。
今回のお仕事は、とある事情でややこしい家庭で生まれ育った侯爵家当主であるアニスに、お祖父様の記憶を届けること。
けれどアニスはそれを拒み、遠路はるばるやって来たアネモネを屋敷から摘み出す始末。
途方に暮れるアネモネだけれど、ひょんなことからアニスの護衛騎士ソレールに拾われ、これまた成り行きで彼の家に居候させてもらうことに。
同じ時間を共有する二人は、ごく自然に惹かれていく。けれど互いに伝えることができない秘密を抱えているせいで、あと一歩が踏み出せなくて……。
これは新米紡織師のアネモネが、お仕事を通してちょっとだけ落ち込んだり、成長したりするお話。
あるいは期間限定の泡沫のような恋のおはなし。
※小説家になろう様にも、重複投稿しています。
あなたに忘れられない人がいても――公爵家のご令息と契約結婚する運びとなりました!――
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
※1/1アメリアとシャーロックの長女ルイーズの恋物語「【R18】犬猿の仲の幼馴染は嘘の婚約者」が完結しましたので、ルイーズ誕生のエピソードを追加しています。
※R18版はムーンライトノベルス様にございます。本作品は、同名作品からR18箇所をR15表現に抑え、加筆修正したものになります。R15に※、ムーンライト様にはR18後日談2話あり。
元は令嬢だったが、現在はお針子として働くアメリア。彼女はある日突然、公爵家の三男シャーロックに求婚される。ナイトの称号を持つ元軍人の彼は、社交界で浮名を流す有名な人物だ。
破産寸前だった父は、彼の申し出を二つ返事で受け入れてしまい、アメリアはシャーロックと婚約することに。
だが、シャーロック本人からは、愛があって求婚したわけではないと言われてしまう。とは言え、なんだかんだで優しくて溺愛してくる彼に、だんだんと心惹かれていくアメリア。
初夜以外では手をつけられずに悩んでいたある時、自分とよく似た女性マーガレットとシャーロックが仲睦まじく映る写真を見つけてしまい――?
「私は彼女の代わりなの――? それとも――」
昔失くした恋人を忘れられない青年と、元気と健康が取り柄の元令嬢が、契約結婚を通して愛を育んでいく物語。
※全13話(1話を2〜4分割して投稿)
親友に裏切られた侯爵令嬢は、兄の護衛騎士から愛を押し付けられる
当麻月菜
恋愛
侯爵令嬢のマリアンヌには二人の親友がいる。
一人は男爵令嬢のエリーゼ。もう一人は伯爵令息のレイドリック。
身分差はあれど、3人は互いに愛称で呼び合い、まるで兄弟のように仲良く過ごしていた。
そしてマリアンヌは、16歳となったある日、レイドリックから正式な求婚を受ける。
二つ返事で承諾したマリアンヌだったけれど、婚約者となったレイドリックは次第に本性を現してきて……。
戸惑う日々を過ごすマリアンヌに、兄の護衛騎士であるクリスは婚約破棄をやたら強く進めてくる。
もともと苦手だったクリスに対し、マリアンヌは更に苦手意識を持ってしまう。
でも、強く拒むことができない。
それはその冷たい態度の中に、自分に向ける優しさがあることを知ってしまったから。
※タイトル模索中なので、仮に変更しました。
※2020/05/22 タイトル決まりました。
※小説家になろう様にも重複投稿しています。(タイトルがちょっと違います。そのうち統一します)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる