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旅路と再会の章
リアクションに困ります③
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「なんだい、あんた。みっともない声を出してくれたけれど、それでも魔術師かい?一丁前にローブなんて着てるけど、ずいぶん肝っ玉が小さいこと。これじゃあ、あんまり使ないねぇ」
「......ごめんなさい」
ローズベリーの辛辣な言葉に、ファルファラは一先ず謝った。
こんな無様な姿をさらしてしまった今、「自分は<慧眼の魔術師>です!」などとどうして言えようか。
なのにグロッソとラバンは、ファルファラの心情をちっとも理解してくれない。
「ローズベリー、言葉に気を付けろ」
「恐れながら、ギルドマスターともあろうお方が見かけで人を判断するなど滑稽でございます」
信じられないことにこの発言、前者がグロッソで後者がラバンだったりもする。
まぁ……ファルファラからすればラバンが丁寧な物言いをするのは、相手を人と認めていない時だとわかるのでさらりと流すことができる。
しかし、ラバンのことを良く知らない人ーーしかも日頃、横柄な態度を取られている側からするとかなり腑に落ちないだろう。
案の定グロッソは、ギロリとラバンを睨む。対してラバンは不思議そうに首をかしげる。そんな中、ローズベリーは「竜守のあんた、睨む方向間違ってないかい?」と、呆れた声を出す。
ちょっと立ち寄った村でこんな混沌とした空気にさらされるなど予想だにしてなかったファルファラは、胃がシクシク痛み出す。
すかさずグロッソが「これを終えたら食事にしましょう」と囁いてくる。明らかに空腹だと思われた。違う、そうじゃない。
しかし反論する気力が無いファルファラは、曖昧に頷くことしかできなかった。
***
「ーーで、いつもの情報が欲しいんだっけ?」
ローズベリーの声は、ファルファラ達が座る向かいのソファに着席した早々、グラス3杯の水を一気飲みしたお陰で滑らかなものに変わっていた。
しかし頭痛がするようで、こめかみをぐりぐりと押さえている。おそらく声とその仕草を見るに、前日深酒をしたのだろう。
「ああ、今持っている情報を全てくれ」
そこそこの美女が二日酔いでいるというのに、グロッソは気遣うそぶりも見せずに上着の懐に手を突っ込み小袋をテーブルに置く。
中身は聞くまでもない。情報料だ。膨らみ方からするとかなりの額である。
「そうさね......っと、これなら半分しか渡せないよ」
小袋の中身を確認したローズベリーは、はんっと鼻を鳴らして更に情報料を強請る。隣からちっと舌打ちが聞こえた。
だが、すぐにテーブルの上にはグロッソの手により、もう一つ小袋が置かれる。
しかしローズベリーはそれを手にすることはしない。満足する額ではないということだ。
「......これでふざけた情報だったら、この村を壊滅させるからな」
物騒この上ない台詞を呟いて、グロッソはもう一つ小袋を置く。
「はんっ。うちは品質に自信があるのさ。それよりあんたこそ、これ以上舐めた態度でいるなら、つまみ出すよ」
素早く小袋2つをかっさらったローズベリーの発言も、まあまあ物騒なものである。
だがギルドとの交渉は、貴族が美徳とする穏便さと優雅さなど邪魔なだけ。互いに相手の出方を見極め、時には際どい会話をするのが普通だ。
とはいえグロッソからしたら、今日の交渉はまだ穏やかな方だ。なぜなら隣に気になる女性がいるから。これでもかなり紳士的にローズマリーに接している。
しかしギルド初訪問のファルファラからしたら、そんなことなどわかるわけもない。
とにかく火花を散らすこの状況に、一人あたふたとしている。
でも自分が二人の間に割って入って穏便にことを済ませる気も無ければ、そんなスキルすら持っていない。
そんなわけでファルナは……
「......ぅう」
二人の交渉の邪魔にならぬよう気配を消しながら、胃を撫でる速度をあげた。
「......ごめんなさい」
ローズベリーの辛辣な言葉に、ファルファラは一先ず謝った。
こんな無様な姿をさらしてしまった今、「自分は<慧眼の魔術師>です!」などとどうして言えようか。
なのにグロッソとラバンは、ファルファラの心情をちっとも理解してくれない。
「ローズベリー、言葉に気を付けろ」
「恐れながら、ギルドマスターともあろうお方が見かけで人を判断するなど滑稽でございます」
信じられないことにこの発言、前者がグロッソで後者がラバンだったりもする。
まぁ……ファルファラからすればラバンが丁寧な物言いをするのは、相手を人と認めていない時だとわかるのでさらりと流すことができる。
しかし、ラバンのことを良く知らない人ーーしかも日頃、横柄な態度を取られている側からするとかなり腑に落ちないだろう。
案の定グロッソは、ギロリとラバンを睨む。対してラバンは不思議そうに首をかしげる。そんな中、ローズベリーは「竜守のあんた、睨む方向間違ってないかい?」と、呆れた声を出す。
ちょっと立ち寄った村でこんな混沌とした空気にさらされるなど予想だにしてなかったファルファラは、胃がシクシク痛み出す。
すかさずグロッソが「これを終えたら食事にしましょう」と囁いてくる。明らかに空腹だと思われた。違う、そうじゃない。
しかし反論する気力が無いファルファラは、曖昧に頷くことしかできなかった。
***
「ーーで、いつもの情報が欲しいんだっけ?」
ローズベリーの声は、ファルファラ達が座る向かいのソファに着席した早々、グラス3杯の水を一気飲みしたお陰で滑らかなものに変わっていた。
しかし頭痛がするようで、こめかみをぐりぐりと押さえている。おそらく声とその仕草を見るに、前日深酒をしたのだろう。
「ああ、今持っている情報を全てくれ」
そこそこの美女が二日酔いでいるというのに、グロッソは気遣うそぶりも見せずに上着の懐に手を突っ込み小袋をテーブルに置く。
中身は聞くまでもない。情報料だ。膨らみ方からするとかなりの額である。
「そうさね......っと、これなら半分しか渡せないよ」
小袋の中身を確認したローズベリーは、はんっと鼻を鳴らして更に情報料を強請る。隣からちっと舌打ちが聞こえた。
だが、すぐにテーブルの上にはグロッソの手により、もう一つ小袋が置かれる。
しかしローズベリーはそれを手にすることはしない。満足する額ではないということだ。
「......これでふざけた情報だったら、この村を壊滅させるからな」
物騒この上ない台詞を呟いて、グロッソはもう一つ小袋を置く。
「はんっ。うちは品質に自信があるのさ。それよりあんたこそ、これ以上舐めた態度でいるなら、つまみ出すよ」
素早く小袋2つをかっさらったローズベリーの発言も、まあまあ物騒なものである。
だがギルドとの交渉は、貴族が美徳とする穏便さと優雅さなど邪魔なだけ。互いに相手の出方を見極め、時には際どい会話をするのが普通だ。
とはいえグロッソからしたら、今日の交渉はまだ穏やかな方だ。なぜなら隣に気になる女性がいるから。これでもかなり紳士的にローズマリーに接している。
しかしギルド初訪問のファルファラからしたら、そんなことなどわかるわけもない。
とにかく火花を散らすこの状況に、一人あたふたとしている。
でも自分が二人の間に割って入って穏便にことを済ませる気も無ければ、そんなスキルすら持っていない。
そんなわけでファルナは……
「......ぅう」
二人の交渉の邪魔にならぬよう気配を消しながら、胃を撫でる速度をあげた。
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