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6.他称ロリコン軍人は、毒舌少女の願いを叶える
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扉が開いた瞬間に、ベルは彼が来たのだとわかった。
来ると思っていた。彼はそういう人だから。せっかちで、堪え性が無い人だから、うやむやになんかすることはないとわかっていた。
(......でも、私、どんな顔をして良いのかわからない)
ベルは目を閉じたまま自嘲した。
レンブラントは、もう自分の知っている彼じゃない。別の誰かだったと知ってしまった今、これまでのように接することはできない。
そこまでは熱にうなされていたって理解している。とはいえ、じゃあどんなふうに接すれば良いかとなると、さっぱりわからない。
だからベルは、ズルをしていることを自覚しつつも目を開けられないでいる。どうか少しだけ時間を頂戴と祈りながら。
なのにレンブラントは、そうすることが当然の権利だと言わんばかりにベッドの端に腰かけると、手を伸ばして狸寝入りする自分の髪を撫でる。
「......ベル」
たった一言、名を紡がれただけなのに、心がじんと痺れる。
「ベル」
レンブラントがもう一度名を囁く。
その声は低く穏やかで、自分を起こすために紡いでいるわけではない。想いを凝縮して口から勝手に溢れてしまったといった感じのそれ。
だからこそ、今、目を開ける勇気が無い。
なぁーんて、ベルが珍しくモダモダしていたけれど、次のレンブラントの発言で飛び起きる羽目になる。
「......寝てるなら、キスしても気づかれないか」
そう言いながらレンブラントは髪を撫でていた手をベルの唇に移動した。次いで親指の腹で、そっと小さな唇をなぞる。
まさかの展開にベルはバチっと目を開けて、レンブラントを睨んだ。
「起きてますよ。寝込みを襲うなんて、どこまで変態なんですか?」
「おい、ベル。それが恋人に言う台詞か?」
「......っ!!」
思いもよらない切り返しに、ベルは声にならない悲鳴を上げた。熱で火照った頬が更に赤くなる。
(この人、今、恋人って言った!間違いなく言った!!)
「なんだベル、そんなに慌ててどうしたんだ?......って、おい......まさか......あんた照れているのか」
レンブラントの目は信じられないといった感じで、大きく開いた。薄明かりしかない部屋の中でも、彼が心底驚いているのがはっきりと見える。
「まさかのまさかです、と言ったら?」
そこまで驚愕されるなんてとベルが唇を尖らせれば、レンブラントはふわりと笑った。
「たまらなく可愛い」
「......なっ!!!」
恥ずかしげもなくレンブラントがさらりとそんなことを言うもんだから、ベルはもうどうして良いのかわからず両手で顔を覆って仰向けに倒れた。
衝撃は無い。枕がぽすんと受け止めてくれたから。でも、
「ま、こんだけ暴れる元気があるなら一安心だ。とりあえず、寝ろ。話はその後だ」
顔を覆っていた手を優しく外されて、代わりにレンブラントの大きな手が瞼を覆った。
その手はひんやりとしているのに、触れる手つきはどこまでも優しかった。
来ると思っていた。彼はそういう人だから。せっかちで、堪え性が無い人だから、うやむやになんかすることはないとわかっていた。
(......でも、私、どんな顔をして良いのかわからない)
ベルは目を閉じたまま自嘲した。
レンブラントは、もう自分の知っている彼じゃない。別の誰かだったと知ってしまった今、これまでのように接することはできない。
そこまでは熱にうなされていたって理解している。とはいえ、じゃあどんなふうに接すれば良いかとなると、さっぱりわからない。
だからベルは、ズルをしていることを自覚しつつも目を開けられないでいる。どうか少しだけ時間を頂戴と祈りながら。
なのにレンブラントは、そうすることが当然の権利だと言わんばかりにベッドの端に腰かけると、手を伸ばして狸寝入りする自分の髪を撫でる。
「......ベル」
たった一言、名を紡がれただけなのに、心がじんと痺れる。
「ベル」
レンブラントがもう一度名を囁く。
その声は低く穏やかで、自分を起こすために紡いでいるわけではない。想いを凝縮して口から勝手に溢れてしまったといった感じのそれ。
だからこそ、今、目を開ける勇気が無い。
なぁーんて、ベルが珍しくモダモダしていたけれど、次のレンブラントの発言で飛び起きる羽目になる。
「......寝てるなら、キスしても気づかれないか」
そう言いながらレンブラントは髪を撫でていた手をベルの唇に移動した。次いで親指の腹で、そっと小さな唇をなぞる。
まさかの展開にベルはバチっと目を開けて、レンブラントを睨んだ。
「起きてますよ。寝込みを襲うなんて、どこまで変態なんですか?」
「おい、ベル。それが恋人に言う台詞か?」
「......っ!!」
思いもよらない切り返しに、ベルは声にならない悲鳴を上げた。熱で火照った頬が更に赤くなる。
(この人、今、恋人って言った!間違いなく言った!!)
「なんだベル、そんなに慌ててどうしたんだ?......って、おい......まさか......あんた照れているのか」
レンブラントの目は信じられないといった感じで、大きく開いた。薄明かりしかない部屋の中でも、彼が心底驚いているのがはっきりと見える。
「まさかのまさかです、と言ったら?」
そこまで驚愕されるなんてとベルが唇を尖らせれば、レンブラントはふわりと笑った。
「たまらなく可愛い」
「......なっ!!!」
恥ずかしげもなくレンブラントがさらりとそんなことを言うもんだから、ベルはもうどうして良いのかわからず両手で顔を覆って仰向けに倒れた。
衝撃は無い。枕がぽすんと受け止めてくれたから。でも、
「ま、こんだけ暴れる元気があるなら一安心だ。とりあえず、寝ろ。話はその後だ」
顔を覆っていた手を優しく外されて、代わりにレンブラントの大きな手が瞼を覆った。
その手はひんやりとしているのに、触れる手つきはどこまでも優しかった。
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